転職のリミットになる年齢を超えていたとしても司法書士試験で人生は変えられる!

百武 誠さん (31歳)
 

合格者
商業高校卒業 受験回数:2回 【受講講座】
〔入門講座〕司法書士入門講座本科生

※プロフィールは、2010年合格時点のものです。

私はこうして司法書士を目指す決意をしました

私は親族の相続に携わったこと等から、以前より登記及び司法書士試験について興味を抱いていました。そして30歳を目前にした2008年の春、自分の将来や可能性について考えぬいた結果、合格率3%未満の難関試験であることは承知の上、当時10年以上勤務していた職を辞して司法書士試験に挑戦しようと、そして従来に比べ職域が広がり、登記のみならず様々な分野で活躍している司法書士になって人生を変えようと決意しました。
司法書士試験対策用のパソコンソフトを使用しながら学習を始め6ヶ月程経った頃でしょうか、以前学習した箇所が全然記憶に残っていないことに気付きました。勿論具体的な問題など解けるはずはなく、間違った学習方法を採っている事は明らかでした。当時2008年10月、このままで本試験までに間に合わないと受験指導校のパンフレットを集め、その中でも教材のレイアウトが綺麗で読み易い、講師の人柄が良さそう、価格が良心的、等の理由で伊藤塾の入門講座(在宅)の受講を決めました。
講義を聴く、翌日の復習、1週間後の復習、1ヶ月後の復習、伊藤塾の指針通りに学習を進めていくうちにこれまでもがき苦しんでいた事が嘘のように順調に知識定着していることを実感でき、何よりも学ぶことが楽しいと思えるようになりました。

わたしがとった学習方法

(1)勉強開始時期について
私は全くの初学者だったこともあり、民法以外はどれも非日常的で取っ付きにくい印象を覚えました。そうかと言って受験に直結しない書籍を読む時間も勿体無いと考え、「法律の学習は立ち止まらずに粘り強く繰り返す事」という言葉を信じ、嫌がる脳を無理やり学習へと向かわせ、何度も繰り返すことを心がけました。
(2)入門段階の択一式対策について

復習は過去問を中心にという講師の言葉を信じ、復習の際には最初に伊藤塾の演習問題や過去問を解いた後にテキストで確認するという作業を繰り返しました。後になって思ったことですが、先に問題にあたることによって、解説やテキストを読み込む際どの部分がポイントになるのかを脳が識別してくれる状態となり、学習効果が高まったような気がします。 
それと比較すると、それまで私にとって常識だった、テキストを読んだ後に問題を解くというやり方だと、その時はスラスラ解けて気持ちが良いけど、さほど脳に負荷がかかっていない状態である為に知識が定着しにくかったのだと思いました。

(3)入門段階の記述式対策について

伊藤塾の記述式基礎演習により基本的な雛形や添付書類関係は直ぐに覚えることができました。毎年記述に泣く受験生が多いと言われるこの試験ですが、私は入門時から記述が好きで、抵抗感は全くありませんでした。 
それは、基礎段階から記述式対策を意識した学習をすることの利点ですが、記述で問われる論点は本試験の択一で問われるそれと重なる部分が多く、択一でも問われないような難しいことを記述で問われることはありません。早めに記述の学習を取り入れるメリットとは、択一の学習をする際に記述も意識しながらできる状態、例えるなら1科目の学習で2科目分の学習効果が得られることだと思います。

(4)試験当日について

一睡も出来ず本番で頭が真っ白になってしまった2009年の反省を踏まえ、本年度の試験前日は早めに学習を切り上げ、当日は普段よりも遅い6時30に起床し、リラックスした状態で会場へと向かいました。
午前択一は、所要時間100分、今年は頭が真っ白になりませんでした。模試の時と同じように適度な
緊張感を持って問題に当たる事ができました。午後択一は、所要時間60分、記述商登:所要時間60分、想定外の新設分割の出題にしばし固まってしまいました。記述不登:所要時間40分、今年は模試を7回も受けた甲斐あって本試験のシミュレーションは磐石でした。問題の中身はともかく、解く順番や時間配分に関しては練習どおりほぼ完璧に運ぶことが出来ました。

(5)総論

私の成績が2年目で大きく伸びた要因は、答練等色々な教材に手を出すことなく過去問と中上級講座の教材を消化しきったことだと思います。
過去問はインプット教材と位置付け、問題の正解不正解は無視し肢別に正誤を判断する。その肢から派生する類似事項や関連論点を、解説を見ることなく頭の中で答えられるようにする。頭に思い浮かんでいるのに解説に載っていないものはどんどん解説に書き加えていく。そこまでできてから始めてその肢から卒業する、つまり絞り込む、といった具合で学習を進めていきました。 
その成果があってか、本試験の射程を超えた余計な事をやっていない分、広く浅い知識に邪魔される事なく過去既出か否か、先に検討すべきか否かの判断ができましたし、また肢別に理解が伴うまで何度も繰り返し検討しているので、角度を変えて問われた場合でも正解を導き出すことができるようになりました。公開模試では7回中4回のA判定を貰いました。
答練や中上級講座を受講しないと受からないという人がよくいますが、私の成績が伊藤塾の推奨する脱答練、過去問至上主義の正当性の証明だと思います。 

【憲法】 過去問だけでは問題数が少ないと思い、伊藤塾の教材の問題集も過去問替わりに使用しました。「できる!択一式」で、高城講師がこれからは判旨も大事と仰っていたので、テキストの特に判例の解説を何度も読みました。判旨まで意識した学習を続けた結果、難化したと言われる今年の憲法においても全問正解することができました。 
【民法】 過去問を中心に学習しました。また制度趣旨の理解の為に、条文毎に制度趣旨がふられている司法試験用の判例六法を数回読みました。 
【刑法】 過去問を中心に学習しました。出題数の割には論点数が多く大変でしたが、1問足りとも落としたくなかったので重複する肢を絞り込みながら繰り返し学習しました。
【会社法】 過去問、「できる!択一式」の問題を中心に学習しました。会社法に関して過去問は役に立たないと言う人もいますが、過去問の肢から派生させて解説にどんどん書き加えていけば十分使える教材になると思います。 
【民事訴訟法】 過去問を中心に学習しました。模試では過去未出の判例等を題材にした難問が多く出題されましたが、本試験は過去問知識で容易に解ける問題ばかり出題されたので全問正解することができました。過去問の射程を超えた勉強をした上、1問以上落とした方は悔やんでも悔やみきれないだろうと思います。
【民事執行法・民事保全法・供託法・司法書士法】 過去問を中心に学習しました。 
【不動産登記法・商業登記法】 過去問を中心に学習しました。電子申請等事務手続的な分野に関しては「できる!択一式」の問題やレジュメで補強しました。

自宅での学習と伊藤塾の個別フォロー

私の場合は全てインターネットでの受講でしたが、自分の都合のいい時間帯に都合のいい分量を聴 
けるので不都合に感じることは全くありませんでした。また一度「塾ナビ」に参加しましたが、普段の生 
活において自分以外の受験生に出会うことが無かったので、そこでの講師や受験生との交流はモチベ 
ーションが上がって良かったです。

スケジュールの管理について

自らを強制的に机に向かわせる為にPCで日毎の計画表を作りそれに沿って学習しました。また一日の終わりにはその日の学習時間を科目ごとに記録しました。実際の学習時間が計画よりも少なければこれではいけないという気持ちになりますし、その日に何をやるのか事前に決めておくことで迷うことなく机に向かうことができました。特に2年目からは仕事をしながらの受験生活となったので、早朝と夜の時間帯を無駄無くフルに使いました。リラックスの時間が無いことよりも「これだけしか時間が無いのだから」と焦りの気持ちの方が強かったです。

伊藤塾の各講師陣についての感想・各講師へのメッセージ

入門クラスの講師をはじめ、各講師の皆様には大変お世話になりました。 
画面越しではありますが講師方の熱意がひしひしと伝わり、その絶えず発信して下さる熱いメッセージ、試験に関するノウハウなくして今の自分はなかっただろうと思います。あの時に伊藤塾の門を叩いて本当に良かったと思います。 これからも迷える受験生の羅針盤として活躍して下さることを期待しています。頑張って下さい!

最後に

今後はこれまでの社会人経験や人脈を生かし、地元佐賀県で独立開業をしたいと考えています。登記だけとか債務整理だけではなく、常に広い視野を持ち、様々な業務に挑戦していきたいです。 
最後に、私は受験を決意した当時29歳と若くもなく、最終学歴も高卒で法律知識も全くありませんでしたが、それでも合格を果たすことができました。この事は年齢や学歴がどうであれ人の潜在能力そのものに大きな違いは無いということの証明だと思います。
この試験は「(1)正しい勉強法×(2)学習時間」により、一定の熟度に達した人から合格していくのだと考えています。「(1)正しい勉強法」は講師の言葉を正しく理解し、そして最後まで信じることができるかどうか、「(2)学習時間」については本人の努力の外ありません。自己犠牲を厭わない、何が何でも合格するのだという執念です。
司法書士試験は受験制限がなく機会の平等を形にした素晴らしい試験です。合格すれば例え高卒でも、転職のリミットと言われる年齢を超えていたとしても人生を変えることができるのです。特に私と同じ様な境遇でこの試験を目指そうと考えておられる方は諦めずに最後まで頑張りぬいて欲しいと願います。

(2010年11月・記)