沖縄スタディツアー参加者の声
2022伊藤塾沖縄スタディツアーに参加して
私の今回沖縄スタディツアーに参加の目的は、一票の格差のサポーターを探すためであった。
私が一票の格差の裁判に関わるようになってから、実家近くの金沢と、自宅近くの名古屋の2カ所の入廷シーンに出ている。金沢を担当してくれている井上弁護士がその間の2年間の留学に際しては、日比谷パーク法律事務所の弁護士さんが交代で来てくれた。
2022年1月の衆院選の口頭弁論では、1人1票の代表のひとりである久保利弁護士がその歴代4人の弁護士を連れて金沢に来てくれた。それから後の参院選違憲訴訟の一斉提訴で、秋田と松江を新たに担当している様子をテレビ
ニュースで観て、お礼も兼ねて応援に行くことにした。口頭弁論と判決は日程がバラバラなので都合がついた。しかし、国政選挙が行われると、その翌日に全国一斉提訴となる。身は1つであるため、提訴の時に他にプラカードを持ってくれる人がいると良いなと思ったのだ。秋田は1枚、松江は2枚であるが、福岡は5枚もあるのだ!
先の衆院選は、私が住んでいる選挙区の候補者の中に伊藤塾長の元教え子の方がいて、心から信頼して応援した。沖縄辺野古の問題を縁に、福島瑞穂さんが名古屋に来れば顔を出した。先の参院選では私の実家の富山に行くというので、土地勘があるためご一緒し、金沢の遊説にも回った。
金沢は、原告の方が入廷シーンにも参加してくれていて、その方が伊藤塾の塾生で今は合格して行政書士をされているという。
福岡も参加に加えたのだが、以前も沖縄スタディツアーに参加して、ずっと繋がっているお友達がいたからだった。伊藤塾のツアーに行けば、必ず良い出会いがある、体験からも確信していた。
ツアー参加の動機はもう1つあった。
野党の党首が沖縄県知事選挙に集結したことを知って、嬉しく思い、時期はずれても心を合わせ沖縄に行きたいと思っていたのだ。
衆院選で伊藤塾長の教え子を応援していた時、その党首がやって来た。私は内輪の感覚でいたので、集まる方に道を譲り挨拶せずにいたら、向こうから挨拶してきた。
名古屋駅に、障害者の国会議員を出した党の党首がやってきて、「戦争が始まってしまった。」の言葉に聞き入っていたら、演説後向こうから名刺を両手で差し出し挨拶された。
直接会い、向こうから挨拶されたことで親近感を持ち、力を合わせることで何か動かせるのではないかとイメージが持つことができ、とても心を強くしたのだ。
2022年沖縄スタディツアーで1番印象に残ったのは、本土の盆踊りである、エイサーの体験である。目の前の仕事のこと、たくさんの命、それぞれの人生のストーリー。何事も、つい頭ばかりが先走りがちだが、太鼓やエイサー
音楽のリズムが心を整えてくれるように感じた。ガマのどのガイドさんも優秀なグループだと感動する、高い集中力のグループの一体感がそこにはあった。
一体感といえば、自然の中でマングローブを見て歩き、落ちると双葉が出るタネがとても可愛らしく思えた。高校生の時、父の運転の車の中で、「植物学者は研究すると、その気の遠くなる生殖確率の仕組みから、神学者か哲学者のようになってしまう」というラジオ放送を聴いて笑ってしまったことや、大学の講義で「自然を見てイライラする人はあまりいないですね。」と知的な教授が言った時、1人大笑いしたことを懐かしく思い出した。川にはカヌー教室をしているグループがいて、先には海が見えた。そこにはゆったりとした時間が流れた。
もう1つ印象に残ったことは、以前読谷村に来て聞いた小橋川さんのお話で、以前から観葉植物や紅芋で産業が賑わっているが、今はマンゴーで2千万円の売り上げを出す農家さんもいることである。小橋川さんに初めてお話を聞き、その数年後に紅芋タルトが近所のスーパーで売られているのを目の当たりにしたときはしみじみとしたものだが、それ以上に読谷村が経済的に豊かになっていることを知って心が躍るように嬉しく思った。
ツアー初日の懇談会では、隣の席のロースクール生が一票の格差の傍聴をしたことがあり、近い将来、裁判にも関わりたいと言ってくれた。すぐに私のツアー目的は達成されてしまったことになる。
同室の方が新聞記者の方だったり、マスコミに勤める社会人の参加者もいて、ふだん一票の格差で感謝と敬意を持って関わっている職種の方にも出会えた。
また、私の娘が看護師になって病院の、特にICUに勤めたせいか、平和祈念資料館やチビチリガマでの母娘の惨事は、より深く悲しみを感じるようになった。
これまで沖縄や福岡など、飛行機で西にしか行ったことがなかったが、先日1票の格差の応援で初めて秋田に行ったことで、飛行機の窓から、これまで慣れ親しんだ高層ビルが立ち並ぶ名古屋駅をこれまでのずっと上空から見ることができた。右手には雲海の上に日本アルプスの尾根と富士山が見えた。早朝のフライトということもあって、後方を振り向くと知多半島は黄金に輝いていた。
お人のために、と思って動いたことが、結局自分を支え、生かしてくれる。
ただ10も満たないようなニュースの入廷シーンにメッセージを持って歩く。本に書いてあったからと信念を持ってやっているものの、時に凄く孤独である。求める違憲無効の判決が出ず、どうして1票の格差の裁判は勝てないのだろうと、スポーツの勝敗を見て涙が流れたこともあった。しかし前回、金沢に行って富山にも寄った時、新高岡駅の新幹線の待合室で福島瑞穂さんとあんなことを話したな、と心があたたかくなったのだ。
10年以上も前、全国一斉提訴のニュース映像を観て「わが加賀(金沢)の人が少ない!」と思って参加するようになったサポーター活動は、また今回、伊藤塾沖縄スタディツアーに参加することで出会が広まり、より深まり、そして私を豊かにしてくれた。