対策指針はゼミで。迷うことなく着実に学習に取り組めた

 
合格者イラスト

Sさん
◆所属大学: 東京大学 法学部
◆受講講座: 国家総合職コース、国家総合職ゼミ

はじめに

国家公務員を志望した理由

国民生活の基盤を支えるという壮大なミッションに携われる公務員に興味を持っており、高校時代に実際にOBの方のお話を聞いて志望することを決めた。官庁訪問はこれからだが、最善の政策を形成するために常に学びを絶やさず、政策の現場を考えられるような公務員になれたら良いと思う。
 

伊藤塾を選んだ理由、伊藤塾のココが教養区分合格につながった!

身近にいた国家総合職を目指す先輩が伊藤塾で勉強されていたため。教養区分は巷だとよくわからない試験で対策が困難という声も多くあるが、これまでの傾向を踏まえたうえでの対策のロードマップを伊藤塾のゼミで示していただいたおかげで迷うことなく着実に学習に取り組めたと思う。

 

私がとった勉強方法

総合論文試験について

伊藤塾のゼミに関連しての学習がほとんどであり、それ以外にはせいぜい日頃から新聞に目を通すぐらいのことしかしていない。
大学2年の秋にはじめて伊藤塾のゼミに参加して総合論文に手をつけた。確か外交の問題に取り組んだものと記憶しているが、その時は何を書いていいのやら全くわからず、とりあえず書けそうなことを書いて答案を埋めているような状態であり、総合論文こそ教養区分対策の要ということを講師の方から伺い自分は大丈夫なのかと不安に思った覚えがある。ただ、問題文の読み解き方、どのような資料を参照していけば良いかなどの方向性をお示しいただいたので、そこから3年時にかけてあまり迷うことはなかった。問題文の読み解き方に疑問を抱いたときには講義後にも質問に丁寧に対応いただいた他、自分の考えに基づいて書いたペーパーにコメントをいただくことを通じ、徐々に総合論文への取り組み方を修得していくことができたと思う。
コロナ禍により、ゼミもリモートになりなかなかモチベーションを維持するのが難しいような時期もあったが、ゼミで提示されたテーマについての理解は白書や本を通じてコンスタントに獲得できるようにした。そのような勉強を通じて得た知識が本番の問題を考えるうえでもとても役に立ったと思う。

 

基礎能力試験(知能分野)

文章理解の部分については、普段からそれなりに本を読んでおり、英語にも自信があったためあまり対策と言える対策はしなかった。ただし、事故があってはいけないので最低限問題形式は把握しておきたいと思い、伊藤塾でいただいた参考書の例題と解き方の部分だけ直前期に確認はしておいた。逆に数的処理の分野は割と苦手であり、速く正確に解くということがなかなかできなかったので2~3ヶ月前から重点的な対策を行っていた。
受験年度時点ですでに数的処理の基礎講座の受講は終えていたので、あとはひたすら実践あるのみと思い、伊藤塾でいただいた「これ完 数的処理」を時間を測って5分以内で解けるように努力していた。また、その他にも市販本を併用して演習経験を積んで行った。大体標準的なとき方がきちんとインストールされた段階で、教養区分の過去問の数的分野の問題のみを取り出して、これも5分間の時間を測って取り組むということもやった。教養区分の数的分野は比較的難しい(と自分は感じた)ので、その難易度に自分を慣らしておくことが目的だった。
そのように数的分野に重点的に取り組みつつも、結局直前期に自分の場合この分野は得点がおそらく安定しないということが重々わかってきたので、最終的には文章と資料解釈を絶対に正解したうえで、他の数的分野を取れるだけ取るというスタンスで臨み、実際にこの戦略は間違っていなかったと思う。

 

基礎能力試験(知識分野)

基礎能力(知識)についてはあまりに範囲が広く対策するにはコスパが悪いというのが一般的な意見であり、これに関しては自分もそうだと思うが、基礎能力(知能)に不安があったためこちらでもできるだけとっておきたいという方針だった。対策の時期としては記憶系なので直前期に集中的に行った。最初に行ったことは昔勉強したことの復元で、高校時代の参考書などを引っ張り出してパラパラとめくって大まかに内容を思い出しておいた。特に人文社会科学については専門と近いため最低限取っておきたいというのがあったため重点的に復習をしておいた。次に取り組んだこととしては、「これ完」「スー過去」を利用した過去問演習である。なぜ過去問かというと、時事問題以外の部分については過去問で問われた部分と同じような部分が問われる目算が高いと踏んだためである。もちろん自然科学分野は最初ほとんど間違えたが、間違えるたびにどこの知識を聞いていた問題なのかを細かく教科書を見てチェックすることで、とりあえず付け焼き刃的に試験に必要な知識をつけていくことができたと思う。
最終段階として取り組んだのは、時事問題である。こちらは新聞、時事問題の参考書を確認すると同時に、時事に関わる知識、特に自然科学の知識を確認しておいた。自然科学は時々とからめた出題が多いためである。本番ではこの方針がはまり、知識では比較的高い点数をとれ知能分野でのロスを埋めることができた。

 

企画提案試験

一次試験を自己採点した結果とりあえず受かっていそうだったので一次試験の後すぐに対策をはじめた。まずは伊藤塾で配信された講義を見て基本的な取り組み方を押さえたうえで、厚生労働白書に目を通した。該当箇所を見るに出題分野は「障害者の就労」もしくは「有病者の就労」であろうと予測がついたため、それぞれの分野に分けて施策を練っていった。施策を練るにあたって重視したことは基本的なことだが、最初に問題をきちんと特定したうえで施策を練ったことである。例えば障害者の就労だったら、誰でも障害者の活躍する機会があるべきだという原則論はわかっているはずで、ではなぜそのコンセプトが実現されていないかを考えていた。課題の特定と施策を練るにあたっては、大学図書館で借りた本を読んだり、ネットでの省庁、民間の研究会が出した報告書や論文など色々なソースを参照した。そのようにしてひとまず自分で導入→現状→課題→施策→懸念点とまとめた小論をまずは書いてみた。
後の段階はひたすらに実践とフィードバックを繰り返すだけだった。伊藤塾の模擬企画提案に申し込ませていただいた他、大学の友人にも手伝ってもらい伝わりづらい点やロジックが甘い点を修正していった。伊藤塾の模擬企画提案ではなかなか厳しい評価をいただいたが、とてもためになるフィードバックをいただけた。

 

政策課題討議

伊藤塾のゼミでの対策と、本番前の模擬政策課題討議がメインの対策だった。
最初は議論に慣れていなかったので、まずはそもそもの議論の流れを基本として押さえることが大事だと考え、市販のグループディスカッションに関する本などでその辺りの知識を得ておき、実際に議論することを通じてそれを確認、必要な修正をするという形だった。
ゼミでの政策課題討議はグループディスカッションそのものの対策はもちろんだが、総合論文に不可欠な政策知識にも触れることができた点でとても有意義なものだったと思う。直前の模擬政策課題討議では実際に本番のような資料が配られ、講師と内定者の方に講評をいただいた。講師の方のご指摘で印象に残っているのはファシリテーションに終始しすぎで議論の中身にあまり踏み込めていないというものであり、自分ではなかなか気づくことのできなかった点なのでとても参考になった。加えて、模擬で扱った課題が夫婦別姓に関する問題で、本番がクォータに関する問題だったため、問題意識が似通っていて取り組みやすかった。
その他大学の方でも練習会に参加したが、最終的にあまりやりすぎても仕方ないのではないかと考えほどほどに留めておいた。理由は2点あり、C評価が取れれば良いと考えていたこと、集まるメンバーにより議論の進行が違ってきて予測可能性が少ないので、反復練習の意義が次第に薄れてくることである。本番では予想通りC評価だった。

 

加点対象の英語試験について

TOEFLとTOEICどちらも持っていたが、TOEICを提出し25点の加点を得た。25点というのはそこまで大きな点数ではないものの、できるだけ点数が高いに越したことはないので出さないで数点差とかで落ちて後悔するよりは出した方がいいと思う。受験した時期は大学の2年時で、TOEFLは留学目的で、TOEICは就活目的で受けた。受験するテストは好きなものにすればいいと思うが、TOEFLTOEICより使える範囲が広いがかなり重たいので、英語をやるのが面倒だと思う人はTOEICを受けると良いと思う。対策としては、書店で売っている参考書から好きなものを選んで勉強していけばそんなに困ることはないと思う。

 

普段の生活と試験対策について

大学3年時の9月から3月まで米国に留学していた。そのため、教養区分への挑戦は同期から1年遅らせることとなり、通常想定されるような「両立」は全くできていない。ただし、現地で想像以上の語学ハンディキャップに苦しみながらも持てるリソースを最大限駆使して大学の授業に取り組むことを通じて成長したこと、クラブの活動を通じて掛け替えのない友人を得たことはやはり貴重な財産であると思う。もちろんこれは官庁訪問をするにあたっても自分の大学生活を語るうえでとても役に立つと考えられる。

 

民間企業の就職活動について

民間企業の選考にも応募する予定である。とはいえ官庁に主力を割きたいので、受けるとしてもせいぜい10社までに絞る予定である。業界としては、民間金融機関や政府系金融機関を考えている。教養区分対策と並行した民間就活はあまり力を入れたわけではないが、例えば民間用のグループディスカッションの講座に時々参加していたことは、政策課題討議対策になっていた部分があると思う。

 

どのようにモチベーションを維持したか

コロナ禍のあとは留学が期間半ばで中断されたこともありなかなか辛い時期もあったが、一度ゼミの講師の方から面談をセットしていただき色々とお言葉をいただいて、このままじゃいけない、こんな時期だからこそ頑張らなければならないと自分を鼓舞していた。あまり特別なことはしていないが、人と話さないと気持ちが沈むのではないかという懸念があったため、そのような機会を持てるようにしてはいた。

 

最後に

やはり民間と官庁を落ち着いて検討できる部分が大きいのではないかと思う。よく公務員なら公のための仕事ができるということは言われますが、民間企業も社会的に必要とされるものを提供していることには変わりはないので、自分の志向と合わせて吟味していくことで自分にとっての「公のため」というのは何なのかというのが明確化されていくのではないかと考えている(この点はまだ自分も途上ですが)。このような時間のメリットの他に、民間をメインに考えている方々にとっても試験対策の中で政府がどう動くのかについての理解を深める良い機会になるのではと思う。
このようなことから、教養区分はなかなか難しい試験ではあるが挑戦する価値は十分にあると思う。迷われている方にこそ是非受験を検討してみて欲しい。