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教養区分は「とりあえず受けてみる」。
選択肢は多く持っておくに越したことはありません。

 
合格者イラスト
R・Kさん
東京大学 経済学部

※本体験記は2022年1月現在のものです。

 

公務員を目指そうと思ったのはナゼ

 

目指すきっかけは実に曖昧で、中学校時代から漠然と選択肢の一つにあった。実際に試験を受けようと思ったのは大学入学以降で、周りに公務員志望が複数いたことから主体的に情報収集するようになった。その中で国全体を動かすことに魅力を感じ、志望するようになった。
理想とする公務員像は、長期的かつ広い視野で社会の動きをみることができる人間。目先のメリットに囚われず、かつ様々な国/地域/階層の人々に目を向けて国家運営を行うことが大事だと思う。

 

伊藤塾を選んでくれた理由は?

 

教養区分単体での受験を考えており、伊藤塾の提供するコースがそれに合致していたため。
また、教養区分特化コースのため全体的にはシンプルではありながら、必要なサポートが充実していたから。
民間就活との両立等で、主にスケジューリングで難しいことが多かったが、事務の方や講師の方がフレキシブルに対応してくださったお陰で万全の対策を積んで臨むことができたのは非常に良かった。

 

私がとった勉強法

 

総合論文試験について

伊藤塾の総合論文ゼミに参加し、論文を書く練習を積んだ。伊藤塾の演習では制限時間が実際よりタイトに設定されていた(本番は2題240分のところ、伊藤塾は1題80分)ため、当日は非常に余裕を持って臨むことができた。
また、他の受講生と論文で書いた内容についてディスカッションする時間があったため、自分に足りない考え方や新たな視点を学ぶことができた。特に、受講生は仲間ではありつつライバルでもあるため、自分の相対的立ち位置を把握する上でも役立った。
講師による講義では、「何を問われているのか」「問題文や資料から読み取れることは何か」「何を書くべきか」「何を書かないべきか」など、実際に答案を構成する上で必要な情報の引き出し方を教えてもらえたため、論文テーマが変わっても応用が利きやすく、回を重ねるごとに論文を書きやすくなっていくのを実感していた。
実際に論文を書く上では、問題文と資料から書くべきことを読み取り、自分の意見を入れ込みつつ全体を論理的に構成することを意識した。パソコンと違って手書きのため、書き直しの手間を最小限にできるよう密に構成を決めてから清書していた。

 

基礎能力試験(知能分野)について

中学受験経験者のため、基本的な計算手法は理解していた。そのため、試験1週間前からいきなり「これ完」をひたすら解いていた。対策を始めたのが非常に遅かったこともあり、知能分野で得点し合格しようと考えていた。そのため、1問ごとに時間を計りながら量をこなすことで問題形式に慣れさせ、本番でも特に慌てず臨めるようにした。
具体的な練習内容としては、各分野(文章理解/場合の数と確率/計算その他数的処理/判断推理/資料)を毎日少しずつ解いた。全問正解したい文章理解と資料の読み取りはこれ完にある分を全問解き、その他は苦手だと感じている分野の比率を高めに演習を重ねた。最終的にはこれ完の8-9割程度の問題を解き終えていたと思う。
心がけていたのは、捨てるべき問題をいかに早く捨てるかである。時間をかければ解ける問題がほとんどであるが、制限時間がタイトなため無駄な時間をかけることが一番致命的である。よって、捨てる/捨てないを適切に判断し拾える問題を最大限拾うことが高得点の最大の鍵だと思う。

 

基礎能力試験(知識分野)について

対策開始が非常に遅かったこともあり、ほとんど対策は行わなかった。ただし、思想分野は範囲が狭く満点を狙えるため、伊藤塾のテキストを丸暗記して挑んだ。とはいえ量もある程度あるので、「人名/時代/思想にまつわるキーワード」を重点的に暗記した。よくある選択肢の作り方として、時代をずらす・同時代の別の人物の思想と混ぜる等があるため、基本的にはこれで対策できる。
そのほかの分野は基本的には運任せだったが、経済学部所属なのと大学受験で世界史地理選択だったことから、この3分野は得点できるよう参考書を読み返した。加えて公民分野は法学部の受験生に顕著に劣るため、憲法や国会の仕組み等の基礎的な部分も過去問を解きながら頭に入れた。ここでもいきなり過去問に取り組むのが時間効率が良かったように思う。
あとは当日の頭の回転に任せた。選択肢を熟読すると、自己矛盾を起こしている、他の問題の選択肢の内容と矛盾している、直観的に変に感じる、といったものが多いので、全く知識が無くてもある程度の確率で正答できるだろう。あとは確実に得点できる分野をいくつか持っておけば、知能分野とあわせて合格ラインに達することは不可能ではない。

 

企画提案試験について

今年は事前に公表された読み物の文量が非常に少なかったため、インターネットで災害対策の事例について情報収集を行い、既存の対策事例を極力多く頭に入れた。プレゼン資料自体は型に則れば容易に作れるため、基本はアイデア練りとプレゼン練習を行なっていた。質疑応答対策は両者の中間にあたるため、特別な対策は行わなかった。
最終的にインフラのハード面をジャンル別(地震/通信インフラ/人手不足)に3個、ソフト面(避難誘導)で汎用性の高いものを1個用意して本番に臨んだが、ハード面のヤマが外れた(水害縛りだった)ため、それは結局その場で考えることになった。
今振り返って重要だと思うのは、いかに個別具体的な事例について細々と準備をしてプレゼンを行うかよりも、その政策の提案の背景にある問題意識と根拠を論理的かつ現実に即した形で訴えられるかだと思う。いくら実現可能性の高い政策であっても、そもそもその政策に対するニーズが無ければ時間も資金も無駄になる。その点で、多少スケールが大きくても「今必要な政策である」ことは非常に重要だと感じる。

 

政策課題討議について

春夏に民間就活をがっつり行なっていたため、あまり対策は行わなかった。グループメンバーがどういうパーソナリティの持ち主なのかによって自分の振る舞いが左右されるため、あまり気負わずリラックスして臨むのが一番だと思う。強いていうならば、レジュメにいかに視覚的に分かりやすくかつ過不足なく情報を盛り込むのかに気を配った。
実際に試験を受けてみると、①自分が多数派だった場合②少数派だった場合③唯一の賛成派(反対派)だった場合④全員同じ意見に偏った場合でそれぞれシミュレーションすべきだったと思った。何度か練習会に参加したものの、毎回①だったが本番で③になってしまい、どう振る舞うべきかやや困惑してしまった。
また、公務員試験にはグループディスカッションに慣れていない人もいるため、そうした人がいた場合のシミュレーションは軽くで良いのでしておくと安心だと思う。

 

加点対象の英語試験について

提出あり、IELTS 6.5

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普段の生活と試験対策

 

基本的には学生活動を優先させたし、実際に優先して良かったと思っている。具体的には、サークル活動+アルバイト(+民間就活)である。サークル活動とアルバイトに関しては、やはり今しかできない活動である上、面接で話すネタにもなる。民間就活に関しては、特に教養区分2次で役立つ(実際、私は企画提案のアイデア練り程度しか対策せずに済んだ)ため、公務員一本で考えている人も多少は挑戦してみることをお勧めしたい。
特に教養区分は運要素が強いと言われているが、2次試験で問われる力は一朝一夕で身につくものではない。あまり試験勉強に偏重しすぎない方が結果として合格が近づくのではないだろうか。

 

民間企業の就職活動はやってる?

 

コンサルに内定。コンサル業界の志望動機としては、「日本経済を良くしたい」という漠然とした思いがあり、そこに市場デザイナー(=国家公務員)として関わるのかアシスタント(=コンサル)として関わるのかで迷ったため。プレイヤー(=事業会社)を志望しないのは、ファーストキャリアは幅広い分野に携われる方が良いと思ったから。
民間就活は教養区分2次試験に大きく役立った。グループディスカッションや面接の経験がそのまま政策課題討議と人物試験に役立つし、これらから醸成される「伝える能力」は企画提案にも役立った。

 

モチベーションを保つには?

 
私は短期集中型だったため、モチベーションが低下する暇もなく試験本番になった、というのが実際である。ただ、試験を受けると決めるまではそもそも公務員自体の志望度が下がることがあった。その時は「維持しよう」という意図はなかったが、夏のインターンに参加するなどして「公務員になりたいのか?」を考えた。結果としては、公務員になりたい(なる可能性を捨てたくない)という思いが勝り、ひとまず試験を受けることにした。

 

最後に一言!

 
進路に迷われている方も多いと思いますが、少しでも公務員に興味がある人は、教養区分を「とりあえず受けてみる」ことをお勧めします。選択肢は多く持っておくに越したことはありません。その上で、民間と迷っている方はじっくりと迷われても良いのではないでしょうか。選択肢も得られずに進路を選択するのと、選択肢がある上でそれを選ばないのとではその選択の納得感も変わってくるかと思います。