登記中心に3つの事務所を展開 新規開拓のポイントは“依頼者視点”

 2007年5月掲載

【東京都】 司法書士法人 新 ARATA綜合事務所 代表社員 加藤 新 先生 (司法書士)

■Profile
1967年生
2001年 司法書士試験合格
2005年 簡易裁判所訴訟代理関係業務認定

事務所の収入面での安定性、司法書士としての信頼性等々から、現在の司法書士業務の中心となるのは登記だと思います。登記業務を行ううえで、重要なこととは何でしょうか。

司法書士にとって今も昔も登記業務が大切であることは間違いありません。また、将来においてもこの重要性は変わらないものであると思います。
 たしかに、簡裁代理権を取得してからの司法書士は、それまでの本人支援という裏舞台から、表舞台に登場しました。そのため、この分野に関しては飛躍的に業務範囲を拡げたということがいえます。ただ、業務範囲が訴訟業務に拡がったからといって、登記業務が重要でなくなったわけではありませんし、社会から登記業務の絶対量が減少したわけでもありません。そして、不動産登記法の改正、新会社法の成立などのような重要法令の改正に後押しされながら、登記業務はむしろ多様化し、仕事量が増加している傾向にあると思います。
 登記業務が多様化すると、個人事務所で対応することは難しくなります。例えば、不動産の証券化によって数々のストラクチャーが生まれてきます。そしてこれを理解するには、これまでビジネスの世界で行われてきた証券化ストラクチャーを理解する必要があります。これまで間接金融のなかにどっぷり構築された登記業務の理解では到底、理解が追いついてはいきません。そこで個人ではなく、組織によって多様化する登記業務に対応する必要が生じているのです。
 もっとも、登記業務で、ある一つの手法が考えだされると、一定の期間、誰も彼も同じ手法に飛びつくのが日本のビジネスの面白いところです。収入面における事務所の安定性を考えた場合、登記業務には、このビジネスの特徴が強く反映されるのだと思います。つまり、新しい手法によって生まれる登記業務を同一事務所内でいくつも同時に行い、一つの手法が廃れても、別の手法が一方で行われているという具合です。

依頼者から信頼を得るためには、どんなことに気をつけるべきでしょうか。

 登記業務は、他の分野に比べてクライアントとの接触が比較的短い期間で終ります。この短い期間で本当に満足してもらえる仕事をするのはとても難しいものです。我々にとっては毎日の仕事であっても、クライアントにとってはそんなことはありません。相手の立場にたって、一生懸命尽くすこと、自己犠牲を惜しまないで対応すれば、それはやがて相手に通じ、信頼が生まれ、仕事をリピートしてくれるようになります。これが仕事での信頼関係というものではないかと思っています。
 また、当然のことですが、法律の分野で専門家といわれる我々は高い倫理性と専門性に支えられてはじめて依頼者から信頼されます。逆にボサボサのヘヤースタイルや、ノーネクタイで仕事を行い、乱暴な言葉遣いや、態度をとるようでは倫理性や専門性すら疑われてしまいます。また、一般の方の法律に対する無知や誤解をいいことに、その弱みにつけこむような言動があってはならないと思いますし、依頼の趣旨が不正なものであるならば、断固として拒絶する倫理観を持たなければ信頼関係は生まれないものだと思います。
 今では、数多くの方から信頼をいただき、仕事の依頼を受けるようになりましたが、開業当初は、事務所の経営のため、どんな仕事でもやらなければならないような状態でした。それでも不正につながるおそれのある仕事ははっきりとお断りした方が、かえってよい結果を生みました。知人の紹介で、ある不動産会社の仕事の依頼を受けることがありましたが、どう考えても売主の本人確認がとれず、その仕事を断ったのです。しかし、むしろこの態度が依頼者に好印象を与え、今では繰り返し仕事の依頼を受けるようになりました。それどころかその知人は信頼できる司法書士事務所としてまわりの方に紹介してくださって、これがどんどん拡がりをもつようになっていきました。

これから司法書士を目指される方へのメッセージをお願い致します。

 司法書士は、合格後即開業できる資格です。私も、合格と同時に登録、開業しました。どんな資格でも、実際の実務と試験との間に、求められるスキルやイメージのズレがあることは少なくありません。しかし、司法書士は合格後直ちに開業できる資格制度であるため、実務に直結した内容が多く出題されます。また、試験勉強をしながら事務所に勤め、実務経験を積んでいる受験者が多いのもこの試験の特徴です。これは、一定の知識を受験勉強で身につければ、現場でも十分対応できる事を意味します。受験の動機や年令、性別、家庭環境等、一人ひとり異なりますが、資格を取得して、即開業する事を望まれるなら、司法書士を目指してみてはいかがでしょうか。

 

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