遠回りに遠回りを重ねて、やっと辿り着いた所。
少しでも多くの人のために、少しでも多くの仕事をしていきたい

東京都庁

F.F さん
 

合格者イラスト
◆ 出身法科大学院 :早稲田大学法科大学院中退 ◆ 受講講座 :司法試験入門講座 本科生  オプション:法律区分直前記述試験対策講座、個別模擬面接、集団模擬討論
◆ 最終合格 :東京都Ⅰ類 B
◆ 内  定 :東京都庁
◆ 予定進路先:東京都庁

※プロフィールは、2017年合格時点のものです。

はじめに

私は、大学入学時からずっと、弁護士になるか公務員になるかで悩んでいましたが、3 年次に、そのどちらにも対応できる環境が揃っている伊藤塾に入り、勉強を行うことにしました。受験指導校の中から 伊藤塾を選んだ理由としては、内定実績・司法試験合格実績の 2 点です。そして、法科大学院受験を行い早稲田大学法科大学院に入学したものの、今年 3 月に中退することになってしまいました。その後、2017 年 5 月第一週に行われた東京都の試験に最終合格し、内定をいただくことができました。
なお、私が受験した試験種はマイナーな試験種も多く、二次面接が 重複する危険性やハードスケジュールとなりうる点でも反省していますが、これらの受験を行う方のためにも、参考にしていただければ幸いです。
〈最終合格〉 「東京都 1B(一般方式、行政)」
〈一次合格・二次受験後辞退(合否不明)〉 「地方上級(行政)」
〈一次合格・二次不合格〉 「衆議院事務局(総合職)」「参議院事務局 (法律)」「国立国会図書館(法学、総合職・一般職)」「裁判所職員 (総合職・一般職)」
〈一次不合格〉 「国家総合職(大卒程度、法律区分)」「衆議院法制局」「参議院法制局」
〈出願のみ〉 「東京都 1A(事務)(裁判所職員と重複)」「地元市役所」
次の項目から私の体験記(と言うよりは、反省文に近い内容ですが…)が始まるのですが、参考にするというよりは「後悔、反省」というタームを使ってある部分を反面教師として使っていただければと思います(笑)。さらに、少しでも、読んでよかったと思うような内容も盛り込んだつもりです。長文ですが、ぜひ読んでください。

私がとった勉強方法

専門試験(択一式・多肢選択式)について

私は、法科大学院入試の際に司法試験入門講座を通信で受講していました。そのため、基本的には基礎マスターテキストを読み返すだけで済みました。司法試験ほど細かい問われ方はしない試験種が殆どであったため、国家総合職と衆参法制局以外はこれで一次通過できました。なお、体感ですが、難易度は国家総合職≒衆参法制局 > 衆参事務局≒裁判所職員 > 地方上級でした。

専門試験(記述式)について

インプットは択一と同じです。アウトプットは、上記に加えて国家総合職(法律区分)記述試験対策講座 3 科目セットを受講しました。これは、国家総合職だけでなく、(試験時間や難易度等は国家総合職程ではないとはいえ)どこの受験指導校でも対策の取れない衆参法制局・ 事務局、裁判所職員(1 科目 1 時間)国立国会図書館(1 科目 45 分)の論述式試験の対策としても重宝しました(なお、記憶が正しければ、これらの試験種の答案用紙として 1 科目につき A4 の紙が 1 枚配られました)。
例外として、東京都Ⅰ類 B の専門記述は 1 行問題を 3 問解答する 形式であるため、司法試験入門講座で使用した基礎マスターから憲法を50 論点、民法を 1 論点(←的中しました笑)、行政法を 40 論点ほど 集めて 800 字にまとめる、といった作業を行いました。
参考:東京都Ⅰ類 A の専門試験ですが、今年度は公法系が難しかったらしいです(ちなみに、地方自治体らしく地方自治(条例制定権)の問題等がよく出るらしいです)。そのため、今年の合格者に聞いて回った所、公共政策を選択していた人だらけでした(ネットでは、例年公共政策が簡単である旨の書き込みも目立つので、法学系大学院・法科大学院出身者以外の方は選択してもいいかもしれませんね)。公共政策の 対策としては、講座を受講し、さらに政治学・社会学・行政学の知識を応用できるようにしておく程度が限界かと思われますが、他の受験生も同様の対策を行うと思われるため、きちんとやっておいた方がいいと思います。ちなみに民事系(六法参照不可)は司法試験より難しいため、例年選択者は少ないです。

基礎能力試験について

知能分野に関しては、私は大学受験を行うまでは理系クラスに属していたため、数的処理は簡単だろうとタカをくくっていたのですが、現実には時間切れとなることが多かったため演習の回数を増やして慣れていきました。また、知識分野に関しては、理科 3 科目に加えて世界史・ 日本史受験であったこともあって、大学受験の際のテキストをもう一回読み直しました。しかし、大学受験の参考書は公務員試験対策としては詳しすぎるため、伊藤塾のテキストを使用した方がコストパフォーマンス的には優れていると言えます。
英語に関してですが、国立国会図書館の2次試験では、英語の筆記が行われます。下線部が引かれた単語・文に対して記号や単語で解答する問題形式が多かったものの、試験時間が足りませんでした。試験会場が東大であったこともあり、東大の大学受験を彷彿とさせる出題でした。どうしても対策がしたいのであれば(保証はできませんが)東大の過去問で対策すべきかと思います。

一般論文試験・教養論文試験について

国立国会図書館、裁判所職員受験に関しては、以前から購読していた新聞をまとめたものを参考にしました。東京都Ⅰ類 B 対策としては、都の政策を自力でまとめていました。
欲を言えば、伊藤塾の講座等で 20 通ほどの答案を覚えて、さらに 時事的な答案をまとめたものを 5 通ほど覚えていた方が解答しやすかったと思います。なぜなら、答案の型をある程度覚えることが求められますし、また、試験種にもよりますが(参考:東京都Ⅰ類 A 受験者であれば都の政策を調べる等してさらに上乗せしたい所)、知識で差がつく問題も多い(例:東京都Ⅰ類 B で出題されたフードロスなど)以上、インプットは侮れないからです。しかも、東京都Ⅰ類 B 程度であれば他の受験生もあまり対策はしていないため、ここで対策をしておけば点を稼ぐことができます。

面接について

個人面接(衆議院事務局、国立国会図書館、裁判所職員、東京都Ⅰ類B、地方上級対策)では校舎スタッフに、模擬集団討論(参議院事務局、地方上級対策)の際には松田講師にそれぞれお世話になりました。面接シートや模擬面接ですが、(地方上級では特に配点が高いため、)色々な先生に何回も見ていただいた方がいいです。なぜなら、他人の話を書けない(書いても、面接官に突っ込まれてバレる)以上は、「自力で書く→フィードバックを受ける→書き直す」を繰り返す他はないためです。なお、早め(1次試験が始まるもっと前)に面接シートは書いておくべきであったと後悔しております。なぜならば、一度、使えるネタを 仕上げれば、他の面接にも応用することができるためです。現に、私は前述の通り、3 月から公務員試験対策を始めたため、面接シートを仕上げる暇がなく、東京都Ⅰ類 B の2次試験(面接)の前々日になるまで納得のいく内容が書けませんでした。

普段の生活と試験対策について

大学院時代は日付が変わるまで大学院の自習室に籠っていたため、 生活リズムが完全に狂っていました。しかも、最悪なことに、その生活リズムは元には戻りませんでした(今も狂ったままですが…汗)。そのため、1次試験は殆どの職種が午前開始であるにもかかわらず、頭が回らない状態で臨まざるを得ませんでした。これが一つの要因となり、国家総合職や衆参法制局の1次試験には不合格となってしまいました。未だに後悔しております。

「内定と進路決定」の理由

都庁がライフ・ワーク・バランスを意識している点と、自分の大学・大学院の先輩が多数活躍している点、さらに転勤がない点を考慮しました。なお、都庁での働き方はかなり自由です。主任試験を受けなければ、その局でずっと働くことも可能ですし、主任試験を受ければ、他の局に移ることも可能です。詳しくは OB 等に聞いてみてください。

どのようにモチベーションを維持したか

毎日のように、「この歳でどこにも合格しなければ人生詰みかけるかもしれない…」と自分に言い聞かせていました。ただ、必死になりすぎて、東京都Ⅰ類 B の1次試験、2次試験共に、前日の夜に寝ることができませんでした。自分を追い込みすぎたかな…と反省しております。
実際には、体を動かすべきであると思います。なぜならば、勉強中は椅子に座っている以上、体を動かすことは殆どないかと思われますが、体を動かさないことで生じる肩こりはその他の肩こりとは異なり、完治しにくいと言われているためです。この種の肩こりは、後々厄介になります。

最後に

余談ですが、ここで一番後悔した話を一つさせてください。東京都Ⅰ 類 B の2次試験の時に、私は「総務局で法務に携わりたい」と述べました。すると、面接官に「法務の仕事内容についてはご存知でしょうか?」と聞かれました。私は、「書類のチェックを行う等です」と答えました。すると、「他の局でも書類のチェックを行いますよ?」と返されてしまいました。私は返事をすることができませんでした。これ以外の他の受け答えは目立った問題はなかったのですが、ここで明らかに減点されてしまったようです。現に、1 次では(恐らく)高得点だったはずですが、最終合格順位をかなり落としてしまいました(本当に合格順位が採用人数スレスレでした…)。希望する部署・局を数個決めたうえで 早めにエクスターンに参加して、志望動機だけでなく仕事内容についても検討すべきです。
最後に、私は来年度から都の職員として働くことになりましたが、 元来、人のために動くのが好きでしたので、少しでも多くの人のために、少しでも多くの仕事をしていきたいと考えております。
以上、長々と書いてしまいましたが、これで私の合格体験記とさせて頂きます。この文字の羅列が合格体験記なのか不合格体験記なのか判別が付かない内容となってしまう前に、そろそろこの辺で筆を擱かせていただくことにいたします(ちなみに、「筆を置く」は間違いです。ここまで読んで頂ける程の篤い奉仕精神をお持ちの方への対価となるとは 思えませんが…話のネタになれば幸いです笑)。