「文系資格の最難関」と称される司法試験。
その勉強を始めると、大学生活を犠牲にして机に向かい続ける
――そんな過酷な日々を想像する人も少なくありません。
しかし、実際に大学在学中に予備試験や司法試験へ合格した先輩受講生たちの話を聞くと、
そのイメージは大きく覆されます。そこにあったのは、ただ闇雲に勉強へ没頭する生活ではなく、
限られた時間を戦略的に使いながら、自分らしい大学生活と学習を両立させていく姿でした。
本コンテンツでは、大学1年生から学習をスタートし、見事合格を果たした先輩たちのリアルな声と、
さまざまなデータをもとに、合格までの軌跡を紐解いていきます。
\ 合格者に聞きました /
なぜ、多くの大学生が大学1年生から予備試験に挑むのか。
予備試験の人気を決定づける様々なメリット
予備試験と司法試験は出題内容が近い
司法試験と予備試験は、試験制度こそ異なるものの、その出題内容には大きな共通点があります。
まず短答式試験では、出題問題のおよそ7割が共通しているといわれています。つまり、予備試験の短答対策として学習した内容の多くは、そのまま司法試験の対策としても活用できるということです。
また論文式試験についても、試験時間の違いはあるものの、出題形式や問われ方は非常に似た構成となっています。司法試験が1科目120分であるのに対し、予備試験は1科目70分と試験時間は短いですが、法律問題を分析し、規範を示し、事案に当てはめて結論を導くという基本的な思考プロセスは共通しています。
このように、予備試験で求められる能力は、司法試験で求められる能力とほぼ同じであるといえます。そのため、予備試験対策として行った学習は、そのまま司法試験対策にも直結すると考えられています。
司法試験でも高い合格率を示す予備試験ルート
こうした試験内容の共通性は、実際の合格実績にも表れています。
2025年の司法試験では、予備試験ルートからの受験者472名のうち468名が合格し、合格率は99.2%という非常に高い数字を記録しました。
さらに、論文式試験を含めた最終合格率でも、予備試験合格者の合格率は90.7%と、司法試験全体の合格率41.2%を大きく上回っています。
この結果は一時的なものではなく、制度施行以来14年連続で予備試験合格者の合格率が最も高いという実績が続いています。こうしたデータからも、予備試験を経て司法試験に挑むルートが非常に高い成果を上げていることが分かります。
予備試験は大学生にとっての主要ルート
特に注目されているのが、大学在学中に予備試験へ挑戦する学生の増加です。
2025年の司法試験でも、大学在学中出願者の合格率は98.6%という極めて高い水準を記録しました。この数字は、在学中から予備試験に挑戦することが、司法試験合格に向けた有効な選択肢であることを示しています。
かつて予備試験は「司法試験の予備的な制度」という位置づけで語られることが多くありましたが、近年では、大学在学中から予備試験を目指して学習を始める学生が年々増加しています。
その背景には、試験内容の共通性や高い合格率といった制度的な特徴があります。予備試験対策として身につけた知識や思考力が、そのまま司法試験対策へとつながるため、効率的に合格を目指すことができるからです。
こうした事情から、かつては「例外的なルート」とされていた予備試験ルートも、現在では多くの大学生にとって司法試験合格を目指すための有力な進路の一つとなっています。
予備試験合格者の2025年司法試験短答式試験合格率
2025年司法試験合格率
法科大学院(既修)[2年次] 予備試験合格/司法試験合格
大阪大学法学部卒業
大阪大学法科大学院(既修):土井さん
予備試験は合格率の数字ほどハードな試験ではないと感じています。
予備試験ルートで司法試験に合格すれば、法科大学院へ進学することなく、時間や費用を抑えながら早期に法律家を目指すことができます。
法科大学院ルートの場合、まず大学卒業が受験の前提となるため、通常は4年間の大学在学期間が必要です。法曹コースや早期卒業制度を利用した場合でも、少なくとも3年間の大学就学期間を経る必要があります。さらに、法科大学院へ進学した後も、最低2年間の在学期間が求められます。
これに対して予備試験は、受験資格に制限がなく、大学在学中でも受験が可能です。大学在学中に予備試験へ合格し、翌年の司法試験に合格すれば、最短ルートで法曹への道を切り開くことができます(図1)。
また費用面でも両者には大きな違いがあります。法科大学院へ進学する場合、170万〜380万円程度の学費に加え、入学金や受験料などの負担が発生します。一方で、予備試験にかかる費用は受験料の20,000円のみ(オンライン出願の場合。郵送出願は21,000円)。このように司法試験受験までに必要となる費用には、両者で大きな差が生まれます。
2026年に学習開始した場合
[大学2年次] 予備試験合格/司法試験合格
慶應義塾大学法学部:中邨さん
私の場合、合格後に留学や会計学の学習など他の時間を確保できているので、
人によって早期合格のメリットは様々だと思います。
大学1年からの予備試験対策は、実は最強の法科大学院入試対策
大学1年生の段階から予備試験の学習を始めることは、実は法科大学院入試の高度な予習として機能することにもなります。
予備試験の論文式試験では、法律基本七科目(憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法)が出題される一方で、多くの法科大学院の入試でも、最大で同じ法律基本七科目の論文式試験が課されます。
さらに重要なのは、一般的に予備試験の方が法科大学院入試より試験レベルが高いとされている点です。そのため、予備試験の対策として法律基本七科目を学習しておけば、そのまま法科大学院入試の対策にも直結することになるのです。
法曹コースの予習としても相性が良い
また、各大学の法学部に設置されている法曹コースのカリキュラムは、法律基本七科目を中心に構成されています。そして、法曹コースから法科大学院へ進学できるかどうかは、これらの成績が重要な判断材料となります。
この点でも、大学1年生から予備試験対策として法律基本七科目を体系的に学習しておけば、それがそのまま大学の法曹コースの予習としても機能するため、結果として、大学の成績向上にもつながり、法科大学院進学において有利になります。
近年は、いわゆる「五年一貫型」などの制度を通じて、法曹コースから自大学等の法科大学院へ推薦で進学するルートが整備されており、このルートで進学するうえで、大学での成績が極めて重要になります。そのため、予備試験の学習を通じて法律基本七科目の理解を深めておくことは、法曹コースの成績向上だけでなく、こうした進学制度への対策としても大きな意味を持つことになるのです。
[法科大学院2年次]予備試験合格
司法試験合格
中央大学法学部早期卒業
中央大学法学部卒業 東京大学法科大学院(既修):上村さん
また、予備試験にも挑戦し予備ルートで司法試験に合格できました。
早く始めることで学習期間に余裕が生まれる
大学1年生の段階から予備試験を目指して学習を始めることは、実は大学生活と自分がやりたかったことを両立するための大きなポイントになります。
一見すると、早くから試験勉強を始めると大学生活が勉強中心になってしまうように感じるかもしれません。しかし実際には、早期に学習をスタートすることで、むしろ大学生活とのバランスを取りやすくなるという側面があります。
予備試験は難関試験であるため、短期間で詰め込む形の学習は大きな負担になりがちです。
一方で、大学1年生から学習を始めれば、試験までの期間を長く確保することができます。その分、一つ一つの学習を無理なく進めることができ、日々の勉強時間にも余裕が生まれます。
この「時間的な余裕」があることで、勉強だけに追われる生活にならず、サークル活動やアルバイトなど、大学生活でやりたかったことにも時間を使うことが可能になります。
早期学習が両立の秘訣になる
つまり、早めに学習を始めることは単に勉強を前倒しにするという意味だけではありません。
むしろ、学習期間に余裕を持たせることで、勉強と大学生活の両立を実現するための環境を作ることにつながります。
結果として、予備試験の学習とサークル活動・アルバイト・友人との時間といった大学生活のさまざまな経験をバランスよく楽しむことができるようになります。
実際に、予備試験の学習をしている伊藤塾の受講生の多くも、サークル活動やアルバイトとの両立を実現しています。
早期に学習を始めて計画的に学習を進めることで、無理なく予備試験対策を進めながら、充実した大学生活を送ることが可能になるのです。
\入門講座受講中の大学生に聞きました/
[大学4年次] 予備試験合格/司法試験合格
一橋大学法学部:Rさん
他にも自宅での大学入試の過去問添削や、
居酒屋のホールスタッフのアルバイトもしておりました。
予備試験合格は就職活動でも評価される
予備試験に合格することは、司法試験受験資格を得るという意味だけでなく、将来の就職活動においても大きな強みになります。
近年では、大手渉外法律事務所をはじめ、多くの法律事務所が予備試験合格者を対象としたインターンシップや説明会を実施しています。こうしたプログラムは、通常の学生向けの採用活動とは別に設けられていることも少なくありません。
それだけ、予備試験合格者という経歴が法曹界で高く評価されていることを示しています。
司法試験合格前に内定が出るケースもある
実際の採用活動では、予備試験合格者が司法試験の合格を待たずに内定を得るケースも珍しくありません。
予備試験は難関試験として知られており、合格している時点で高い法律知識と学習能力を備えていると評価されます。そのため、法律事務所側も将来の司法試験合格を見据えたうえで、早い段階から採用活動を行うことがあります。
このように、予備試験合格者は通常の就職活動よりも早いタイミングでキャリアの選択肢を広げることができる場合があります。
質問 就職活動でアドバンテージを感じましたか?
法科大学院(既修) [2年次] 予備試験合格/司法試験合格
慶應義塾大学法学部早期卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修):浦田さん
文系・理系を問わず、法学部以外の学部に進学した後に司法試験を目指す人は決して珍しくありません。
受験資格の制限がない制度として予備試験が始まって以降、その傾向はさらに強まっています。実際に、伊藤塾に通う受講生の中でも、4人に1人以上が法学部以外の出身者です。
では、なぜ法学部以外の出身者が司法試験を目指すのでしょうか。
他学部出身者には独自の強みがある
法学部以外の出身者は、主に次の2つの強みを持っているといわれます。
・自学部の学問と法律学習を両立してきた能力
・自学部で培った専門的な知識
実務の世界では、弁護士は一つの案件だけでなく、複数の案件を同時に処理することが一般的です。そのため、異なる分野を並行して扱う力は重要な資質の一つといえます。
また、企業法務などの分野では、企業会計・経済学・社会学・マーケティングなど、法律以外の知識が役立つ場面も多くあります。こうした専門性を持つ法律家は、実務の現場でも高く評価されることがあります。
法学部が必ずしも有利とは限らない
「法学部の方が司法試験には有利ではないか」と思われるかもしれません。しかし、必ずしもそうとは限りません。
大学の法学部では、一般的に「基本書」と呼ばれる専門書を使って授業が行われます。基本書は研究成果を示す性格が強く、執筆者の学説や見解が反映されることが多いものです。
一方で、予備試験や司法試験では、条文や判例を中心に様々な学説をバランスよく理解することが求められます。そのため、試験対策としては受験用の体系的な学習が必要になることが多いのです。
実際、法学部の学生であっても、試験対策として受験指導校で改めて法律を学ぶことは一般的です。つまり、大学で学ぶ法律と試験対策としての法律は必ずしも同じではありません。
理系出身者は司法試験に向いているとも言われる
特に理系出身者は、司法試験の学習に向いているといわれることがあります。
その理由の一つが、論理的思考力です。司法試験の論文式試験では、法律や判例から導かれる「規範」を示し、それを具体的な事案に「当てはめ」、結論を導くという思考過程が求められます。これはいわゆる法的三段論法と呼ばれるもので、論理的な思考力が重要になります。
こうした思考プロセスは、理系分野で培われる論理的思考と共通する部分が多いといわれています。
理系・他学部出身の法律家の需要は高まっている
実務の世界でも、理系や他学部出身の法律家が活躍する場面は増えています。
例えば、医療、IT、自動車、知的財産といった分野では、高度な専門知識が求められる法律問題が数多く存在します。こうした領域では、理学・工学・医学などの知識を持つ法律家が強みを発揮することも少なくありません。
そのため、他分野の専門知識を持つ法律家の需要は、今後さらに高まっていくと考えられています。
司法試験合格
明治大学政治経済学部卒業/早稲田大学法科大学院:(既修)古井戸さん
学習仲間を探し、コツコツ学習を進めれば合格できるので頑張ってください!