「学生時代に力を入れたこと」がなくて困っている方。
あなたの行動力次第でなんとでも変わります

国家一般職 厚生労働省 T.Kさん

 
合格者イラスト
◆ 出身大学 : 私立大学文系学部 4年
◆ 受講講座 : 司法試験入門講座、国家総合職ゼミ
◆ 最終合格 : 国家一般職
◆ 内    定 : 国家一般職 厚生労働省
◆ 予定進路先: 国家一般職 厚生労働省

※プロフィールは、2020年合格時点のものです。

はじめに

国家公務員をめざしたきっかけ

私が国家公務員を目指したのは「国家総合職ゼミ」に体験で参加したことがきっかけだ。『ゼミ』で出会った仲間は向上心が高く、志望する進路に向けて必死に努力している姿がとても印象的だった。また、『ゼミ』を卒業し内定をもらった先輩方は、とにかく各分野における基礎知識や論理的思考力が備わっている素晴らしい人ばかりだった。当時の私は国家公務員がどんな仕事しているのかを全く知らなかった。しかし、『ゼミ』の仲間や先輩は特に輝いて見えて、自分も彼らと同じ世界で働きたいと考えるようになったので、国家公務員試験を受験することにした。

 

伊藤塾を選んだ理由

私は司法試験入門講座で学習をはじめた。伊藤塾は他の受験指導校と比較して、カリキュラムが充実しており、テキストの質や量が優れていると感じたため、受講を決めた。

 

公務員試験を受験される方へ

結果として、私は国家総合職試験は不合格となり、国家一般職試験に合格した。したがって、どのような体験記を書くことがこれから公務員試験を受ける方に益をもたらすかを考えたとき、私は合格体験記と不合格体験記の両方の性質を持つ体験記を書くべきではないかと考えた。そこで、私はこの体験記を通してどのような勉強の仕方をして失敗したかを紹介しようと思う。加えて、どのように勉強していれば成功したと思うかの自分なりの考えや、実際に成功した勉強法をまとめておくことにした。私が合格した試験種は国家一般職試験であるが、国家総合職試験を受験される方も参考にしてほしい。この体験記がこれから公務員試験を受験される方にとっての指針とやる気の素になれば幸いである。 

 

私がとった勉強方法

専門試験(択一式・多肢選択式)について

私が国家総合職試験を不合格となった理由として、専門択一試験で十分に得点できなかったことが挙げられる。なぜ専門択一試験で十分に得点できなかったのかを振り返ってみると、一番の原因は直前期(試験まで1ヶ月を切る頃)に適切な学習スケジュールをこなせなかったことやメンタル面のコントロールができなかったことが原因だと考えている。基本的には直前期の勉強が試験のスコアを大幅に上げることはない。しかし、私自身の経験から、直前期の過ごし方は試験本番に実力を発揮できるかに大きな影響を与えているといえる。具体的に言えば、直前期の過ごし方を失敗すると精神的に遅れを取った状態で試験を受けることになり、試験の際に普段は間違えない問題を落としたり、自信を持って解答を続けることができなくなってしまう。
したがって、直前期の過ごし方こそが試験を突破するうえで何より肝要だと考えている。それでは、いかにすれば直前期を有意義に過ごすことができるか。それには直前期が始まる前に2つの準備をしておくことが重要であると考えた。以下では2つの準備について紹介する。

1) 講義テキストを復習しやすいように加工しておく

1つ目は直前期までに講義テキストを復習しやすいように加工しておくことだ。というのも、直前期は1日にものすごいスピードで学習した部分を確認していくことになる。その際、講義テキストの加工が不十分であるとスムーズな確認ができず、同じ科目に膨大な時間を費やすことになりストレスが溜まる。加えて、復習にメリハリができず、頻出部分の確認が甘くなったり、出題されにくい部分に時間をかけすぎたりと滅茶苦茶な勉強になる。自分の講義テキストを加工できていない人ほど市販の参考書に手を出すが、これは余計な知識を付ける可能性があり危険である。合格している人ほど講義テキストを上手に活用していることを覚えておいてほしい。ちなみに、講義テキストの加工の仕方については担当講師の指示に従って行えば十分であるが、合格した人の中には担当講師の指示以上に優れた加工をしている人がおり、どのように加工したかを伝授してもらうと効果的である。

2) 専門択一演習を本番の試験と思って準備する

2つ目は専門択一演習(私の場合はゼミの時間に実施していた)を本番の試験と思って準備することだ。直前期には全ての科目を確認することになるが、今勉強している科目に区切りを付けて次の科目の勉強をはじめる際には特に心のコントロールが重要となる。というのも、直前期はネガティブな気持ちになりやすく、どこまで勉強すれば十分といえるかの指標を作れないからだ。そんなときに専門択一演習を本番の試験と思って準備した経験が効果を発揮する。なぜなら、専門択一演習を本番の試験だと思って必死に準備した人は、試験前にどれくらい準備すればどの程度の点数が取れるのかを経験的に知っているからだ。その経験を踏まえて、同じ程度勉強すれば良いのか、勉強を増やす必要があるのか、その判断ができればそれが指標となる。自信を持って勉強を終わらせることができた科目は本番の試験で迷いが少なくなる。したがって、この体験記を読んだ次の専門択一演習が本番の試験だと思って今すぐ準備をはじめてほしい。

 

基礎能力試験(多肢選択式)・教養試験(択一式)について

基礎能力試験についても直前期の過ごし方を意識した準備をすることが重要である。特に基礎能力試験は直前期になると勉強することが億劫になる。そこで、直前期に基礎能力試験の復習でストレスを溜めないような勉強の進め方をしなければならない。

1) 知能分野について

知能分野については、自分ならどこで点が取れるのかを分析してみることが大切だ。知能分野は試験の難易度次第で全ての問題にじっくり取り組むことができない可能性がある。したがって、全ての出題範囲を完璧にするのではなく、「この問題は必ず解ける」という問題を自分の学習進度に応じて少しずつ増やしていく勉強の仕方が効果的だ。

2) 知識分野について

知識分野については、とにかく各科目のつながりを意識した勉強の仕方が重要である。例えば、国家一般職の講座で「国際関係」を勉強したら「世界史」の勉強ができる、「世界史」を勉強したら「時事」の勉強ができる、といった要領で少しずつ守備範囲を広げていく勉強が効果的だ。公務員試験を受験する人は「自然科学」を苦手としている人が多い。「自然科学」は他の科目とつながりが見えにくいため困りものである。ここでおすすめの勉強法が「時事」に強引に結びつけてしまうことだ。例えば、リチウムイオン電池がノーベル化学賞を受賞したことは、「時事」で出題される可能性があると同時に、「自然科学」で身の周りの電池の知識の問題として出題される可能性がある(実際、公務員試験は出題に関して、何かを元ネタにしていることが多いと感じられる)。ここではじめて化学の教科書で電池付近の単元を勉強してみる。すると、少量の努力で思わぬ拾いものをする可能性がある。このように、時事の様子を見ながら少しずつ「自然科学」の守備範囲を広げる勉強も試してみてほしい。

 

一般論文試験・教養論文試験(記述式)について

国家一般職試験対策として
一般論文試験は配点比率が低いが油断は禁物である。一般論文試験は試験終了直後に最も手応えがわかりにくいうえに、最終合格を決定する際まで採点されない。したがって、試験の出来を気にするあまり、官庁訪問の際のメンタルに悪影響を与えるようなことがあると最悪である。故に、一般論文試験では、最低でも「基準点」は超えているという手応えが必要なのだ。そこで、まずはⅰ問題文を読み、ⅱ設問に沿って、ⅲ 形式を守った解答を書く練習からはじめてほしい。これらのポイントを押さえた解答は大崩れしにくい。慣れてきたら、文字数と制限時間を意識して書く練習をしよう。自分の文字を書くスピードから、答案構成にどれくらい時間を割けるのかを調べておくことが重要である。また、一般論文試験で求められる基礎知識のインプットは、伊藤塾の講義で指示を受けた範囲で補充していき、あまり時間をかけすぎないことが重要である。

 

面接・集団討論について

面接試験で結果を残すためにはとにかく場数をこなすことが効果的である。そこで、面接試験の日程が近付いてきたら何度も模擬面接を実施して経験値を積もう。模擬面接を実施するツールとして、伊藤塾の模擬面接、大学のキャリアセンター、公務員試験を受ける友人、が挙げられる。私は計7回模擬面接を行ったが、その甲斐あって本番の試験はとにかく楽勝という印象だった。伊藤塾の模擬面接は面接終了後に模擬面接評定票を受け取ることができ、細かい評価までしてくれることから自分の面接試験の戦略を見直すうえで有効である。加えて、伊藤塾の「面接対策 BOOK」は過去の面接試験の具体的な質問内容が掲載されており、返答内容を事前に考えたり、イメージトレーニングに重宝するので手に入れるとよい。国家一般職試験の受験生は、国家総合職試験の受験生に面接試験の雰囲気を聞いておくことで不安を解消することもできる。

 

事前面談会・官庁訪問について

官庁訪問を突破するためにはやれることは何でもやるという覚悟が必要である。まず、志望省庁の説明会に可能な限り全て参加する。志望省庁の職員と顔馴染みになっておくと、官庁訪問の際に緊張を和らげることができる。加えて、志望省庁の所掌事務に関する課外活動に積極的に参加して、官庁訪問で志望度の高さをアピールしよう。ボランティア活動、インターンシップ、自治体主催のイベント等に参加することで、自分が公務員になったときにどのような問題に挑戦してみたいかを考えてみるとよい。

 

普段の生活と試験対策について

私自身のサークル活動は「お遊び」みたいなもので、何かのアピールになるものではなかった。加えて、アルバイトの経験もなく、3年生の時点でいわゆる「学生時代に力を入れたこと」はほとんどなかった。しかし、これでは官庁訪問が圧倒的に苦しいと考えた。そこで、公務員試験の勉強と同時に「学生時代に力を入れたこと」作りに奔走した(3年生の夏から)。ボランティア活動も自分で電話をしてなんとか参加させていただいたし、志望省庁の所掌事務に関連するイベントは何でも参加した。
私が伝えたいことは、あなたの行動力次第でなんとでも変わるということである。もし「学生時代に力を入れたこと」がなくて困っている方は、勇気を出して行動してみてほしい。今からでも必ず間に合う。

 

どのようにモチベーションを維持したか

自分と同じ試験を受ける仲間と自主的にゼミを実施して、切磋琢磨し合うことが効果的である。わからないことがあったらすぐに確認することができるし、何より勉強が格段に楽しくなる。

 

最後に

私は国家総合職試験が第一志望だったから、国家総合職試験が不合格となった時はかなり落ち込んだ。国家一般職試験を控えていたが、とにかくメンタル面が深刻だった。そんなときに立ち直るきっかけを与えてくれたのはともに勉強した仲間だった。彼らと一緒に働きたいという気持ちがもう一度勉強する勇気を与えてくれた。故に、国家一般職試験に最終合格し内定を決めたときは本当に嬉しかった。仲間に最終合格と内定の報告をした際に、「みんなで揃って東京に行けるね」と言われたときは、自分がとても誇らしかった
これから公務員試験を受験される方には、切磋琢磨できる仲間を見つけてほしい。一緒に死線をくぐろうとしている仲間ほど頼りになるものはない。これから公務員試験を受験される方が合格・内定を勝ち取られることを心から願う。