実務家講演会や沖縄スタディツアーは司法書士としてどうあるべきか、大切なことを教えてくれました

2012年2月掲載

【兵庫県】 ふるさと司法書士事務所  髙野 克洋 先生 (司法書士)

■Profile
2008年 司法書士試験合格
2010年 司法書士登録
2011年 「ふるさと司法書士事務所」開設

司法書士を目指した動機

自分の名前で仕事をしたい。尊敬する父の仕事を手伝いたい。社会的弱者といわれる人を助けたい、そのために司法書士を目指しました。また社会人の時に司法書士の先生と一緒に仕事をすることがあったことが大きかったと思います。さらには社会人時代に、リストラと常に背中合わせの職場にいたこと。同僚や先輩に対してリストラをする役目を担ったことで、「(リストラの対象となった)この人たちにも家族があり、生活もあり、幸せな生活を過ごしているはずなのに、本当に簡単に解雇していいのだろうか?」と日々自問自答し、苦悩したことにあります。その時に、「私は社員としてお給料をもらう以上、会社のために業務を遂行しているはずだ。だが、自分は自信や誇りをもって仕事ができているのだろうか?」と。考えに考えを重ね、妻の支えもあり、思い切って司法書士を目指すことが出来ました。本当に人間らしい仕事をしたい、自分の意思に従った仕事をしたいと考えたからです。

事務所・先生の理念をお教えください。また、どのような事務所、業務をして行きたいと思っていますか

司法書士の本業である不動産登記、商業登記業務を中心として、成年後見や一般訴訟と幅広くやっていきたいと思います。成年後見は法律家としての責務であると考えます。社会的弱者である被後見人の方が、高額な商品購入の契約をしてしまうことから守ったり、被後見人の生活や財産を、本人の利益のために管理し、サポートしてあげられるのは、法律家である我々の仕事であると思います。まだまだ、司法書士事務所というと、「いったいどういうことをしてくれるのだろうか?」と思われたり、敷居が高い部分があると思います。誰かに相談することなく、ただ泣いて毎日過ごすのは、とてももったいないことです。悩んだらうちの事務所に来て、お茶でも飲みながら、「実はね、」と相談できる「ふるさと」司法書士事務所にしたいと思います。
また、我々の仕事はサービス業であると思います。ただ手続きの代行をするのであるならば、誰だっていいことになります。数多くの司法書士の先生や知人などからご縁があってご依頼いただいたのですから、感謝の気持ちをもって120%のサービスを提供する、手続きした後の生活像も依頼者と一緒になって描ける司法書士になりたいと思います。

ところで先生の事務所名はどのような由来があるのですか

童謡の「ふるさと」の作詞家である高野辰之博士と私が血縁関係にあることと、いつも依頼者にとって「ふるさと」のような存在になれる、そんな事務所にしたいという願いから、「ふるさと司法書士事務所」という名前にしました。

現在の主な業務内容は

不動産登記業務(売買・贈与)、会社登記業務(設立・役員変更など)が主な仕事です。不動産登記業務は、不動産業者さんや銀行さんからご紹介されたお客さんの不動産の売買に立ち会います。依頼者にとってマイホームを持つという一生に一度の大イベントに立ち会える、司法書士としての醍醐味です。
また、会社設立業務も、新しく会社を立ち上げる人のために会社設立登記のお手伝いをしたり、新しく役員の変更があったりする場合に株主総会議事録を作成し、登記に必要な書類を作成し、登記申請をします。

やりがいを感じる瞬間

勤務司法書士時代では賃金の不払い、請負代金未払い、保証債務の消滅時効援用などを担当してきました。結果として、「ありがとうございました」と非常に喜ばれましたが、私の実感としては「法律家として当たり前のことをしただけであって、特別なことはしていない」と思い、逆に驚いたことがあります。「これからも長い付き合いをしていただきたいので、よろしくお願いします」と頼られたり、「肩の荷がおりました」と嬉しそうにされたり、ほっとされた依頼者のお顔を拝見するときは、やはりやりがいを感じます。もっともっと喜んでいただきたいなあと感じます。私は「こちらこそ、ありがとうございます」とみなさんに感謝しております。私もますます依頼者にとって、より信頼できる法律家にならねばと、自分の人間性や知識、スキルをレベルアップしようと思っております。これからも私が出会うすべての人が幸せになってほしい、そのために少しでもいいから力になれたらと思います。

伊藤塾に入塾したきっかけ、受講された講座の感想、塾で学んだ事が現在の業務で活きている部分

所講師からの「苦しければ最高」の言葉は、いつもかみしめております。私はついつい調子に乗ってしまい、油断してしまうので戒めの意味でも「常に苦しくあれ、成長を止めることなく日々成長し続けよ」と自分なりに解釈して、日々自己研鑽しております。
伊藤塾で良かったなあと今でも思うことは、熱い志を持った方が多いことです。合格後を見据えた実務家セミナーや沖縄スタディツアーでもたくさんの熱い志を感じることができ、感動したことを今でも鮮明に覚えています。

伊藤塾企画の実務家講演会や沖縄スタディツアーに参加されての感想

私の受験時代は、自宅と自習室の往復で、余裕はありませんでした。受験時代に「どんな司法書士になりたいか?」と言われても、「そんなのまだわからないよ」とおっしゃられる方がいるかもしれません。私もそうでした。伊藤塾では実務家講演会を開催し、現役の第一線で活躍されている司法書士の先生に会えるイベントが催されています。司法
書士になった今だからこそ分かるのですが、登場される方々は司法書士として大活躍されていらっしゃる重鎮の方ばかりです。受験時代に、素晴らしい先生方の講演を聞ける環境を提供してくださった伊藤塾に感謝です。私も受験時代に実務家講演会に出席して、漠然としながらも司法書士像を描いたものです。みなさんも合格後の自分の未来の司法書士像や、勉強に疲れた時のモチベーションアップに実務家講演会に参加されてはいかがでしょうか。
また、私は2010年に初めて沖縄スタディツアーに参加いたしました。所講師が日ごろおっしゃっていた、「生の沖縄」というものに触れ、苦しい体験をされながらも太陽のようにまぶしいばかりの笑顔で接してくれる沖縄の方たちは本当に温かく、私は沖縄が大好きになりました。未来があるのは、過去があるからこそ。その過去に真正面からぶつかるのは、まさに依頼者と僕ら法律家が、人と人とのぶつかりあう魂のぶつかり稽古のようなものです。法律家として、どうあるべきなのか。自分はどういう法律家になりたいのか。判断に窮する問題にも、これからどんどんぶつかるでしょう。その時に、沖縄スタディツアーで学んだ、日本国憲法の精神や、本質を知ることの大切さに立ち戻り、自己の中でぶれることなく決断を下すことができるでしょう。沖縄スタディツアーは本当に特別な時間でした。

合格を目指す受験生へのメッセージ

合格は厳しい道のりです。けっして平たんではありません。
しかし、すべての経験、この瞬間がみなさんにとって法律家となられた時に、血となり肉となります。だからこそ、歩みを止めないでください。いつか同じ法律家として共に業界を盛り上げていくことを楽しみにしております。

(2011年3月・記)


Information
事務所プロフィール
ふるさと司法書士事務所
〒661-0033
兵庫県尼崎市南武庫之荘1-19-1

■ 業務内容
不動産登記業務(相続売買・贈与)、会社登記業務(設立・役員変更など)、成年後見

■ 現在の「ある一日の仕事のスケジュール」
08:30 出社
10:00 打ち合わせ
12:00 昼食
13:00 法務局・取引先との打ち合わせ
16:00 登記申請
17:00 書類整理、調べもの
21:00 退社