受験生時代から思い描いていた独立開業の道 成年後見業務に取り組み、安心して暮らせる社会の一助に

2012年2月掲載

【東京都】 司法書士 赤富士司法書士・行政書士事務所  荒 早苗 先生 (司法書士)

■Profile
2009年 司法書士試験合格
2010年 簡裁訴訟代理等能力認定考査合格
2010年 「赤富士司法書士・行政書士事務所」開設

司法書士を目指した動機

女性でも資格を持てば男性と平等の立場で働くことができる点に魅力を感じたこと、法律を勉強して大変面白いと思ったこと、社会に役立つ仕事ができること、生涯自分のペースで仕事を続けることができることなどから法律家になることを志しました。
また、実務を通じて人権擁護に携わることができるという点も司法書士を志した理由のひとつです。受験勉強で蓄えた法律の専門知識を社会的弱者の救済や人権保護に役立てたいという思いで、受験勉強を頑張り続けてきました。

人権保護は憲法の重要な理念ですが、実務の現場ではどのようなときに憲法の価値・理念の大切さを感じられますか

成年後見業務においてです。誰でも年老いて判断能力が衰えたり、交通事故等で精神上の障害を負ったりする可能性があります。
このような場合、本人は判断能力が不十分なため、通常は親族が本人に代わって施設の入所契約をしたり、財産管理をしたりします。
しかし、親族がいないという状況や、親族に財産管理等を任せられないという状況がある場合、判断能力が不十分な本人に代わって権利を擁護る後見人等の存在が不可欠です。高齢者・障害者等の判断能力を補い、本人の権利擁護をするという成年後見制度は、人権保護という憲法の価値・理念を具体化した制度であり、とても大切な制度であると実感しております。

個人事務所開業後の日々

2010年8月1日に開業してから、日に日に忙しさを増しております。開業前は、『新人は開業しても、最初の1年間は全く仕事がこない』とか、『開業1年目は電話が一本も鳴らない』等の噂を沢山耳にしておりました。
私自身は独立開業の気持ちが強かったため、上記のような噂を耳にしても、独立開業の道を断念するという気持ちにはなれませんでした。
実際に開業してみますと、噂は噂にしか過ぎないと思いました。つまり、新人の法律家であっても、活躍する場所は沢山あったのです。私のような個人事務所の場合、不動産登記・商業登記・訴訟業務・成年後見業務……と実に様々な分野の依頼が舞い込んできます。
どの依頼もそれぞれ個性があり、全力で一件一件取り組むことで業務を通じて自分自身も日々成長しております。
そして、様々な分野の方々と出会う機会があるため、合格後・開業後と自分自身の世界が広くなり、視野も広がっている感じがします。
受験時代から強く強く憧れていた実務の世界ですから、仕事がどんなに忙しくなろうと、夜中まで仕事をする日があろうと、いつでも自分自身の中には充実感が満ち溢れております。そして、苦しすぎた受験時代を諦めずに、最後まで勉強を続けて良かったと実感すると共に、合格できたことに日々感謝しております。

これからどのような業務をしていきたいとお考えですか

登記業務に憧れて司法書士を目指したので、古典的ではありますが不動産登記業務・商業登記業務に魅力を感じます。「さすが登記のスペシャリスト」と認められるような司法書士を目指して頑張っていきたいです。
また、高齢化社会が進む日本では、ますます成年後見業務の必要性が高まると思いますので、この分野にも積極的に関与していきたいと思っております。

成年後見業務を通じて考えること

司法書士の新しい業務分野として、成年後見業務があります。最近は新聞でも日々「成年後見制度」について何らかの記事が掲載されており、世間でも注目されている業務でもあります。日本の高齢化社会の到来により、成年後見制度の利用が社会に普及しつつあることや、需要が多いことを日々の業務の中で実感します。
また、業務を通じて、成年後見制度は他人事ではないということも強く認識させられます。つまり、今家族がいても何かの事故に家族が巻き込まれて、自分一人が生き残るという事態も起こりうるし、子供がいないという事も起こりうるし、また子供がいても疎遠という事態もありえます。高齢になった自分がいつ成年後見制度のお世話になるか分かりません。誰でもいつかは利用するかもしれないのが成年後見制度です。この制度の充実・信頼を確固たるものとするには、専門家である司法書士等が成年後見業務にしっかり取り組む必要があると考えます。
安心して利用できる成年後見制度の確立こそが、老後まで安心して暮らせる日本を創るのではないかと思います。

法律家としてのボランティア活動

2011年1月中旬、法律家としてボランティア活動に参加する機会がありました。このボランティア活動は、司法書士・弁護士・税理士の有志が伊豆諸島・小笠原諸島の各島々に法律・税務無料相談会を開催するために定期的に訪れるというものです。
伊豆諸島・小笠原諸島は「東京都」であるにもかかわらず、司法過疎地のため、10年ほど前から島の法律・税務無料相談のボランティア活動が行われているそうです。
このボランティア活動の存在を開業後に知り、法律家となった自分もぜひ参加したいと思い、参加させていただきました。私が訪れたのは、調布から飛行機で約45分の距離にある神津島です。神津島の村役場のご協力で、公共施設の広いスペースを借りて、無料相談会を実施することができました。神津島は人口約2000人の島ですが、司法過疎地ということもあり、朝10時半から夕方5時までの相談会には島の住民の方々が様々な相談をしに足を運んでくださいました。相談活動を通じて、東京都内にある司法過疎地の存在を認識できました。
また、無料相談会の開催を島民の方々や村役場の方々が大変感謝してくださった点で、ボランティア活動に参加する意義や充実感を得ることができました。
さらに、自分自身が「法律家として社会の役に立ちたい」という受験時代に心に描いた原点を再確認できた点で、大変意味ある貴重な機会でした。ボランティアなので飛行機代や宿泊費などは全部自費ですが、今後も時間と機会を見つけて、ぜひこのボランティア活動に携わっていきたいと思っております。

伊藤塾の受験指導でよかった点をお聞かせ下さい

伊藤塾はアット・ホームな雰囲気で、講師の方も質問に丁寧に答えてくださるので、伊藤塾で学べて本当に良かったなあ……と思っております。講師の方の熱意あるご指導のお陰で、なんとか合格できたのだと思っております。また、テキストもよくまとまっていますし、法改正にも即座にフォローしてくださる点が有り難かったです。
また、伊藤塾の指導は「合格後も考える」という理念の下に行われており、合格は遥か彼方にあるものではなく、近い将来自分も合格できるのだと思って受験生活を送ることできた点が大変良かったと思っています。

今後のビジョン、合格を目指す受験生へのメッセージ

法律家になりたいという夢が叶い、実務の世界への重い重い扉がようやく開きました。実務の世界への新たな挑戦は始まったばかりですが、様々なことに興味を持ちながら実務を通じて、日々自分自身も成長していきたいと思っております。また、多くの人々から厚く信頼される法律家を目指して頑張っていきたいです。
受験生の皆様へ。司法書士試験は超難関試験の1つですが、正しい方向の努力と強い精神力があれば突破できる試験だと信じています。受験時代は孤独な自分、不安な自分との戦いの日々ですが、どうかそれを乗り越えてください。受験生の皆様の努力が実り、法律家への道が開くことを祈っております。

(2011年3月・記)


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