自衛官である父の姿を見て育ち、中学生の頃より、将来は日本という国家を守ることのできる職業に就きたいと考えるようになった。その中でも、特に志望度が高かった職が国家総合職であった。このような思いは変わらないまま大学に入学し、現実に国家総合職を目指すようになった。省庁を含め、様々な職業の方々のお話を伺い、やはり自分は行政官という立場から日本という国家を守りたいと考えるようになり、本格的に勉強や対策を開始した。
 

公務員試験の受験自体は中学の頃より考えていた。大学２年時に、行政官であった高校の先輩より、国家総合職を目指すのであれば予備校に通った方が良いという助言をもらい、すぐに入塾した。司法試験で確かな実績を残す伊藤塾が、法律区分を受ける上で最も有利なのではないかと考え、伊藤塾を選択した。また、入塾の時期については、自分が体育会の部活に入っていたこともあり、始めるのであれば早ければ早いほど後々楽になるに違いないと考え、２年時に入塾した。
 

 
結果的に教養区分での合格となったため、法律区分の勉強について言及することはできない。教養区分の勉強に関して言えば、過去問の豊富さ、論文を書く上での作法や注意点、集団討論や人事院面接への対策、官庁訪問へ向けたゼミ等が、様々な場面で役に立った。とりわけ、公務員試験対策ゼミで得た近年の行政に関する大まかなトレンドに関する知識は、教養区分の試験、官庁訪問全体さらには民間就活を通じて、役に立ったと実感する場面が多かったように感じる。

基礎能力試験(多肢選択式)・教養試験（択一式）について

とにかく過去問を何度も何度も解いた。教養試験の、一部の触れたことのない分野（私の場合は物理や化学）に関しては伊藤塾のテキストを読みこみ、ある程度のレベルのものならば落とさないように対策を行った。とにかく時間との勝負ということもあり、勉強を始めた当初より時間を意識し、徐々に一問にかけてよい時間を短くしながら対策を行っていた。
 

総合論文試験、一般論文試験、教養論文試験などの記述式について

新たな論文を書く際は、公務員試験対策ゼミで受けた指導や、伊藤塾より受けた添削等を意識して臨むようにしていた。徐々に指摘される部分が少なくなっていったため、対策の後半においては、新聞や論文、行政文書等から得た知識をどのような形で論文の中にアウトプットすれば評価が上がるのかについて考えつつ書くようにした。
 

企画提案試験・政策課題討議・面接・集団討論などの人物試験について

普段から新聞は欠かさず読んでいた。新聞で得た情報に関して、自分の中で批判を行ってみたり、様々なアクターの意見を考えてみたりといったトレーニングは企画提案や政策課題討議、面接を通じて非常に有用であった。また、民間の面接は、公務員試験から官庁訪問にかけて、様々な場面で活きてくるため、公務員専願であっても受けた方が良いのではないかと思う。
 

官庁訪問について

伊藤塾での官庁訪問対策会、大学の友人との志望動機の深堀や政策についての討論が官庁訪問では特に活きた。原課面接に関して言えば、普段から自分の中で政策についてあれこれ考え、周りの友人と討論することが重要であると考える。人事面接の鍵は、志望動機を自分の中でどこまで真剣に、そして深く考えることができたかだと思う。
 

教養区分に合格したのは学部4年時、官庁訪問に臨んだのは修士２年時であったので、そこまでその他の活動との両立に関しての難しさはなかったと感じている。教養区分に関しては体育会の部活との両立が必要であったが、とにかくメリハリをつけることが肝心だと思う。勉強するときは勉強する、部活をするときは部活に本気で臨むといった姿勢が大事である。業務説明会や政策シミュレーションに関しては、基本的にあらゆる予定に優先して参加していた。説明会等への参加は、官庁訪問における職員の方々との会話の中で確実に活きてくる。
 

温泉やおいしいごはん屋さん巡りで気分転換を図っていた。近くの銭湯から遠くの本格的な温泉まで、様々な場所へ行った。友人と一緒に行くのももちろんリフレッシュになるが、一人で温泉に行き、お湯につかっていると、急に志望動機の深堀や政策理解に関して捗ることがある。また、たまにおいしいごはんを食べに行くことはとても良い息抜きになった。お財布との相談になるが、少し値を張るものを食べると、一瞬すべてを忘れることができる。
 

業界に関しては、マスコミ、商社、シンクタンク、鉄道、海運、エネルギー、政府系金融等、自分が将来働いても良いと考えていた業界を様々に見ていた。内定が一つ頂けたら民間就活を終えて官庁訪問に臨もうと考えており、そのような中で、幸いにも二月の時点で新聞社より内々定を頂けたのでそこで民間就活を終えた。新聞という業界は様々な分野の時事問題に興味を持っているか否かを見ているため、人事課面接はもちろんのこと、原課面接の対策としてもとても有効なものとなった。
 
 

 
国民が国際社会に対して不安を抱くことなく、そして誇りを持って暮らせる日本をつくるために、省庁の垣根を越えて、さらに言えば官や民という立場にとらわれることなく活躍できる行政官になりたいと考えています。今、進路を迷われている皆さんには、自身が理想とする社会を作るためには、どこに行くのが良いのかを考えて進路選択を行って頂きたいです。そしてその迷いの先に行政官という職業があるのであれば、私は嬉しく思います。