司法書士試験はゲームに似ている、
戦略を考えれば必ずクリアできる
YouTube の動画には助けられました

秋元 裕太さん(20代)

◆受験回数 1回
◆主な受講講座
直前対策講座》全国公開模擬試験

私はこうして司法書士を目指す決意をしました

 不動産関連会社に現職として努めており、グループ内の司法書士法人と業務上のやり取りも頻繁にありました。社内では許認可関係、法務関係、コンプライアンス関係の業務を中心に行っていたこともあり、自身にも登記関係の手続についての知識があれば、普段の業務も円滑になるのではないかと思い、余暇の読み物的な感覚で市販の不動産登記法・商業登記法のテキストを買い求めました。その後、自身の体調不良から休職をした時期に、暇に飽かして本格的に学習をはじめました。

伊藤塾を活用した私の学習方法

 大学時代の専攻が法律だったこともあり、通り一遍の知識は有しているつもりでした。ただし、手続法関連の知識は皆無であり、そういった意味で不動産登記法・商業登記法は新鮮でした。自身の民法や会社法などの実体法の知識にたくさんの抜け・漏れがある事実を如実に突きつけられ、学習が進む過程で実体法と手続法がパズルのように嵌っていく感覚に面白さを感じるようになりました。
 本格的な学習のスタートが4月でしたので、当年の試験はお試しのつもりでした。休職中でお金回りにも窮していましたので、受験指導校の基礎講座などは受講せず、市販のテキストやネット上に転がっている動画などを漁っては理解した気分になっていました。
 もちろん理解したのは気分だけで、答練の点数は全くふるいませんでした。択一式は午前も午後も10点台ばかり。記述も満足に書くことなどできません。しかし、絶望はしなかったのです。きっかけひとつで上向くかもしれない、と根拠のない「伸びしろ」を感じていました。
 今から振りかえって良かった点としては、この段階で司法書士試験というゲームの戦略を考えはじめたことがあるかもしれません。特に午後科目は時間がなく、記述式の量も半端ではありませんから、これを如何に捌くかがポイントと考えました。まずは解答する順番を工夫しました。順序どおりに進めば、まず第36問の不動産登記の記述式に取り組むところですが、私は問題がどうあれ第37問の商業登記の記述式を先に片付けることにしました。商業登記の問題は基本的に全て登記申請していく前提とすれば、書くことは最初から決まっています。決まっているなら答案用紙に書けばよい。書けばよいのに前問の不動産登記法で時間を食い、挙げ句に時間切れになり、書きかけで答案を提出するのはあまりにも馬鹿馬鹿しいと素直に思ったからです。今年の本試験ではこの作戦がうまくいき、商業登記の記述式を余裕を持って取り組むことで、大量減点を回避することができたと思っています。
 もうひとつの戦略的視点としては、記述式の回答を「作業」と割り切った点があります。どんな問題でも同じように字面を追い、自分の定めた答案構成ルールを遵守し、問題文にチェックする記号まで画一的に定めていました。決められた時間の中で、マニュアル通りに処理していく「流れ作業」として記述式問題を捉えることで、場数を踏んで処理スピートが上がり、比例して成績が伸びた実感があります。闇雲にひな型を丸暗記し、場当たり的に問題と対峙していては上手くいかないと早めに悟った自分に、改めて拍手を送りたいと思います。
 択一式対策で役に立ったのが、関信敏講師によるYouTube動画「過去問向上委員会」です。一見簡単そうに見える問題ですが、その一肢に潜む論理的な背景を掘り下げて解説していただけたので、応用のきく知識として定着した実感があります。1本あたりの動画時間もちょうどよかったので、食事中や移動中などのタイミングで繰り返し聞き、スキマ時間での知識整理の一助となりました。
 試験1週間前からは過去問の反復にかけました。他の受験生に比べて知識量はどうやったってかないません。自分の持てる荷物には限度があります。ある程度絞らないといけませんでしたので、私は「過去問」を選択しました。そのかわり全ての分野、漏れなく満遍なく、選り好みを一切せずに横断的に解き伏せるように潰していくことを心がけました。今更得られた知識は大して多くありませんが、「やり切った」という満足感が本試験への根拠のない自信につながったのかもしれません。
 試験当日は、いわゆる「ゾーン」に入った感覚があります。問題をパッと見た瞬間に「あれ? ウの肢が変な感じがする」とか、問題文中の誤っているポイントが光って見えたりとか、今振りかえってもよくわからない現象が起こったのを覚えています。不動産登記法の記述式の題材も、以前に実務で触れたことのある案件と酷似してましたので、本当に幸運が重なった試験当日だったと思います。

最後に

 試験前日は一睡もできませんでした。一端に緊張していました。今思えば、試験本番に緊張するだけの資格があった時点で、「勝ちゲーム」の権利を得たのだと感じます。暇に飽かして、というふわっとした動機ではじめた試験勉強ですが、3ヶ月でできることをやり尽くしたおかげで、試験当日に僥倖が降り注ぎました。
 ラッキーで手にしてしまった資格。これを活かすも殺すも自分次第。法律家としてのスタートラインに立てた喜びを原動力に、第二の人生の号砲を発したいと思います。