フルタイム勤務と入門講座の受講
雪の日も嵐の日も、休まず通い続けて皆勤賞で合格しました

諏訪 雅徳さん(40代)

◆受験回数 5回(他、お試し受験1回)
◆主な受講講座
入門講座》入門講座本科生(山村クラス
中上級講座》演習コース、蛭町記述コース、
       択一クイックマスター総整理講座
直前対策講座》全国公開模擬試験

私はこうして司法書士を目指す決意をしました

 私は学生時代に旧司法試験の学習をはじめて数回受験しましたが、結果を出せず、経済的な理由から受験を断念しました。その後、「法律に関わる仕事がしたい」という漠然とした思いはあったものの、明確な方向性も定まっていませんでしたが、司法書士試験は旧司法試験での学習をかなり活かせることを知り、業務内容もその人次第で無限の可能性があるということに魅力を覚え、受験を決意しました。
 アルバイトをしながらの独学で、宅建や行政書士試験にスムーズに合格したこともあり、当初は独学で合格するつもりでしたが、記述式試験をどのように書いたらよいのか全くわからず、また、市販の教材を読み込んでも頭に入ってきませんでした。
 仕事も正社員登用されて業務が忙しくなったことや結婚したこともあり、勉強から離れかかっていましたが、闇雲に独学で勉強するのではなく、効率的な学習をすることが合格への近道だと考え、受験指導校に通うことを決意しました。数校の動画を視聴して比較した結果、山村拓也講師の講義が断トツでわかりやすかったため、伊藤塾の「入門講座」山村クラスを受講することに決めました。

伊藤塾を活用した私の学習方法

①入門段階の学習法について

 私は正社員としてフルタイムで働きながら東京校のライブクラスに通っていましたが、職場から東京校まで約1 時間、東京校から自宅まで約1時間30分の所要時間でした。とにかく休まず通うことを第一の目標にし、遅刻したことはありますが、実際に一度も休みませんでした。また、緊張感を保てるよう、座席も常に2~3列目に座るようにしていました。
 山村講師の講義は、具体的な内容が頭に入ってきやすかったのはもちろんのこと、メンタル面の話もとても重視されていて、ご自分の受験時代の話や、様々なバックグラウンドを持つ合格者の方を招いてお話を聞かせていただけました。特に自分と同様に遠方からライブクラスに通って合格された方のお話には勇気づけられました。今思うと、山村講師は受講生が心の折れそうになる段階を熟知されていて、絶妙なタイミングでモチベーションを維持させるような話を聞かせてくれていたのだと思います。
 日中は仕事があるため、与えられた教材の全てを消化することはできず、日常の学習は入門講義テキストの復習と市販の過去問集での演習、年明けに始まった「記述式答案構成力養成答練」の問題の解き直しが中心でした。ただ、その頃の自分には旧司法試験の勉強の経験から、アドバンテージがあるという油断があり、また、過去問集の解答を覚えたことを解けるようになったと勘違いしていた部分もあったと思います。記述については土台の実体判断の段階が怪しかったこともあり安定せず、本試験の結果は択一の基準点にも遠く及ばないものでした。

②中上級段階の学習法について

 「記述式答案構成力養成答練」のライブクラスでは、前方の座席の受講生には山村講師から直接基本事項の質問をされるのですが、私も毎回質問に答えていました。自分が何を質問されるのかわからないため緊張しますが、自分の理解度が明らかになり、自分のためになると思うので、受講を検討されている方は可能であればライブクラスでその緊張感を味わってほしいと思います。また、「~が出てきたら~を検討する」という思考パターンや、会社形態の変化がないか常に目を離さないということを、文字通り何度も何度も間違えながら体に染み込ませていき、いつしか記述が得意になっていました。今年度の記述式試験の商業登記法での4倍ルールへの抵触に気づくことができたのも、チェックするのが当たり前という思考回路ができ上がっていたからに他なりません。
 記述が得意になっていった一方で、択一は不安定なままでした。絞り込みがうまくできていないという思いがあったため、4年目に「択一クイックマスター総整理講座」受講しました。重要事項に絞り込んだテキストは左右見開き形式で左側に一問一答式の問題があるのですが、自分ではわかっているつもりでいた重要事項を想像以上に間違えるという事実に直面して愕然としました。全く知らないものはなく、「似ているけれど違う」ものに引っかかることが多いことにこの段階ではじめて気づき、それが過去問集では正解できるのに、答練や模試で同様の問題が出ると二択まで絞れていながら間違えることが多い原因でした。このことに気づいてからは科目間を超えて「紛らわしいものリスト」を自分で作成し、4年目、5年目は紛らわしいものを整理して克服することを中心に学習を進めました。その結果、4年目の2017年度から択一の基準点を超えられるようになりましたが、2017年度は総合点であと一歩足りず、悔しい思いをしました。

③直前期の学習法や試験当日について

 択一対策としては重点的に学習する範囲を大幅に絞り込み、苦手分野に特化した学習を行っていました。具体的には、それまで通しで解いていた過去問集を「常識になっているため、二度と解かなくてよいもの」、「正解を導けるものの自信がないため、再度解くべきもの」、「繰り返し間違えるため、必ず解くべきもの」に蛍光ペンで色分けし、実際に問題集をバラバラにして、二度と解かなくてよいと判断した問題は二度と解きませんでした。自信がないと感じていた問題も常識にまで昇華したものはどんどん解くべき問題から外していきました。この判断は主観によるものではありましたが、社会人受験生という時間に制約のある立場であったため、勇気をもって判断しました。また、それと並行して入門講義テキストの重要事項を再度チェックしました。直前期は些末なことに目が向きがちですが、それよりもAランクやB+ランクの重要事項の理解をより完璧に近づけることに重きを置いていました。最初にもらった入門講義テキストは、結局最後までメイン教材であり続けました。
 記述式試験対策としては「蛭町記述コース」で使用したC&Fという雛形の教材の中から苦手な雛形を抜き出したものを繰り返し覚える作業に加え、「記述式答案構成力養成答練」の問題を不登法と商登法で2問セットにして、それを90分で解く練習をしました。このようなシビアな時間設定にした理由は、平常期と本試験の環境の違いを意識したからで、本試験では記述式を120分で解く計画を立てていたのですが、本試験の独特の緊張感の下での120分は平常期の90 分程度の時間的余裕に相当すると考えたからです。もちろん、時間に余裕がない環境では100%のパフォーマンスを発揮することはできません。その中で何を優先し、何を後回しにするかを瞬時に判断して問題を解くという姿勢は本試験でも私を救ってくれました。今年の本試験でも、社外監査役の特定は困難であると瞬時に判断して先に進み、最後の4倍ルール抵触の論点を冷静に判断する時間的余裕ができました。
 本試験前日は緊張のため、一睡もすることができませんでしたが、横になっているだけでも体力は回復するという知識があったため、起きて勉強をすることはしませんでした。
 試験当日会場に着くと、不思議と平常心でいられました。早めに着いたために精神的余裕が生まれたのかもしれません。試験も平常心で解くことができましたが、午後の択一で同じ番号の答えが続く箇所が前半と後半であり、相当不安になりましたが、最初にその解答を導いた自分の判断を信じ、何もいじらないことにしました。私は合格点+1点での合格でした。この時、解答をひとつでも動かしていたら合格はなかったと思うと、冷や汗が出ます。

伊藤塾の各講師陣についての感想・各講師へのメッセージ

山村拓也講師
 「入門講座」の頃から今年の「記述式答案構成力養成答練」に至るまで、長い期間にわたって私の合格を信じ続けていただき、また、学習法で悩んだ時にも相談に乗っていただき、ただただ感謝です。記述を武器にすることができるまで実力を伸ばすことができたのは、山村講師の方法論を何度も繰り返し試して、完全に自分のものにできたからに他なりません。やっと今年の合格報告会( それも最終日) に山村講師に報告ができたとき、まるで自分のことのように喜んでいただき、諦めないで本当によかったと思いました。
蛭町浩講師
 「蛭町記述コース」では改めて記述式試験の解答に至る思考過程を再確認することができました。教材の膨大さに圧倒されたこともありましたが、社会人受験生だったこともあり、割り切って苦手なものだけをチョイスして活用するという方法を採りましたが、「そうそう!そのように使ってほしかったんだよ!」とおっしゃっていただきました。お会いすると常にポジティブな人柄に惹かれます。
関信敏講師
 山村クラスのクラスマネージャーの時からたびたび質問に答えていただきました。誤解して覚えていたことやなかなか腑に落ちない部分についても、理解するまで丁寧に説明していただきました。また、直前期のカウンセリングでも勉強の方向性や悩みについても相談に乗っていただき、直前期を安心して乗り切ることができました。

最後に

 冒頭でライブクラスに休むことなく通ったと書きましたが、私が「入門講座」を受講した年は首都圏で大雪が降ったことがありました。その日にも講義があり、夕方終わったのですが、帰宅途中に電車が立ち往生しました。しばらくして運転再開したものの最寄り駅までは帰れないことがわかり、雪の降り積もる夜中に2 時間半かけて歩いて帰ったこともありました。今となればよい思い出です。
 しばしば山村講師が、社会人受験生だからといってそれを考慮してくれる試験ではないのだから、乗り越えなければならないということをおっしゃっていましたが、まさに時間的ハンデを工夫で埋めるということが受験時代のテーマでした。通勤途中もみっちり勉強したという体験談をよく聞きましたが、私は逆の発想で、通勤時間だけは好きなように過ごしました。もともと音楽がとても好きなので、通勤時間には音楽を聴いて過ごし、それで満足して帰宅後には音楽を聴くこともなく、すぐに勉強再開できる精神状態になっていました。社会人受験生の方は特に、勉強時間の確保に目が行きがちだと思います。もちろんそれが一番のテーマではあると思いますが、リラックスしたり、好きなことを楽しむ時間をわずかでも確保してストレスを発散することも私にとっては必要でした。どのような方法であれ、時間を自分でうまくコントロールし、それがよいパフォーマンスにつながれば正解なのだと思います。
 最後に、この試験で一番大切なことは、諦めずに継続することだと思います。自分の弱点が見えない段階、自分の弱点と向き合わなければならない段階、自分の弱点がなかなか克服できない段階は出口の見えないトンネルの中にいるようで、心が折れそうになることが幾度となくあるかと思います。それでも諦めずにひたすら継続することができれば、出口は必ず見えてきます。諦めずに継続し、自分の弱点を克服した時、それが合格する時なのだと思います。

「紛らわしいものリスト」自分の中で似ていて混乱するものをリストアップして整理していきました。

「大雪の深夜の鎌倉・若宮大路」17時ごろ講義が終わりましたが、帰宅したのは深夜2時過ぎでした。

「記述式答案構成力養成答練の最終日」満開の桜に迎えられ、伊藤塾へ向かいました。いい予感がしました。