地域、年齢、性別を問わず、拡がる活躍の舞台「司法書士の未来は本当に明るいですよ」
加藤憲一事務所 代表 加藤 憲一 先生 (司法書士)
■Profile
1986年に福岡県北九州市にて「司法書士 加藤憲一事務所」を開設。
司法書士として地域に貢献しながら福岡県司法書士会の副会長も務め、司法書士業務の将来を見据えた研修、地域のボランティア活動などに尽力。
司法書士会のネットワークのもと、全国的に活動している。
司法書士としての活躍の場はどのようなものがありますか。
私は司法書士業務の他に司法書士への研修も担当しているのですが、現在、そして将来の業務の拡がりに応じた研修を実施しています。また司法書士同士の交流の場でも司法書士が活躍できる場が一層増えていることを実感します。実際の業務について具体的に挙げてみたいと思います。
【登記業務】
登記業務は不動産登記と商業登記が主たるものですが、司法書士と弁護士以外は業として行ってはなりません。それは、高度な法律知識や専門知識が要求されるからです。不動産取引は、司法書士がほぼ100%立会いをしていますし、会社の登記にしても、単に申請書等の書類の作成にとどまらず、中小企業においては顧問として様々な法律問題のアドバイザーとして活躍されている方々は多数おられます。また、大企業においても、M&Aに積極的に取り組む司法書士も少なくありません。
【成年後見】
成年後見の仕事は社団法人成年後見センターや、家庭裁判所を介して選任依頼を受けています。依頼件数も年々増加しており、そのための研修も年間に数十時間実施しています。その参加人数はもちろん、質の面でも弁護士と同様に司法書士は一目置かれている存在となっています。
【法廷での活動】
法廷での活動については認定司法書士が、簡易裁判所における代理権を取得して法廷に立てることはご存知だと思いますが、実は地方裁判所や家庭裁判所あるいは高等裁判所や最高裁判所の案件でも書面作成を通じて本人訴訟の支援を行っています。
【市民の身近な法律家】
法律相談などの社会支援活動にも司法書士は積極的です。特にADR(調停などの裁判外紛争処理)、司法書士総合相談センターや民事法律扶助(2006年 10月から日本司法支援センター「法テラス」)では多くの司法書士が活躍されています。一方、高校生や一般市民に対して消費者問題などをテーマに分かりやすく法律研修を行ったり、災害地や緊急時での法律相談も行っています。阪神淡路大震災で一番最初に被災地に入ったのは司法書士と聞いています。また、ホームレスの問題に対しても、生活支援や債務整理の問題など積極的な活動を展開しています。
【法律家過疎地域対策】
大都市近辺、たとえば神奈川県にも法律家が少ない過疎地域があります。私たちのいう過疎地域は人口ではなく法律家が少ない地域をいいますが、このような地域での開業には日本司法書士会連合会が200万円近くの開業支援を行っています。さらに年間200万の生活資金を貸与しています。実際のそこでの業務は登記業務はもちろん企業向けの法務全般のコンサルタントがあります。また訴訟や成年後見、相続案件など地域の特色を活かしたオールマイティーな業務が求められています。
これらは司法書士の業務の一部にすぎません。年齢、性別、地域、今までのキャリアなど、全く関係なく満遍なく社会が司法書士を求めています。定年もないので明治生まれの現役司法書士も活躍しています。特に大都市以外にお住まいの方、年配の方、女性の方などには、どんどんチャレンジしてほしいです。司法書士の未来は本当に明るいですよ。