やる気を奮い立たせてくれたのは「生の声」でした。

財務省

M.K さん(22 歳)
 

合格者イラスト
◆ 出身大学 : 早稲田大学法学部
◆ 受講講座 : 国家総合職(法律区分)コース本科生
◆ 最終合格 : 国家総合職(教養区分)
◆ 内    定 : 総務省、コンビニ業界、ホテル業界
◆ 予定進路先: 総務省

※プロフィールは、2018年合格時点のものです。

はじめに

私は小さい頃から科目としての地理が好きで、地域ごとの気候や風土、食文化の違いなどに関心がありました。そして、昨今、地方の衰退が問題になっており、日本各地の地域の多様性を守りたいという思いから、国家公務員を意識しはじめるようになりました。ひとつの地域だけでなく、大局的な観点から総合的な政策を打ち、さまざまな地域社会を未来に残す仕事に関わりたいという思いの方が強く、国家公務員を目指すことにしました。
1年生の終わりの3月に伊藤塾に入塾しました。アルバイトを週3日、サークルもやっており、勉強は早くからやっておいた方がいいと思っていました。さなざまな受験指導校がある中で伊藤塾は司法試験に強く、法律の勉強をするならここだろうと思い入塾を決めました。

私がとった勉強方法

基礎能力試験(択一)

教養区分の基礎能力試験は範囲が非常に広く、すべての科目の対策をすることは非常に困難です。私はすべての科目の勉強をすることは諦め、大学受験の際に未修であった物理、化学、日本史は「捨てる」ことにしました。私は国家総合職の法律区分コースのみを受講しており、教養区分コースは受講していませんでした。しかし、法律区分コースの基礎能力試験対策の講義と「これ完」を利用し、3年の夏に教養区分対策の勉強を進めました。

総合論文試験

4時間の試験時間に2題の論文が課されます。問題文には図表や英文が掲載されており、その内容をまとめるとともに自分の意見を述べるものです。私は教養区分の試験対策の開始が比較的遅かったことと(3年の7月)、法律区分受験を本番に考えており、論文の勉強をやる気力がわかなかったため、総合論文は対策なしで、ぶっつけ本番で臨みました。

企画提案試験

現代社会の諸課題に対する解決策を紙にまとめ、その後に試験官に口頭で発表します。出題されるテーマが1次試験合格発表後に開示され、受験時は厚生労働白書でした。白書全体は膨大な量であるためすべて読むのは諦め、概要版を丁寧に読みました。出題される問題はおそらく「人口減少、労働不足社会をどのように克服するか」であろうと予想し、具体的に自分なりの政策を考えました。
本番は手書きの論文を書いた後、発表まで時間があり、その間に自分の論文にミスが見つかったため、口頭発表の際に適宜訂正しながら修正しました。発表は手ごたえがなく、質疑応答も満足いく返しができませんでした。

政策課題討議

受験時のテーマは「里親制度の拡大のためには、まず里親数を増やすべきか。もしくは里親の質を向上させるべきか」でした。これに向けては、伊藤塾の模擬政策課題討議を受講して、グループディスカッションの練習をすることができ、ありがたかったです
本番は、めちゃくちゃ早口で話す人や、里親制度自体に反対意見を述べて議論から脱線していく人がいましたが、一緒に議論を進めていけそうな信頼できる人を見つけ、その人を頼りにしながら議論を主導することができました。
議論中に人を見極め、誰と協力するかを決めて、積極的に発言するのがよさそうです。

人事院面接

15分程度の面接で、面接カードに沿うコンピテンシー面接でした。面接の雰囲気は和やかであり、自然体で話すことができました。面接カードは、伊藤塾に添削をしてもらうとともに模擬面接も受けました。そこで講師の方に受け答えを褒めてもらい、「自信もって臨みなさい。」と言ってもらったことが自信につながりました
質問に対して間をあけずに答えること、長く話さずキャッチボールの数を増やすことが重要であると思います。

官庁訪問について

官庁訪問に向けて志望動機や学生時代の経験、訪問する省の政策をまとめるなど、事前準備を入念に行いました。準備したことがそのまま官庁訪問中に聞かれることはほとんどありませんでしたが、自分の考えをまとめておくことで頭の中が整理されたり、漠然とした不安がなくなったのでとてもよかったです。
本番は1回あたりの面接が約1時間あり、長時間の面接中に人となりや人間としての本質を見極められます。肉体的・精神的ともに非常に疲れます。私は第一志望の総務省から内定をいただくことができましたが、その要因は自分を飾らず、面接をしてくださる職員の方との会話を純粋に楽しめたことであると考えています。

普段の生活と試験対策について

大学の学部の勉強、サークル、アルバイトと試験勉強を並行するのは難しかったです。
私はネット受講の特徴を活かし、大学の図書館や、帰宅後寝るまでの時間、朝早く起きたときなどに動画視聴や問題集を解くなどしていました。
ただでさえ難しいですが、国家公務員が他の公務員と違う点は、試験合格=採用決定ではないということです。また、県庁などとは違い、国家公務員は省庁ごとの採用であるため、どの省庁がどんな仕事をしているかや、職員の雰囲気はどんな感じかを予めつかんでおかないと、自分の興味関心と、職場にミスマッチが生じる可能性が高く、説明会に頻繁に参加することが必要です。私は月に2回程度各省庁の説明会に参加していました。
勉強に追われ精一杯になりがちですが、各省庁の説明会に参加することを、国家公務員を目指す方は忘れないようにしていただきたいと思います。

民間企業の就職活動

教養区分で合格したことにより、時間的余裕が生まれ民間就活に本腰を入れて取り組むことができました。さまざまな業種の民間企業の説明会に足を運び、知見を深め、新しい学びをたくさんしましたが、民間就活をすればするほど国家公務員への思いが強くなり、民間の説明会よりも省庁の説明会に行く方が楽しみになっていました。結果は2社から内定をいただき、官庁訪問に向けて精神的余裕ができました。

「内定と進路決定」の理由

民間就活の段階からやはり国家公務員になりたいと思っていたため、進路決定について悩むことはなく、総務省に決めました。
官庁訪問中にお会いした職員の方の話が非常に興味深く、ここで働きたいという思いが増していきました。

どのようにモチベーションを維持したか

最もモチベーションの維持に役立ったのは、各省庁が開く説明会に頻繁に参加したことです。現役職員の方がどのような思いをもって仕事に取り組んでいるかなど、生の声を聞くことが何よりも自分のやる気を奮い立たせてくれました

最後に

第一志望であった国家公務員として、これから働くことになります。高度経済成長期のように成長一辺倒の時代ではなく、少子高齢化が進む中、限られた財源をいかに有効に使うかが今後の行政の仕事であると思います。平成が終わり、新しい時代の日本社会の行政に関わる人間として、視野を広げて未来に安心して生活できる日本を残し続ける仕事をしていきたいと思います。
これを読む皆さんは進路選択で悩まれることもあると思いますが、その時は一人で考えるのではなく、さまざまなところに足を延ばし、生の声を聞いたうえで考えてみてください。納得のいく進路選択になることをお祈りしています。