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独立後に実感した“司法書士業務の幅広さ”様々な場面で喜びが感じられる仕事です

 2006年6月掲載

【神奈川県】 司法書士 植村洋子事務所 植村 洋子 先生 (司法書士)

■Profile
2004年 司法書士試験合格
2005年 東京都港区の司法書士事務所に入所
2005年 司法書士登録
2006年 横浜市内の司法書士事務所に転職
2008年 神奈川県横浜市「司法書士 植村洋子事務所」開設

開業・独立のタイミングについて

私の場合、開業独立というのは司法書士になろうと思った大きな理由の一つで、勤務司法書士時代も何年か働いた後に独立する旨は事務所側に伝えていました。私の場合は、勤務司法書士として3年3ヶ月働いた後の独立ですが、周りを見ても、同じような勤務年数で独立された方が多いようです。1年目は覚えることばかりで、がむしゃらに頑張ってアッという間に終わり、2年目はその反復で徐々に経験として固まってきて、3年目には登記以外の仕事にも目が向いて、司法書士の仕事全般についてある程度できるようになるのが一般的なようです。なので、その後に開業独立したり、司法書士法人にパートナーとして残るケースが多く見られます。

開業の場所選びと人間関係の構築

私が開業した横浜市南区というのは、司法書士が現在4名しかいません。都市部であっても、司法過疎の問題を抱える場所はありますから、これから独立開業を考えている方は検討されてもいいかと思います。司法書士の人数が少ないと、電話帳なりインターネットで検索されやすいですし、仕事の依頼につながりやすいという採算的なメリットもあると思います。
あと、開業した後は、一生そこで頑張るくらいの気持ちは持つべきだと思います。その意味でも、ご近所付き合いも大切です。商店街のお付き合いも大切ですが、私の場合はスポーツが大好きなので、スポーツクラブ等で自然と輪が広がった部分があります。みんな、スポーツ目的で行ってるわけですし、損得感情の話ではなく、何かの拍子に「あの人、司法書士さんらしいよ」ということで認識していただけた感じです。また当然ですが、スポーツクラブは健康維持に役立つのがいいんです。やっぱり身体が資本ですし、特に開業独立した場合は、自分が倒れたら仕事になりません。独立開業する場合は、健康管理というのは最重要事項の一つだと考えるべきだと思います。

現在の主な業務

いただいた仕事はよほどのことがない限り受託するスタンスではありますが、場所柄の特徴はあります。
住宅街ですし、お年寄りの方が多いので、相続関係の仕事の割合が高いです。一人暮らしのお年寄りの場合、御葬式や遺言の心配をされる場合が多く、そういった方々からの法律相談をお受けしたり、成年後見のお仕事をさせていただいています。
あとは、同じビルの税理士さんからの商業登記のお仕事や、ビルのオーナーが不動産業を営まれているので不動産登記関連のお仕事をいただくこともあります。
また、私は三青会(若手の弁護士・税理士・司法書士による団体)にも参加させていただいていますが、隣接の士業の方ときちんと人間関係を築けば、お互いに仕事で助け合えることができる場合もあると思います。
あとは、法律相談全般です。横浜駅のそごう前の広場で司法書士会主催の無料相談会に参加していますが、買い物終わりの方が気軽に相談にいらっしやったりします。
「法律事務所に相談するまでではなかったけど、ずっと悩んでいたことが解決できてよかった!」という感謝の声をいただくこともあります。
また、事務所近くの商店街は人通りが多いので、看板が目にとまり、それをきっかけに法律相談にいらっしゃる方も多いです。

性別に関係なく活躍できる仕事

他の仕事同様、本人のやる気次第で性別に関係なく活躍できる仕事だとは思いますが、女性だからこその利点だと考えられる部分もあります。
例えば、女性の方が長生きするケースが多いですから、独居のお年寄りというのは女性であるケースが多いです。 その場合、同性だから話がしやすい部分があります。
また、成年後見の財産管理は、会社の経理的な仕事ではなく、家計簿的な仕事になりますから、主婦の方が司法書士になった場合は抵抗なく取り組めると思います。
また、現在はオンライン申請も一般的になり、重い書類を運ばなくていいなど、体力的な負担がない点でも女性の方にお薦めできる部分があります。

精神の支柱にある「憲法の理念」

伊藤塾長から学んだ憲法の理念は、困っている方お一人おひとりに目を向けるものであり、法律家として肝に銘じておくべき精神であると思います。
現在は司法書士会の人権労働問題対策委員会に入り、生活保護を受けたくても受けられない方や、DV(ドメスティック・バイオレンス)に悩む女性達のお役に立てればと活動しています。自分が問題だと感じることに、自由に取り組めるようになったのは、独立開業してよかったことの一つです。
また、伊藤塾で学習してよかったことの一つに、テキストの質の高さがあります。
私は働きながら受験勉強と主婦業をしていましたから、時間は充分にあったわけではありません。使いやすいように各科目をサブノートとして1冊にまとめて、細切れ時間を積極的に活用して読んでいました。エレベーターの待ち時間に1問解いたりしましたよ。そのサブノートは、司法書士となった今も活用しています。民法などは特に内容が多いですから、伊藤塾のテキストは内容がまとまっているので調べやすいです。
伊藤塾は改正時の対応が早いですし、AとかBとか重要度も一目瞭然なので、また在宅教材を申し込もうかなと思う時があります。

今後のビジョン

漫然と仕事するのではなく、何か専門性を身につけ、これだけは誰にも負けない分野というものをもった司法書士を目指したいと思っています。専門性が高く司法書士が主たる業務にしている登記、市民に身近な視点でのアドバイスが求められる成年後見の仕事は、私にとって“一生の財産”と言えるものですから、今後も積極的に取り組んでいきたいと思います。
また、生活保護やDVなどもそうですが、以前は司法書士が取り組んでいなかった分野です。司法書士の職域を拡げるような活動に少しでも携わることができればと思っています。

これから合格を目指す方へ

受験勉強を頑張ることはもちろん大前提ですが、合格後の具体的なイメージを持つこつも同じくらい重要だと思います。10人の司法書士がいたら、10の活躍の方法があると思います。
「なぜ、司法書士になりたいのか」、「どんな仕事をしたいのか」を、受験勉強の合間に考えてほしいですね。
あと、私もそうでしたが、働きながら合格というのは簡単ではないですけど、社会人の方も頑張っていただきたいです。 たとえ異業種であっても、営業、接客を始め、あらゆる経験は司法書士の仕事でも活きる部分が大きいです。
大学生の方も社会人の方も環境によるメリットもデメリットもあると思いますが、一番重要なのは本人の志だと思います。司法書士は様々な場面で喜びが感じられる仕事です。これから合格を目指す方もぜひ頑張っていただきたいと思います。

(2009年2月・記)


Information
■事務所プロフィール
司法書士 植村洋子事務所
〒232-0061 神奈川県横浜市南区大岡2-1-21 アキヨシビル301
http://www.officeuemura.com/
■業務内容
不動産登記、商業登記、債務整理、成年後見、法律相談
 
■現在の「ある一日のスケジュール」(月末)

07:00  起床、朝食
09:00  出勤、メールチェック、各所連絡
11:00  法務局に登記申請と書類の回収
12:00  昼食
13:00  依頼者と打ち合わせ
16:00  書類作成
18:00  退社
18:30  司法書士会の勉強会に参加
21:00  夕食
22:00  帰宅