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所先生の言葉を転機に、本気になり合格、26歳の独立後、仕事の魅力を感じる日々

 2008年2月掲載

【佐賀県】 高島定雄 先生 (司法書士)

■Profile
1998年 司法書士試験合格
2000年「高島司法書士事務所」佐賀県伊万里市にて開設
 
――information ――
地元の高校生や市の職員の方々へ身近に起きる法律問題をテーマに研修しています。

司法書士を目指した動機

大学1年の時に、父親代わりに育ててくれた祖父が他界し、母を含めた相続人間で、その遺産を争う事態が生じました。私自身、法学部に籍を置いていましたので、母からは、「相続の際にどうするのか?」と尋ねられたものの、何をしていいのやら、どのような手続きを取ればよいのか、全く分かりませんでした。
 その際に解決の糸口を見出してくれたのが近所の司法書士でした。親身になって相談に乗っていただき、母を安心させてくれた司法書士を身近で見て、自分も実社会で活用できる生きた法律を学び、司法書士を目指したいと思い始めました。

受験開始と挫折

 司法書士を目指すにあたって、私は所先生の講座で学びました。ただ、当事の私は、自分自身の決断や、行動に自信が持てませんでした。甘えもあるこのような状況の中での勉強だったので、試験の結果は案の定、不合格でした。司法書士に憧れはあるものの、先が見えない受験勉強に不安を感じていた大学4年の時、所先生へ相談に行きまし
た。
 所先生からいただいた返答は「続けなさい」という言葉でした。挫折をし、受験を諦めかけていた自分にとって、この言葉は何よりも勇気をもらった一言でした。同時に私のことを親身になって考えてくださっている気持ちに涙が出てきたことを今でも覚えています。  

再挑戦

所先生の言葉は、辛い時や、弱い自分が出てきそうな時の支えになっていました。そこで、まずは自信をなくしていた自分を変えたいと強く思い、環境面では華やかな大学生活と別れを告げるべく、風呂・トイレ共同の家賃1万3千円のアパートに転居し、クーラーもなく、テレビもない生活での受験勉強を開始しました。受講料や書籍代などを捻出していく為に、夜中の2時から朝の7時まで新聞配達の折り込み、その後、配達のアルバイトをして、9時から22時までは図書館で勉強に励み、睡眠時間を削りながら毎日毎日同じことの繰り返しの生活を送り、合格を果たすことができました。

現在の主な業務

 2000年4月に、佐賀県伊万里市に「高島司法書士事務所」を開設しました。私が26歳の時でした。現在は、私を含めて総勢7名(※編集者注:有資格者は高島司法書士のみ)で構成しています。年間、最も依頼の件数が多いのが不動産登記で800件、次に多いのが多重債務問題で200人程度、そして民事訴訟案件が50件程度といったところです。 正直なところ、倒れそうになるくらい忙しいですが、33歳の若輩者に対して、依頼をしていただけること自体、とても有り難い限りです。

社会・地域貢献として

 現在、通常の司法書士業務以外に地域での活動として、いくつか継続して行っていることがあります。ほとんどが報酬はなくボランティアですけど、私はやりがいを持って取り組んでいます。まずは、これから社会へ出る高校生を対象に学校へ講演に行っています。クレジットの仕組みとはどういうものか?金利とは?悪徳商法とは?など高校生に早い段階でそれらの知識、危険性を知ってもらっています。
 また、同じようなテーマでも病院や市の職員さんへの講演や研修も行いました。その他では、様々な事情で離婚をし、でも子供を育て生活をしていく為に母親が夜の7時8時まで仕事をしなくてはならない。その間、子供を独りにさせないよう仲間とNPO(民間非営利団体)を設立し、必要に応じて寄付をしたり、備品を買ったりと、これは司法書士を離れて、少しでも社会的に役に立ちたいという気持ちでこれからも続けて行ければと思っています。

やりがいを感じる瞬間・憲法の価値の実践

 司法書士の業務は、“人の思いが強い”仕事です。登記に関しては、何千万円というお金が動くと同時に登記をするわけです。依頼される方のほとんどは、一生に数回あるかないかの大きな出来事なのです。また、多重債務問題に関しても、借金に苦しんで、死ぬしか道が残されていないような方々の相談を受け、一つひとつ解決をしていく。
 日に日に相談者の顔に笑顔が戻り、生きていく気力を取り戻していただける姿を見る時は、この上ない喜びです。この様に司法書士の業務は、依頼者の人生を大きく左右する業務なのです。依頼者、一人ひとりを個人として尊重し、心を込めて仕事をさせていただけることは、責任の重さを感じると共に、大きなやりがいとなっています。

受験生の皆さんへ

 私は、人の笑顔と出会える職業として司法書士になって本当に良かったと思っていますし、人生が変わったと実感しています。
 人から必要とされる仕事が出来るというのがこんなに有り難いなって思うのは司法書士になって痛感しました。
司法書士が解決できることはたくさんあり、市民からの期待も大きくなっています。まさに可能性は大きく拡がっています。弱い立場の方や困っている方のために憲法の理念を大切にし、行動の出来る司法書士が一人でも多くなってもらえたら、うれしく思います。
 受験勉強は大変ですが、最後まで諦めずに頑張ってください。

★CLOSE UP:Q 利息制限法とグレーゾーン金利
 利息制限法とは、金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約及び賠償額の予定について、利率の観点から規制を加えた法律です。法1条に規定されている次に掲げる利率を超える金銭消費貸借はその超過部分につき無効になります。
・元本が10万円未満の場合 年20%
・元本が10万円以上100万円未満の場合 年18%
・元本が100万円以上の場合 年15%
  この利息制限法は、強行規定であり、この利率を超える部分は、絶対的に無効です。しかし、かつては、違反した場合の罰則規定が設けられていなかったため、多くの消費者金融等の金融機関が、この利息制限法に違反した貸付を行なっていました。罰則については出資法という法律で罰則が設けられていたのですが、出資法の上限利率は、利息制限法の上限利率よりも高いものでした。このように、利息制限法に定める上限金利は超えるものの、出資法に定める上限金利には満たない金利のことグレーゾーン金利といいます。
  利息制限法を超過して返済した利息は、元本に充当され、さらに、支払いを継続し、計算上元本が完済になった後、債務の不存在を知らずに支払った金額は、過払い金として不当利得(民703条)で返還請求することができます。
  2006年11月に貸金業規制法、出資法などが改正され、グレーゾーン金利は撤廃されることとなりましたが、利息制限法を超過して返済した金銭の返還を受けていない者は未だ多く存在します。


■事務所プロフィール
高島司法書士事務所
〒848-0027 佐賀県伊万里市立花町4088-2
 
■業務内容
不動産登記、債務整理関連、民事訴訟関連 など