司法書士も簡易裁判所での訴訟代理権を行使できると知り、受験を決意しました

珠久涼介 さん(37歳)
 

合格者イラスト
早稲田大学第一文学部卒業 アルバイト
◆受験回数: 6回
苦手科目記述式商登法
◆主な受講講座〔入門講座〕 スピードマスター講座〔中上級講座〕できる!記述式、記述式徹底解析講座〔ゼミ〕合格への「思考力」完成ゼミ〔直前対策講座〕うかる!記述式〔模試〕全国公開模試

私はこうして司法書士を目指す決意をしました

 私はもともと旧司法試験を受験していました。しかし、法科大学院がスタートし、旧司法試験の合格者数が年々削減される中、論文試験を突破することができず、また、法科大学院へ進学するのは時間と費用がかかりすぎると考え、悩んでいました。そんな中、司法書士試験のことを知りました。認定司法書士には簡易裁判所の訴訟代理権が与えられることを知り、当時伊藤塾高田馬場校で開催された山村拓也講師の無料公開講座に参加しました。山村講師の説明で司法書士試験についての興味は深まり、短期合格を目指し、この試験の受験を決意しました(もっとも、結果的に合格までは相当の時間がかかってしまいましたが)。

私がとった学習方法

入門段階の勉強法

 入門段階では、講義の復習として、テキストの読み直しと択一式の過去問演習をやっていました。しかし、朝から夜まで伊藤塾の自習室に篭り、勉強時間だけは十分でしたが、心のどこかで旧司法試験を引きずっていたのか、今思えばあまり集中していませんでした。択一式についても、過去問の肢を覚えることで満足してしまい、各肢を丁寧に(理由をつけて)検討していませんでした。また、記述式についても、山村講師から「1日1答案構成」を推奨されていたにもかかわらず、忠実には守っていませんでした(時々やらないことがありました)。このままではヤバいと思ったのは本試験1ヶ月前で、同じライブクラスの仲間の一人が猛烈に勉強をしていることを知ったときです。だめもとで私も集中して勉強を開始しましたが、1ヶ月そこらでマスターできるほど司法書士試験は甘くはありませんでした。当然、初受験となる平成19年度の司法書士試験は午後の択一式試験が全く基準点に達せず、涙を呑むことになりました。

中上級段階の勉強法

 初受験で記述式はおろか択一すらまともな点を取れなかったことは自業自得とはいえ、かなりのショックでした。直前期に「無理矢理」ではあっても一応知識を詰め込んだので、記述式は自信がなかったものの、択一式の基準点ぐらいはなんとかなると思っていたからです。やはり丸暗記は役に立ちませんでした。しかも、丸暗記した知識は本試験後直ちに頭の中から消えました。「あんなに膨大な知識をまた覚え直すのは嫌だ」と思っていたところ、関信敏講師の『思考力完成ゼミ』の話を耳にしました。司法書士試験で問われる知識を理屈に遡って説き解し、受講生に問いかけながら進んでいくこのゼミは本当に目から鱗でした。これにより、丸暗記ではない真の理解を得ることができました。おかげで、翌年の平成20年度の司法書士試験では択一式の基準点を超えることができました。
 
とはいえ、平成20年度の試験は有名な「別紙ショック」の年でした。択一式ではある程度の点数を取れていたのですが、不動産登記法の膨大な別紙に動揺し、不動産登記法のみならず、商業登記法でも大きく失点し、記述式の基準点を超えることができませんでした。
 そこで、記述式の実力を高めるため、再び『できる!記述式』を受講しました。答案構成も毎日やるようにしました(極力、答案まで作成するようにしました)。
 こうして、ある程度本試験で戦えるようにはなってきたのですが、生来の詰めの甘さが出て、毎年くだらないケアレスミスを連発し、択一式で点が取れても記述式で基準点に至らず、記述式ができても択一式の点が伸びず総合点落ちなどを繰り返し、数年が経過してしまいました。

直前期の勉強法や試験当日について

 知識の穴をなくしケアレスミスを防ぐために、今年は知識の精度を高くすることにしました。そこで、ベースとなる素材を「入門講座テキスト」と「(思考力完成ゼミで配布される)重要論点シート」、それにこれまでワードで作成していた「書式間違いノート」に絞り、短答過去問は直近5年間分を年度別に解くにとどめ、アウトプットについては記述式の演習及び伊藤塾や他の受験指導校が開催する答案練習会や模擬試験にとどめました。
 この点、例年解いていた通年度版の択一式過去問を解かないと決めるには勇気が要りました。多くの受験生が毎年通年度版の過去問を繰り返してくるからです。しかし、択一式過去問を解く意義は、出題範囲を知る点にあると考えました。私は過去問で出題された箇所については入門講座テキストにその旨マークしていました。そうだとすれば、「自分にとっては」入門講義テキストをメリハリつけて確認すれば、それで十分であろうという思いに至りました。「自分にとって」合格するために今必要なことは何なのかを吟味することはとても大切だと実感しました。
 模擬試験ではまずまずの判定をいただけるようになっていましたが、やはり、試験前日は緊張して眠れませんでした。ベッドに横になり目を閉じて心を落ち着かせることしかできませんでした。
 本試験当日、受験会場である早稲田大学で関講師と北谷馨講師に会い、北谷講師に「僕も合格する年は眠れませんでした」と言葉をかけていただき、とても安心したことは今でも鮮明に覚えています。受験中は時間配分ととにかく下らないミスをしないことに留意しました。
 択一式と不動産登記法の記述式はなんとか無事に終えたのですが、商業登記法の記述式が「『特例有限会社から株式会社への移行の登記』と『吸収合併の登記』」というまさかの組織再編の複合型で、添付書類である定款の読み取りに予想以上に時間がかかり、改めて「楽に合格させてくれないなあ」と痛感しました。この商業登記法の記述式により、試験終了後は合格した気が全くしませんでした。

伊藤塾の各講師陣についての感想・各講師へのメッセージ

 山村講師には『スピードマスター講座』『できる!記述式』でお世話になりました。私と同じ司法試験からの転進組ということでいろいろ相談にのっていただきました。なかなか合格しない私に対してもいつも優しく、それでいて勇気の出る言葉をかけてくださり、心の支えになりました。山村講師がいなければ今もなお記述式の解法はわからなかったと思います。本当にありがとうございました。
 関講師には『思考力完成ゼミ』でお世話になりました。司法書士試験で要求される膨大な知識を理屈から解説してくださり、丸暗記によらず、真の理解を得ることができました。
また、ゼミ以外でも何度も質問させていただきました。本当にありがとうございました。

最後に

 私は、司法試験と司法書士試験の受験期間を合わせるとあまりにも長い期間を費やしてしまいました。長い受験期間で得るものはほとんどないので、皆さんにはできるだけ短期で合格していただきたいと思います。
 そして、本試験を解くのは1人ですが、受験生活は1人では乗り越えることはできません。私も、これまで家族や友人の支えがあったからここまで続けて来れました。本当に感謝しています。ですから、皆さんも周りの人達への感謝を忘れないでほしいと思います。

司法試験からの転進について

 ズバリ「司法書士試験をなめないこと」これに尽きます。確かに、司法書士試験においては司法試験のような難しい論文式試験はありません。高度な論点の理解・記憶や判例集の読み込みも必要ではありません。しかし、司法書士試験で必要とされる知識の量は司法試験とは比べものにならないぐらい多いです。しかも、司法書士試験には午前の部択一式・午後の部択一式及び午後の部記述式それぞれに基準点(ボーダーライン)が設けられており、どれかひとつでもこれを満たさないと総合点がどんなに高くても不合格になってしまいます。そして、やっかいなことにこの択一式の基準点が極めて高いのです。これらの基準点を超え、さらに合格点を超えるには、基本的事項(これだけでも相当な分量)を徹底的にマスターすることが必要となります。そして、そのためには日々の積み重ねが必要となります。講師の言われたことに忠実に、努力を惜しまずに勉強していってください。