「正しい方法」は伊藤塾で教えてもらえます
あとは「何より諦めないこと」です

直木 友さん(40代)

◆受験回数 18回
◆主な受講講座
中上級講座》演習コース
直前対策講座》プレ模試、全国公開模擬試験

私の司法書士試験は、初受験が平成12年、合格したのが平成31年です。
途中で撤退して受験を止めていた時期もあったので、総受験回数はだいたい18回ぐらいでしょうか。数えるのが嫌だったので、正確な回数は覚えていません。その間、ほとんどが、択一は基準点行かず(午前・午後のどっちかだけ基準点クリアしたことはありましたが)、記述はほぼ毎回白紙でした。
「このままではマズイ。」そう思って伊藤塾の答練を受けるようになってからは、4回目の受験で合格することができました。
あまりここでダメ受験生時代を語っても仕方ないですし、こんなへっぽこベテラン受験生がどうやって受かったのかが、皆さん興味あるところでしょうから、伊藤塾時代の後半の2回(3年目・4年目)について書きたいと思います。

択一について

3年目の時は、「択一実戦力養成答練」の高城真之介講師が宇津木卓磨講師に交替してしまい、高城講師が大好きだった私にはとてもショックでした。しかし他にいい代案も見つからず、半ば習慣のようにまた同じ伊藤塾の答練を申し込みました。そんな状態でしたから、民法の3回が終わったところで、成績は前回より落ちていました。
「答練3年目で成績落ちるなんて・・これは受験生引退かも。」本気で焦った私は、なにかいい勉強法はないかと探しはじめました。すると弁護士の庄司雅彦さんの書いた勉強法の本に出会いました。それには、要は「択一試験の対策は、つまるところ過去問をやればいい」と書いてありました。
藁にもすがる思いで、過去問(直近のものから遡って行き平成18年分まで)をひたすらやると、なんとか成績が回復してきました。
このやり方ですが、縦軸に年度、横軸に科目を書き、マトリクスを作ります。そうして答練のペースに合わせて科目ごとに攻略していきます。終わったところは塗りつぶしていきます。正答数も書いていました。こうすると、やったところが一目瞭然になり、まだやってないところはゲーム感覚で塗りつぶしていきたくなります。なので、おすすめの方法です。(これは私のオリジナルです)
結局この年に、ようやくはじめて択一基準点を超えることができました。しかもプラス、上乗せ点11問というオマケつきでした。もちろんこれは択一逃げ切り点です。いつも基準点マイナス1~2付近で喘いでいた私には、最初なにが起こったか、わけがわかりませんでした。
今までと変わったことと言えば、それはどう考えても宇津木講師に代わったことです。理由はよくわかりませんが、とにかく「宇津木マジック」としか考えられません。
それまでは正直、宇津木講師に対し半信半疑なところがありましたが、こうはっきり結果が出てしまうと、「これはもう信じてついて行くしかない!」そう思って迷わず4年目の演習コースを申し込みました。
宇津木講師の講義の特長ですが、それは超合理的なことです。合格者でもできないことはできないと、はっきりおっしゃってくれますし、暗記すべき重要ポイントは的確に指摘してくださいます。ただそれがけっこう多いので、覚えるのが面倒くさいだけです(笑)。というか、ここは重要なところで、「要はそれをやるかやらないか」、択一に関しての合否のわかれ目はそこだと思います。多くの受験生は、とりあえずチェックしておいて、後でやろうと思って、結局そのまま本試験を迎えてしまうのではないでしょうか? 
4年目の受講の時は、宇津木講師が「ここは暗記色のペンで全部囲ってください。次のページ、この表も注まで含めて全部暗記です。」そう言うたび、教室からは、ため息が聞こえるようでしたが、私は「ここは差がつくところだぞ」と思って、下を向いてわからないようにしてニヤニヤしてました。

記述について

次に、記述です。
記述はなんとかひな型ぐらいはひととおりやったものの、本試験形式の記述問題からは逃げまくっていました。とにかく苦手意識のかたまりでした。記述は毎回白紙提出でした。そうこうしているうちに、本試験の記述問題が年を追うごとにどんどん難化していき、手がつけられない怪物になっていました。
山村講師のおかげでそれなりに方法論は学んだものの、練習量が足りてなかったため、とても制限時間内に書き上げることは不可能でした。
「さて、どうしたものか?」
記述に関しては、山村講師だけでなく、いろんな講師がいろんな方法論を持っています。そこで、「もはや答案構成は時代遅れ、あの講師の答案構成用紙を使わないやり方の方がいい」「待てよ、蛭町講師の解法の方がいいんじゃないか?書式の神様だし」など、まだ自分の戦法が固まっておらず、迷っている受験生の方もいらっしゃるのではないでしょうか? 私は当初、いろんな講師のいいところを取り入れて、オリジナルの解法を確立するのがよいと思っていました。
しかし、これではあちこち浮気して、全てが中途半端になってしまいます。実際、山村クラス出身の合格者の方にお話を聞く機会があり、お話を伺ったところ、「ああ、これはあの合格者の方に比べ、自分はまだまだ山村講師を信じてついて行く心が足りなかった」と反省し、「とにかく今は山村流を極めることに専念すべきだ」との結論に至りました。山村流は極めるのに時間がかかりますが、いったん極めれば無敵の解法です。なんと言っても、攻め一辺倒ではなく、守りにも強いのが山村流の特長です。
そこで、4年目の記述の講義が始まる前(年内)に、前年(3年目)の記述講義の問題を全て解き終え、準備万端で臨むことにしました。そうすると講義中の山村講師の問いにもだいたい答えられるようになっています。今まではお邪魔にならないように、教室の後ろや中継教室で受けていましたが、4年目は、必ず質問が当たる前列に陣取ることにしました。
気分は、アイドルコンサートのファンや、サッカーのサポーターです。「山村講師の講義をいっしょに作っていくんだ」そういう気持ちで臨みました。山村講師の問いに一発で答えられれば、それだけ講義もスムーズに進行でき、講師もノッていけるでしょうから。
4年目の記述式答案構成力養成答練の講義が終わったところで、それなりに書けるようにはなっていましたが、まだまだ苦手意識は強く残っていました。「後でやろうと思って先送りしているうちにどんどん記述の実力が落ちてしまう。」これまではそうだったので、とにかく記述に触れようと思い、4月以降もネットで同じ講義を再聴してました。こうすればいくら記述が苦手でも、問題は山村講師が解いてくださいますし、それを追体験しながら解法手順を思い出していけばいいのです。この時、講義を聞きながら、パソコンソフトのWordで「ここが山村流の核(コア)だ」と思ったところをメモしていました。これは3年目からやってました。
このネットでの再受講は、記述だけではなく、択一対策にも効果がありました。択一を解いてる時に、「あ、これは山村講師が解説した、あの論点だ」と、講義の際の山村講師の声を思い出すことが何度もありました。
しかし、これはどうしても記述苦手な方のための非常手段で、本当は講義でやった問題をどんどん繰り返し解いた方がいいと思います。
再受講が終わったところで、まだ講義でやった記述の問題を一人で解くのに抵抗があった私は、なにか手頃な問題集はないかと探しはじめ、他校の記述問題集を買ってきました。(時間がなかったのでやったのは商業登記だけ)これを今まで学んだ山村流の解き方で斬っていきます。気分は剣術家の他流試合です。すると、あんなに苦手だった記述が「解ける、解けるぞ!」。
はじめて記述の勉強が楽しいと思った瞬間でした。
結局、商業登記はこの問題集を2周、不動産登記は伊藤塾の講義でやった問題を自力で1.5周やったところで本試験の日を迎えました。
ちなみに、「同じ問題を繰り返し解く」この練習量が足りなかったため、問題を解くスピードは結局最後まで上がらず、これがため本試験では苦戦します。これについては後述します。

模試について

伊藤塾の答練を受けている1月~3月は、勉強のペースが上手くいっているのですが、4月からはペースメーカーを失い、直前期に失速する、今まで何度もその失敗を繰り返してきました。
やらなきゃならないことは山ほどあるのに、今日何をすればいいのかわからなくなってしまうのです。
そこで「模試6回は多いのでは?」と思いつつ、他校の模試パックを受けることにしました。結果これが大正解でした。答練等でいくら実力がついても、結局それが本試験形式にカスタマイズされていなければ、本試験で点数は伸びません。あと模試を受けているうちに、自分の得意分野や弱点がわかってきます。これは意外と主観と客観がズレていることが多いです。それから問題を解く順番もいろいろ試せます。自分は、午前はまず会社法からはじめて、最後に民法。午後は、まず商登、次に不登、最後にマイナー。ここまで70分から75分の予定で、これ以上択一に時間をかけられないというデッドラインは90分に設定しました。記述は、商登→不登で解くと決めました。これは一応理由はあるのですが、ここは人それぞれで正解はないと思います。なので割愛します。ぶっちゃけ、この順番の時が一番模試で違和感なく、かつ点数も取れたからです。
デッドラインを定めたのは、伊藤塾3年目の時の本試験、択一は逃げ切り点行ったのですが、午後択一でだらだら時間を100分も使ってしまい、記述は完全に戦意喪失してしまったからです。つまり、実はその時点で合格発表を待たず、不合格が確定していました。
それから模試の復習についてですが、とても全部はやってられないので、自分の間違えた問題で、正答率の低い問題(40%以下)を除いたものだけ、復習の対象にしていました。正答率の高い問題を間違えたのに復習しないのは、本番では致命傷になりかねず、もったいないです。模試の記述は復習しませんでした。あと結局、記述の過去問もやりませんでした。
模試の判定は、基本Cで、Dが1回、Bが1回でした。SやAなんて一度も取ったことがありません。これについては択一は合格点行くのですが、記述が長年サボっていたせいで基準点を超えなかったためです。「弱点が分かったのだから、あとはそれを強化すればよし」そう割り切って考えました。このため直前期は、ほぼ記述の勉強に充ててました。

本試験当日

さて今年の本試験はすでにご存知の通り、午前は例年並みだったものの、午後は史上最凶に激難な年でした。午前が終わった段階では「今年はいけそうだぞ。30問いったかな」と手応えを感じていました。(その割に民法で結構間違えてて、午前27でした)
午後の択一は、商登は長文なもののそこまで難しいとは感じなかったのですが、不登はとにかく時間がかかる上に激難でした。時間がなくなってしまい、泣きそうになりながらマイナーを高速で解きました。択一を全て解き終わった時点で85分が経過していました。「こういう年は記述の分量が軽めに違いない。去年はそうだった」そう気を取り直して商登記述に取りかかりましたが、書くべき分量が多いし、とにかく時間がかかる。申請の1回目が終わった段階で、打ち切って不登記述に行くことも考えましたが、意外と商登記述の申請2回目が簡単なことに気づき、こっちを最後まで終わらせることにしました。かなり無我夢中で書いたので、とても再現答案なんて書けないぐらいでした。これが終わった段階で残り20分強だったと思います。「今年はよくやった。これで諦めよう」そう思いました。20分強で不登記述なんてとても無理です。がしかし、ここで「去年択一逃げ切り点の、記述戦意喪失白紙」だったことを思い出しました。あの時最後まで諦めずに何か書いていれば、もしかしたら受かっていたかもしれないのです。少なくともその可能性はありました。それを去年は放棄してしまった。「残り時間で、いけるとこまで行くか」そう思い直して不登記述に取り掛かりました。「とりあえず申請1回目だけ埋めよう」そう思って問題を見たところ、まず区分建物。これは山村講師の記述講義でやったやつです。そして論点は「一人遺産分割の可否」。これも山村講師が講義で説明してくださったところです。興奮のあまりケアレスミスしないように気を付けながら申請の1回目を埋めました。ちなみに時間がなかったので、不登の答案構成は全くしてません。いざとなったら刀(答案構成)を捨てて、素手で戦えばいいのです。それでも今まで答案構成を通じて培った思考力があるので、最悪なんとかなります。(もちろん枠ズレの恐れがある等、確実性は落ちますが。)それからちょこちょこ択一知識で解ける小問があったので、これに解答し、登録免許税の計算をやってるうちに時間切れになりました。申請の2回目は白紙です。ここが難しくて皆書けてない可能性にかけました。(後でわかったのですが、実はそれほど難しくなかったらしい)
正直なところ99.9%落ちてると思いました。一応やれるだけやったし、運がよければ総合落ちまで行けてるかもしれないな、それくらいの感覚でした。落ちてたら、敗因は「記述の練習量が足りなくて解くスピードが足りなかったこと」なのは明白なので、夏の間は記述を解いてました。
自己採点は午前が27問しか取れてなかったので、恐くて午後は採点できませんでした。模試では午後の方が得意になっていたので、「全然自信ないけど、実は取れてたりして」とそのわずかな望みにかけ、記述もギリギリ基準点行ってる、そのわずかな望みにかけました。そしてそのまま午後は自己採点せずに、合格発表の日を迎えました。
合格発表の日。「まあ宝くじでも買ったつもりで」「この日にドキドキできるのはここまで頑張った人にしか与えられない特別な権利なんだから」「そこに自分が一応参加できることに感謝しよう」そう自分に言い聞かせて見ました。ないと思って見たので、最初、自分の番号を見つけられませんでした。
「やっぱりないか・・そりゃそうだよな・・・・あれ?ある!!」
この日の感動は一生忘れられないでしょう。今思い出しても涙がにじみます。
そして成績通知。午前27 午後28 記述32.5 総合197.5
全てギリギリでした。
まぐれ合格と言えるでしょう。しかしこの試験、実力なしに、まぐれだけで受かることは決してできません。まぐれを手繰り寄せるだけの勉強はしてきたし、何より最後まで諦めなかった。それがよかったのだと思います。

最後に

「最後まで諦めるな」と人に言うことは簡単ですが、この試験、自分がそれを実行するのはとても困難なことです。そこで支えになるのは自信、あとその裏付けとなる実績だと思います。
私の場合は、去年の本試験の択一で61問取れていたこと、あと今年の模試で全然自信なかったのに午後択一32問取れていたことがあったことです。だから択一は逃げ切り点取れてるもの仮定として、最後20分で不動産登記記述を頑張れたのだと思います。他の受験生なら例えばそこは、模試でS判定・A判定取った経験ということになるでしょうか。その実績に裏打ちされた自信は強いです。それが最後の踏ん張りにつながるのだと思います。
「正しい方法で、最後まで諦めなければ」私のようなポンコツベテラン受験生でも受かります。「何十回も落ちたから才能ない。この先何度受けてももう受かる可能性ない」そんなこと、絶対ありません。
「正しい方法」は伊藤塾で教えてもらえます。あとは「何より諦めないこと」です。
私の体験記を読んで、こんな人でも諦めなければ受かるんだと、心ならずも受験期間が長くなってしまった受験生の皆様に、勇気を持っていただけたら幸いです。