数多くの司法書士事務所の経営をサポート、業界全体から見える司法書士業務の変化
株式会社コンサルティングファーム 代表取締役 山口毅 先生 (司法書士)
■Profile
1960年生
1988年 司法書士試験合格
2000年 株式会社コンサルティングファーム設立 代表取締役就任
コンサルティングファームをはじめられたきっかけを教えてください。
従来の士業の仕事は自身の専門分野にのみ着目した「部分の問題解決」であり「全体として最適」な提案がクライアントにできていないとの問題意識が根底にあります。クライアントの求めている本来の目的達成を支援するために、多くの専門家がワンストップを目指して頑張っていますが、なかなかうまく機能していません。その原因の一つに、異業種の専門家がお互いを理解し一緒に仕事をするためのインフラが存在しないということがあります。一人ひとりの専門家の力ではこのようなインフラは構築できません。コンサルティングファームはそのインフラ作りのために作られたのです。
新旧司法試験合格後に控える司法修習では、5つの科目(大きくは2系統5科目民事裁判・民事弁護・刑事裁判・刑事弁護・検察)について、日々の裁判や訴訟の場で使う書面を実際に書く練習(起案)をしていきます。修習終了後、卒業試験に相当する「二回試験」を受けて、それに合格することで、実務家としてのスタートに立つことになります。
具体的にコンサルティングファームではどのような業務を行うのですか?
コンサルティングファームの経営理念は、『専門家を通して社会に貢献する』ことです。中小企業、一般市民の方々のかかえている課題に対してより便利に質の高い心のこもったサービスを士業事務所が提供できるように、私たちは士業事務所自体を経営(人事労務、財務)、営業、人材紹介といった側面から支援します。
ワンストップサービスを提供できる仲間作りが出来るように全国の専門家ネットワーク(メンターネットワーク)を主催したり、専門家同士の研究会の裏方をつとめたり、個別事務所のコンサルティングを行うのも理念を実現するための活動の一環です。
司法書士業界の動向と仕事の変化について教えていただけますか?
1998年に約17,000名程度だった司法書士は、現在では約19,000名となり、10年で約2,000名も増加したことになります。
増加のペースは年々上がってきており、10年以上前の増加人数は年約50名程度でしたが、直近2年に関しては約500名ずつ増加しています。この数字だけを見ると、「司法書士が多いと、仕事にあぶれるのではないか」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。ただ、これらは量的な変化であり、司法書士の方々は同時に質的な変化を行い、新たな需要を生んできました。以前は不動産会社や銀行を仲介とする登記がほとんどでしたが、今ではエンドユーザーからの依頼を直接受けることで、企業法務、債務整理、成年後見、裁判業務などの業務範囲が拡がったわけです。また、組織的な変化としては、競争相手が多い都市部では、専門分野を明確化した“ブティック”的な事務所や、色々な専門分野の司法書士が集っている“デパート”的な司法書士法人が増えてきた点です。また、あくまでも司法書士の総人
口が増えたのであって、逆に数が減っている地域もあります。司法書士の仕事というのは、日本全国でサービスを提供できますから、都市部から地方へ移住するケースも増えてきています。1998年に約17,000名程度だった司法書士は、現在では約19,000名となり、10年で約2,000名も増加したことになります。
増加のペースは年々上がってきており、10年以上前の増加人数は年約50名程度でしたが、直近2年に関しては約500名ずつ増加しています。この数字だけを見ると、「司法書士が多いと、仕事にあぶれるのではないか」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。ただ、これらは量的な変化であり、司法書士の方々は同時に質的な変化を行い、新たな需要を生んできました。以前は不動産会社や銀行を仲介とする登記がほとんどでしたが、今ではエンドユーザーからの依頼を直接受けることで、企業法務、債務整理、成年後見、裁判業務などの業務範囲が拡がったわけです。また、組織的な変化としては、競争相手が多い都市部では、専門分野を明確化した“ブティック”的な事務所や、色々な専門分野の司法書士が集っている“デパート”的な司法書士法人が増えてきた点です。また、あくまでも司法書士の総人
口が増えたのであって、逆に数が減っている地域もあります。司法書士の仕事というのは、日本全国でサービスを提供できますから、都市部から地方へ移住するケースも増えてきています。
司法書士の仕事と「憲法の理念」
司法書士の仕事は、従来の「手続き型」から、「問題解決型」にウェイトが移りつつあります。問題解決型の場合、誰の顔を見ながら仕事をするのかというのか非常に重要です。例えば、不動産会社からの登記の依頼があったとしても、司法書士の仕事は、買主の権利保全ですから、不動産会社ではなく買主の視点や気持ちを理解することが大切になります。その意味では、個人の権利を守るという「憲法の理念」に通じる部分があります。
手続きだけならば、コンピューターでもできるようになっていますし、会社を設立する場合も、本やインターネットや法務局で情報は集められます。しかし、依頼主一人ひとりに向き合って、全体的・総合的なアドバイスを行うからこそ、司法書士の存在価値があるのだと思います。
これから司法書士を目指される方へのメッセージをお願い致します
司法書士を取り巻く環境変化の中で、司法書士の果たすべき社会的役割は大きく広がっています。創意工夫によってその可能性は無限に広がっているといえるでしょう。
また、独占業務を国民から任されている分、その社会的な責任も大きなものがあります。その責任を、司法書士は“人格の総体”を持って果たしていかなければなりません。“この人格の総体”はこれまで皆さんが培ってきたもの、たとえばコミュニケーション能力、英語や中国語の会話が出来ること、もしかしたら医薬業界の経験、マネージメントの経験などすべてです。つまり、あらゆる皆さんの経験が活きるというのが、司法書士という仕事の魅力なのです。遅すぎるスタートはありません。ぜひ頑張って挑戦していただきたいと思います。
★CLOSE UP:司法書士を取り巻く環境の変化
【10年前までは、ほぼ横並びで差がつかなかった】
1. バランスがとれていた司法書士人口
(サラリーマンからの独立モデル)
2.限定された業務範囲
3.事務所形態は個人事務所に限定
4.広告活動の制限、決められた報酬規定
5.高度経済成長
↓
【司法書士を取り巻く現在の環境】
1.司法書士人口の量的・質的変化
2.独占業務の相互乗り入れ・業務範囲の拡大
3.法人化の影響
4.IT革命がもたらしたもの
5.法律・制度改正、外的環境の急激な変化
★CLOSE UP:時代の変化に応じた“キャリアプラン”の重要性
従来、大部分の司法書士試験の合格者は数年間、事務所で補助者として修行して独立、開業する地域や場所によって多少の違いはあったにしても、その後は主に不動産会社や銀行から不動産登記の依頼を受けて手続きを行う、といったキャリアを歩んでいきました。つまりキャリア上の目標といっても選択肢は限られていたので「計画するより実行する」しかなかったわけですし、環境変化が少ないので周りを見ながら途中で目標やそのための計画を修正するという必要もなかったわけです。
しかし、司法書士業界を取り巻く環境は激変しており、開業場所、専門分野、独立か勤務か、資格を活かすのか専門性を活かすのか(企業に就職する方もいらっしゃいます)などさまざまな要素を総合的に考えて自分のキャリア上の目標を設定し、つねにP(計画)D(実行)C(検証)A(改善)のサイクルを考慮しながら行動しつつ、目標そのものすらも時としては変えていくということが必要な時代になっているのです。
合格すればなんとなく食べられるという時代はすでに終わりました。
自分の今までのキャリアを基点として、しっかりとした目標設定を行ってそのためのキャリアプランをつくりその実現のためのステップを登っていくことが皆さんには求められているのです。
Information
株式会社 コンサルティングファーム
■事業案内
士業を対象とした経営支援事業、事業会社の経営支援事業、金融機関の支援事業、
士業を対象とした人材紹介業
■事務所
<本社>
〒102-0083
東京都千代田区麹町4-3-3 新麹町ビル インターネスト
TEL.03-5212-7272
<関西支局>
〒541-0047
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■ホームページ
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