現段階で視野を狭めてしまうのではなく、幅広く将来の選択肢に興味を持つ、好奇心が大切

厚生労働省

N.K さん(22歳)
 

◆ 出身大学 :京都大学法学部4年 ◆ 受講講座 :司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング
◆ 最終合格 :国家総合職 法律区分
◆ 内  定 :会計検査院
◆ 予定進路先:会計検査院

※プロフィールは、2017年合格時点のものです。

はじめに

大学入学すぐの頃は、漠然と法曹の道に進みたいと考えていました。受験指導校に通って効率的な勉強をしたいと考え、合格実績が良く、サポートも充実している、伊藤塾を選びました。それから3年生になる頃までは、法科大学院入試を念頭に学習を進めていましたが、3年生の夏休みに参加した経済産業省のインターンシップをきっかけに、国家総合職という選択肢もよいのではないかと考えるようになりました。日本の行く末を真剣に考え、かじ取り役を担っている職員の方々を見て、自分もこんな仕事がしてみたいと思いました。

私がとった勉強方法

専門試験(多肢選択式について)

主要科目である憲法・民法・行政法は、伊藤塾で早めに勉強を開始していたことがおおいに役立ちました。3年生の秋~冬にかけては、司法試験入門講座で使用していた短答問題集を解いていました。これが完璧に解けるようであれば、主要科目についてはほとんど問題ないと思います(ただし、公務員試験独特の問題形式もあるので、冬以降は実際の過去問で勉強していました)。 選択科目である労働法・刑法・商法は独学でした。適切な勉強方法がよくわからなかったので、3年生の秋頃に伊藤塾で勉強方法についてお伺いしたところ、丁寧にフォローしてくださり助かりました。

専門試験(記述式)について

 記述式試験については、多肢選択式試験が終わったあと1か月間で本腰を入れて勉強しました。多肢選択式試験で落ちては元も子もないので、それが終わるまではあまり手につかなかったというのが正直な理由です。公務員講座に通っている友人と一緒に、答案を添削しあったりながら、答案作成の作法を身につけていきました。 司法試験講座で勉強されている方であれば、この試験について特に身構える必要はないかと思われます。ただし、六法を参照できない、学説には基本触れずに判例実務を前提とした回答がより重視されている、制限字数が少なく簡潔な文章が求められるなど、慣れていなければ最初は戸惑う点も多々あると思います。過度に恐れず、ただし油断することなく対策する必要があります。

基礎能力試験(多岐選択式)について

基礎能力試験については、司法試験講座では全く触れていなかったので、3年生の秋以降独学で進めました。特に数的処理が苦手だったのですが、専門科目の勉強を言い訳にして、年明けまで全く触れなかったところ、最後にツケが回ってきました。よく言われることではありますが、一日一題でもよいので、問題に取り組んでみるべきだと思います。ただし、知識問題も含めるとかなり範囲は広いので、いかに全体で効率よく点をとっていくかということが重要です。私の場合は、文章理解や時事問題で点数を稼げたことで、数的処理の苦手分をカバーできました。配点から言ってもあくまでメインは専門科目ですので、ご自身の強み・弱みを早いうちから理解しておいて、効率的な勉強をすることをお勧めします。

政策論文・総合論文試験(記述式)について

特に対策はしていません。試験直前に受けた模試で一度答案を書いてみた程度でした。新聞を読むなどして、時事に関心を持っておくことが必要と言われますが、だいたいの世の中の流れを把握しておく程度でよいと思います。むしろ、問題で提示された資料をいかに解釈し、情報を有効に答案に盛り込むかという、ある意味で形式的な力が問われているような気がします。ひとりよがりな答案を作るのではなく、あくまで問われていることに忠実に、資料を用いたことをアピールしながら書くとよいと思います。

面接・集団討論について

人事院面接で用いる面接カードの添削と、模擬面接を伊藤塾でしていただけたのが、非常に助かりました。友人とも面接対策はしていたのですが、講師の方から受ける指摘は、より具体的で参考になりました。最初の頃は、全くうまくできずにへこむこともありました(笑)。しかし、回を重ねるごとに徐々にポイントをつかめてきたように思います。

 官庁訪問について

最終合格後は志望省庁を同じくする友人と勉強会を開いたり、新聞記事に目を通したりして過ごしました。官庁訪問については巷で様々なうわさが流れていますが、あまり真に受けないことが大切だと思います。なかなかうまくいかない場面も経験しましたが、講師の方に電話で相談にのっていただくなどして、なんとか乗り越えることができました。

普段の生活と試験対策について

時間があるうちに早めに勉強をしておくということが大切で、結局はそれに尽きるのだと思います。私の場合は、公務員試験に切り替えたのは3年生の秋以降でしたが、法律科目について特に抵抗なく勉強できたのは、1・2年生のうちに積み重ねた内容があったからだと思います。伊藤塾での勉強に限らず、普段の学習をおろそかにしないことが本当に大切です。また、今すでに明確な目標がある方も、民間・官庁問わず様々な世界を見ておくことをお勧めします。私の場合は、なんとなくの興味で参加した官庁インターンシップをきっかけに、公務員という選択肢を意識し始めましたが、おそらくこの経験がなければ今の私はないと思います。現段階で視野を狭めてしまうのではなく、幅広く将来の選択肢に興味を持つ、好奇心が大切です。それが結果として官庁訪問でも活きてくるのだと思います。

「内定と進路決定」の理由

実は、私が内定をいただいた会計検査院という省庁は、説明会に行ったことすらなく、まったく考えにありませんでしたが、職員の方とお話しする中で徐々に志望度が高まっていったという感じです。他省庁の方から様々なお話を伺う中で湧いてきた、政策に対する問題意識や改善点が、ここでなら指摘できると思いました。また、国内外問わず、政策が実施される生の現場まで出張して自分の目で問題点を拾い上げて来られること、独立機関として行政を俯瞰的に眺められることにも大きな魅力を感じました。

どのようにモチベーションを維持しましたか

よく言われることかもしれませんが、同じく国家総合職を目指す友人と、緊張感を持って勉強することでモチベーションを保っていました。毎朝9時に図書館に集合して、遅刻したら罰金というようなルールを作っていました(笑)。また、一方では、ごはんを一緒に食べて不安を言い合ったり、試験が終わった後の旅行の計画を立てたり、遊びに出かけたりしていました。あまり張りつめすぎてもいいことはないので、うまくメリハリをつけることが大切です。

最後に

少子高齢化が叫ばれ、財政状況も逼迫する我が国にあって、この職に就くことは決して楽なことではないと思います。公務員に対する世間の目の厳しさもますます強まっています。それでも、何かこの国のために貢献したい、次世代によりよい国を残していきたいという思いは変わることはありませんでした。この初心を忘れることなく、謙虚に仕事に携われる人間でありたいと思います。これから公務員試験を受験される方、受験しようかどうか迷われている方、様々だと思います。最終的な内定までは、公務員試験、人事院面接、官庁訪問と長い道のりですが、インターネットに載っているようなうわべの情報に飲み込まれず、ご自身の意思を強く持って進路決定することが大切です。結局自分は何がしたいのか、何をすべきであるのか、しっかりと考えてみてください。最後になりましたが、公務員試験への切り替え後も、かわらずサポートしてくださった伊藤塾の先生には本当に感謝しています。面接練習では時に厳しく、適切な指摘をいただいたことで、本番の自信につなげることができました。ありがとうございました。