教養区分は運の要素が大きいが完全に運任せの試験でもない
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F.Fさん |
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プロフィール
受講講座:国家総合職コース、国家総合職ゼミ
課外活動:中国の大学生と社会問題について議論するサークルに参加している。また、アルバイトとして個別指導塾で高校生に英語や日本史等の科目の受験指導等を行っている。
目次
・留学経験について
公務員試験を目指したきっかけ
高校1年生の時に、将来の進路としての官僚(特に外交官)にあこがれを持つようになった。元々、直接人の命を助けられる特別なやりがいのある仕事として医者を志していたが、中学3年の時に、学校の提携制度を利用して中国の高校に短期のホームステイをした際に、異なる言語・文化・国籍を有する人と、自分の所属する社会をある種代表しながら意思疎通を図ることの面白さに惹かれ、武力紛争という最も残酷かつ非合理的な方法で人命が失われることを防ぐ外交官としてのキャリアに、魅力を感じるようになった。その後、国家の政策を通じて、人々が安全に生きられる社会を整備する裏方としての官僚全体に関心を持つようになり、受験する大学・学部を選択する際に、目標として明確化した。
対策スタートのタイミング
実際に学習を始めたのは、受験年の5月末だった。交換留学から帰国して休学期間中であったので、長い時間がとれた。振り返ってみると、ちょうどよい対策量だったと思う(すくなくとも多すぎたとは思わない)。特に数的処理に関しては、問題に慣れるまで時間がかかるので、もう少し早めに取り組んでも、精神衛生上は良いと思う。また、夏休み中などは学生団体の活動等で対策に充てられない時間も多くあったので、早めに始めるのに越したことはないと思う。
伊藤塾を選んだ理由
(主として予備試験対策塾としての)学内での圧倒的な知名度があり、教授ノウハウや独学では入手できない情報を求めて、伊藤塾を選択した。特に教養区分は問題構成が複雑で、市販の問題集等も少なく、情報不足を強く感じたため、なにかしらの予備校のサポートを受けたいと思った。加えて、入塾前に、公務員試験科のスタッフの方にコース等を相談する機会があり、納得感をもって入塾を決められたことも、大きな理由であったと思う。
伊藤塾のここが良かった!
◇講義・教材、論文対策
行政系科目のインプット教材が、一次試験の社会科学対策に非常に役立ったと思う。また、総合論文のゼミは、試験対策だけでなく、官庁訪問まで見据えた対策の指針として、有益だった。
◇人物試験対策
最も役立ったと思うのは、面接カードの添削サービスです。人事院面接で何が求められているのかが全く分かっていなかったところから、何回も添削していただく中で、比較的読みやすいカードになっていったと思います。また、添削での指摘を受けて書き直す過程で、複数のバージョンを作ることになりましたが、結果として、自分がアピールしたい点が明確化されましたし、様々なパターンの質問にも大体どのような方針で答えればよいか考えが整理された状態で本番に臨めました。
また、企画提案の講義および模擬にも、非常に助けられました。参考文献の白書が情報をとにかく詰め込んだタイプの資料で、一人で頭から読むだけで全体の体系や扱われている課題の大きな分類のイメージがつかずにいたところ、講義を見てからは、全体イメージをもって白書を読んだり施策を検討したりできるようになったと思います。また、模擬で受けたアドバイス(「自信をもって受け答えする」)は、本番の助けになりました。
最後に、政策課題討議の模擬は、必ず利用すべきだと思います。グループディスカッションの練習は、十分な人数が集まらないとできませんし、過去問もありませんので、自力で練習の機会を確保することが非常に難しいです。また、大学の友人などとやると、妙に気まずかったり逆に円滑に進みすぎたりするので、本番のように初対面の人と練習できる模擬の機会は、とても役立ちました。また、模擬をやってみると、自分のタイプがわかり、本番での戦略も立てられるので(実際自分は模擬でのアドバイスを受けて、当日は司会を引き受けました)、ぜひ利用するべきだと思います。
私がとった勉強法
総合論文試験
第1に、論文を作成する際の基礎となる政治学・行政学の知識を復習するために、伊藤塾の行政系科目のインプット講座を利用した。政治学については、大学1年時の講義等で得た知識を再び確認する要素が強かったが、行政学については初めて学ぶ分野であり、非常に役立った(加えて有斐閣アルマの『はじめての行政学』も読んだ)。
第2に、3回ほど、過去問演習を行った。時間を計って、実際に答案を作成した。個人的には、実際に書いてみることを、直前1カ月くらいに3回程度集中して行えば、I部の対策としては十分だと思う。
第3に、II部の具体的な政策論の対策として、伊藤塾の総合論文ゼミで紹介された参考文献を自分で整理し、政策分野ごとに答案を作成、書くべきことをまとめた(最後の1か月くらい)。そのうえで直前(2日前以降)に、その内容を何度も確認した。結果として予想された分野からの出題はなかったが、答案作成の良い練習となったし、択一試験の時事問題の対策にもなった。
基礎能力試験
(伊藤塾注:詳細な勉強方法をご紹介いただいているので、ここでは「得点戦略」のみ抜粋してご紹介します。)
・知能分野の得点戦略について
文章理解は10問 / 10問とるのが原則。
資料解釈も3問とりたい。落としても1問。とはいえ結構難しいので、時間がかかってもおびえない。
その他の問題は、自分の得意分野を中心に5問 / 11問取れれば合格すると思う。ただ目標は高く持つべきで、そこまで苦手意識がなければ7問 / 11問 を目指しておくのがよいと思う。
ただ実際のところ、2024年度・2025年度は14/24あれば受かるので、実際は文章理解10問 + 資料解釈2問 + その他2問で受かる。ただこれは下限なので、もう少し余裕をもって得点した方が、難易度のブレ等も考えるとよい。やはり 18-20 / 24を目標に。
・知能分野の得点戦略について
時事は4問/5問とりたい。その他の部分は、14/25問とれれば十分と言われる。
だ、実際はそんなに難しくないので、ちゃんと対策すれば満点でも全然目指せる。普通に9割はとれるはず。特に数的処理に自信がない場合は、こちらを頑張るのもありだと、個人的には思う。
1次試験は、知能分野の方が知識分野の2倍のウェイトを持って評価されるので、数的処理ができるに越したことはない。
企画提案試験
第1段階である白書の読み込みに、伊藤塾の解説講義が非常に役立った。参考文献が発表されてから、頭から一通り目を通したものの、全体像を整理して把握することは難しかった。特に今年指定された白書が関係省庁の政策を列挙することに主眼のある、そこまで体系立っていないものであったこともあり、注目すべき課題を抽出することに苦労した。その際、相澤先生の解説講義を見て、全体概要が明快に捉えられるようになり、以降の準備の見通しを立てることができた。
その後は、第2段階として、いくつか重要そうな課題を抽出し (例えば、こども関係政策であれば、ヤングケアラー問題、不登校児童生徒への対策等)、参考になりそうな文献を集めた。大学や地元の図書館で関係する書籍を課題ごとに3冊ほど借りたり、省庁の直近の審議会の議事録を読んだりした。その中で、それぞれの課題に対する対策の原案を、あくまでアイデアレベルで考えた。
そして、第3段階として、仮のレジュメを作成しつつ、友人や先輩に説明し、批判をもらう機会を設けた。伊藤塾の模擬企画提案に参加したり、相澤先生に自分のアイデアに対するご意見を伺いに行ったりもした。最終的に、自分が最も胸を張って紹介できる政策が2つ、レジュメの形に綺麗に整理されているものの自信がややない政策が2つ、アイデア段階で止まっているものがさらに3つという状態で試験に臨んだ。
最後に、以上をふまえて、解答戦略を決めた。例えば、幅広く「こどもが抱える様々な課題への対処を考えよ」と出題されたら自信のある政策2つを、「学校における児童生徒の課題に」と出題されたら、アイデアレベルのものをその場でレジュメにまとめて答える、というように、いくつかの出題シナリオを想定して、各場合に対応できるかを確認した。
政策課題討議試験
試験当日までに、模擬に4回参加した。個人的には、これくらいの回数で十分だと思う。少なくとも2回以上は模擬をして試行錯誤した方が良いが、5回以上もグループディスカッションの練習をする時間的余裕があるなら、企画提案を練り上げた方が良い。
まず、一次試験の合格発表後なるべく早いうちに、伊藤塾での模擬試験を受講した。民間就職のGDの経験もなく、全くの手探りであり、多くのアドバイスをいただいた。また、この際に指摘を受けた、「議論全体をまとめるような立場が向いているかもしれない」という点を受けて、当日は司会を務め、良い評価をもらった。また直後に総務省の内定者が実施した対策会での模擬試験も行った。
次に、その1週間後くらいに、大学の試験対策団体の主催する模擬に、そのさらに3日後くらいに財務省が主催する政策課題討議の練習会に参加した。この頃までには、「ものすごく積極的に発言する人がいない限り、自分が口火を切って話し始めて司会を担当する。司会をやらない場合は、内容面で勝負する」という戦略が確定していた。
したがって、3〜4回程度、伊藤塾や各省庁が実施する模擬練習を受けて、自分の立ち居振る舞いの得手不得手を理解し、当日の戦略を決めておくのが良いと思う。
人事院面接
個人的に企画提案と並ぶくらい苦労したのが人事院面接の準備である。留学や学生団体での活動など、記載する内容自体には困らなかったが、それをどのような内容・文体の文章にするか、非常に苦労した。1次試験の結果が出る前から、なるべく早く面接カードを実際に書いてみること、それをなるべく多くの友人や先輩、講師の方に見てもらうこと、そして実際に発話する形での面接練習もなるべく複数回行うことを勧めたい。
最初に書いた際は、面接カードは自分の経歴を披露するところであると誤解していたため、なるべく華やかに見える留学や研究助手の経験、語学成績などを単に列挙したものを作成したが、経験から自らが得た教訓が読み取れないとして、添削担当の阿部先生から非常に厳しい指摘を受けた。
その後も、4回にわたって添削サービスを利用した。主たる問題は、内容が抽象的・理念的で一読して内容を理解し難いこと、また理念的・哲学的関心が先行している、実務に適性のない人物と読み取られる可能性があることだった。これらの点を意識し、なるべくわかりやすい文章にすること、および自らの人間性と動機を伝えることに主眼を置くことに注意し、最終的にはある程度読みやすいカードに仕上がったと思う。遠慮せず、なるべく早くから、そして自分が納得するまで、添削サービスを利用するのを強く勧めたい。
また、模擬面接についても、伊藤塾での受験が非常に役立った。民間就活での面接経験等もなかったため (唯一、留学の際の奨学金のための面接くらい)、勝手がわからずにいたところ、話すスピードや話す量について、適切な指摘をいただいた。なるべく専門用語を使わず、わかりやすく、端的かつ速口になりすぎないように説明することを心がけることが、一番 (ともすると発話内容よりも) 大切であると思う。加えて、大学の先輩に面接を見ていただいたこともあった。
加点対象の英語試験
TOEFL110点を提出した。米国留学前、大学1年時にIELTS8.0を取得していたが(受験での学習成果を失わないうちに試験を受けるのがおすすめ)、2年間の有効期限が失効する(ただし教養区分への提出には問題ない)ので、留学帰国後(4年の6月)に再受験し、8.5を取得した。この時は、留学の時の記憶が鮮明だったので、対策はしていない。
その後、7月にTOEFLも受験した。初めての受験だったので、市販の参考書やウェブサイトを使って、2週間対策をした。いくつかライティング問題を解き、スピーキングも録音してAIに採点させるなどした。
普段の生活と試験対策の両立について
メリハリをつけて試験対策に取り組むことが一番大事であると思う。個人的には、留学から帰国後で、基本的には授業等もない時間的ゆとりのある期間での試験対策ではあったが、特に夏休みには、学生団体の活動や勉強会、アルバイト等もあり、必ずしも毎日を試験対策に充てられたわけではなかった。そうした際には、試験勉強をやるときに集中して取り組み、学生団体の活動期間にはそれに集中し、という形でメリハリをつけて取り組む事で、試験対策も中だるみすることなく、その他の活動を犠牲にして後悔することもなく、良かったのではないかと思う。
民間企業の就職活動について
民間就活は、日本銀行以外は行わない予定でいる。日銀に申し込んだのは、物価と金融システムの安定に資するというミッションが、日本国民・企業の経済活動の根幹を支えるものとして、官庁のミッションに共通し、自らの目指すキャリア像に近いと思ったからである。その意味で、広く政府系の公的なセクター以外には、就職活動を行うつもりは現状ない。民間にも自らが志向するキャリアを実現して社会貢献に資することができる企業がたくさんあることはわかるが、現状では、自分の目指すアプローチではないため、あまり関心がない企業に申し込んでもすぐに落とされることが関の山だろうと、民間就活は行わないことにした。民間企業での勤務より、大学院に進学してアカデミアでのキャリアを目指す方に、より興味がある。
留学経験について
3年生の秋から4年生の夏まで10カ月(長期休みを除いてacademic year1年分)、米国の東海岸にある大学に交換留学した。最先端の政治学を学ぶことが目的で、政治学部に所属して、規範的な政治哲学から、米国外交・中国国内政治等の各国政治、それらを分析するための統計学まで、幅広い観点から政治分析を学んだ。加えて、2学期目には、統計学への理解を深めるために、数学の授業を履修した。数学専攻向けの解析学の授業と、理論物理専攻向けの線形代数学の授業を履修したが、いずれも毎週の課題が多く、なかなか大変だった。しかし、文系の身ながら、じっくり数学に向き合った経験は(初歩的なものであったが)、非常に面白く、楽しい経験だった。また、たまたま授業とそのセミナーでお世話になった政治哲学の大家が、非常に親切に接してくださり、何度もオフィスアワーにお邪魔して、ホッブズやヒューム、カント、ロールズなど、様々な思想家のアプローチと、それにご本人がどのように接してきたかを伺うことができたのは、非常に大切な思い出である。
アドバイスとしては、留学中は留学に専念することが何よりだと思う。教養区分の対策は、あくまで帰国後に集中して取り組めば十分であり、貴重な留学の時間を(あまり学術的には意味のない)数的処理や高校レベルの理科・社会の知識の復習にあてるのは、全くの時間の無駄だと思う。むしろ、留学中は留学に専念し、やりきったという実感を持って帰国してから、メリハリをもって試験対策に集中した方が、総体としての幸福度も、試験対策としての効果も、いずれも高くなると思う。
また、人事院面接でも、その後の官庁訪問でも、先方が関心を持っているのは、表面的な・教科書的な知識の有無ではなく、あなた自身がこれまで何を経験し思考してきたかである。その意味で、留学という機会は、異国において自らを相対視し、大局的な観点から思考を深める貴重な機会であり、それは表面的な択一試験向けの知識を蓄えるためにではなく、自分が興味をもったことをのびのびと追求し、周囲の仲間と友情を構築することに費やすべきである。結局は、それが最大の試験対策となるのではないだろうか。
最後に
官庁訪問準備としては、説明会、春のワークショップへの参加、職員訪問等を行う予定でいる。また、日本銀行の総合職向けインターンが春にあるため、それに参加し、選考も受ける予定でいる。
その他、所属している学生団体の活動として、中国の北京を春休みに訪問する予定でいる。その前後に、上海や南京等、その他の都市も旅行しようと思っている。また、来年の卒論執筆に向け、テーマの絞り込みをしていきたい。
●これから進路を考える方へ
教養区分は、非常に運の要素が大きい試験です。一方では、大量の知識の詰込みや時間をかけた対策が必ずしも必要ではなく、受験のハードルが低くなっています。受験して損なことはないので、官僚としてのキャリアに少しでも興味があれば、事前準備に不安があっても、とりあえず申し込んで受験することをお勧めします。他方で、合否には運の要素が大きく、たとえ不合格であっても、あなたの能力や資質を否定するものにはなりえません。その際は、より努力が報われやすい春試験を受ければ何の問題もありません。
同時に、対策のノウハウが全く存在しない、完全に運任せの試験ではありません。伊藤塾の教材や講師の方々のアドバイスを活用しつつ、「運よく受かれば儲けもの」くらいの気楽な気持ちで、ぜひ受験してみてください。