仕事に役立つという目的で勉強していたら、
いつの間にか試験に合格
実務に必要な知識は実は試験に必要な知識だった

石坂 哲将さん(50代)

◆受験回数 8回

私はこうして司法書士を目指す決意をしました

 受験動機としては風変わりですが、今の会社が金融機関職員向けの学習教材制作会社で、司法書士試験の知識が役立つと知ったのがきっかけです。例えば、融資時の代表者確認で、持分会社は他に代表しない社員がいない時は代表登記しないとの知識は役に立ちました。不動産登記については司法書士に頼むので、それまでの学習教材が通り一遍の記載しかなかったのを作り直した際に、独学で片手間に勉強していたことが驚くほど役立ちました。そのため勉強しても無駄にならないだろうと、毎回落ちながらも続けていたら、8回目で何とか総合合格できました。

伊藤塾を活用した私の学習方法

①入門段階の学習法について

 択一式基準点越えに5年半掛かりました。勤め先で土日出勤も少なくなかったこと、そのため独学するしかなかったこと等、言い訳的になりますが、逆に伊藤塾の講座を取られている皆様なら、講義や教材の復習をきちんとやることで、基準点越えの期間はもっと短縮できると思われます。私は独学でしたが、その間役立ったのは「うかる!司法書士必出3300選」(日本経済新聞出版社)(特に独学の方は、)択一式の基準点を越えるまではこれを愚直に繰り返すのが一番と思われます。最初はひたすら過去問を解いていましたが、肢問の意味がわからず答えを憶えても、結局すぐ忘れる。「3300選」の豊富な表に、時間はかかりましたが身体が馴染むにつれ、相当数の問題が本のどこに書かれている事項かくらいはわかるようになった所で、いつの間にか、6回目に基準点は越えていたというのが正直な実感です(2016年、54問)。

②中上級段階の学習法について

 次の1年間は記述式を中心にやりました。同年の記述15点では到底記述式基準点に届かない、「これを何とかしない限り、結局受からない」と感じたためです。
 結果的には、それが良かったと思います。記述式落ちでも基準点ちょっと下くらいだと、択一式逃げ切り点を取れるよう、択一式を強化する方が多いと思われますが、私の経験では、逃げ切り点を確実に取れるようにする(記述式はうまく基準越えすれば受かる)ことを狙うよりも、記述式を徹底的にやるほうが実行・成功しやすいです。それで上乗せ6~7点(択一式2問分強)くらいまでは確実に取れるようになる。そうなれば、逃げ切りマイナス2問、うまく行けばマイナス3問でも合格、を狙うほうが、実は確実な近道と考えます。
 そのための勉強法ですが、普通の受験生なら不登より商登の強化がおすすめです。択一式は不登の勉強にウェイトを掛けるため、不登が取っ付きやすい人が多いと思いますが、本番で失敗した場合にも備えるなら、枠ズレ1つで後ろを完璧に書いていても0点になるおそれがある不登より、「登記不可事項」と関連登記の失敗で済む商登の方が、得点の確実性は高いと思われます。37問目の商登記述式を最後に解き、時間切れになる人も少なくないですが、商登記述式を得意にして、それを午後の最初に解けば、超強力な得点源になります。大雑把には、商登で25点程度取れるレベルになれば、記述の基準点が40点以下の昨今、不登が20点以下、15点程度でも合格できる可能性が十分あります。
 商登記述式の勉強法としては、とにかく書式をひととおりは憶えて、聞かれれば書ける状態にはすることが最初です。知らない書式は、どんな優秀な人でも解けません。そのうえで、本番に近い形式の問題を数多く解くこと。私はここで、山村拓也講師の「うかる!司法書士 記述式答案構成力 実戦力養成編」(日本経済新聞出版)を使い、問題を見て、どこから手を付ければ良いかを学習することができました。スペースの関係で書き切れませんが、以下のように「どこに注意して問題文を読むか」を定め、それを身体に憶えさせるため、できるだけ多数の問題を解いて、練習を繰り返しました。

③直前期(合格した最終年)

 2017年に記述式基準越え・総合落ち後、合格した2018年は択一式のレベルアップを図りました。
 択一式の勉強で考えてもらうと良いと思うのは(特に不登)、訊かれていることは大概、普通のテキスト(受験指導校のでも「3300選」でも)に載っていることです。ただし訊かれ方が、見慣れない先例を引っ張ってくるので、何を訊かれているかわからないと感じることが多いことです。そのため、1冊の問題集を通読?して完璧にするよりは、ひとつの単元(処分禁止の仮処分関係とか仮登記担保関係など)の問題を可能な限り集め(過去問、答練、模試の過去問、それで少なければ市販の問題集も加えるなどでそれなりに集まると思われます)、教材を横に通貫して解いて行く、全部解けるようになるまでは何回もやる、最後に1日置いて、もう1回やるというのをおすすめます。要はその単元について、どういう訊き方をされても解ける状態を目指すということです。
 また、会社法、民訴、執行保全はコンメンタールを読むことをおすすめします。とりわけ会社法は、テキスト等で見たことのない条文の問題が出されます。よく「条文素読」をすすめられると思いますが、上記科目はあらかじめ条文の内容を理解してないと(類似条文から推察できる場合等でないと、)素読しても意味がわからず、下手すると無駄な時間になります。コンメンタールなら、解説があるので、寝転んで読んでも相当の効果はあります。事前に100%勝算があった訳ではないですが、2ちゃんねるなどで実際にやった人の投稿を読み、自分が苦手と感じていた所と重なる部分が多かったので、これに賭けるつもりでやった所、29年に午前27、午後24の上乗せ2問の総合落ちだったのが、今年は同29、30で逃げ切り点(上乗せ25.5点。8.5問)を何とか確保できました。逆に、いかにも時間が掛かるこれらの試みに賭けてみることができたのは、記述に相当程度自信を持てた(逃げ切りマイナス2問でも何とかなると思っていた)のが大きいと思われます。

伊藤塾の各講師陣についての感想・各講師へのメッセージ

 講座は取っていませんでしたが、上述のとおり、「うかる司法書士3300選」と山村講師の「うかる!司法書士 記述答案構成力 実戦力養成編」には大変お世話になりました。特に合格年は、上記のとおり各単元に集中する勉強法だったので、マイナーは3週間手付かずとかもザラにありました。そのため、模試や本番の前日に総ざらいをしておく必要があり、その際には半日で1冊回せる「3300選」が大変役に立ってくれました。

最後に

 上記の方法は、全ての受験生に有効とは限らず、逆にすでに記述式がある程度できている人には、不要なこともあると思われます。自分の強み・弱みの分析を的確に行い、必要な勉強を、そこにできる限りウェイト、時間を掛けてやることだと思いますが、記述式、特に商登重視と、択一式の「どんな訊き方をされても解けるように」は、案外多くの方が使えるのではと思います。参考にされて、皆様の合格につながればと思います。