国家総合職<教養区分> とは

国家総合職教養区分は、私たちが「官僚」「キャリア」としてイメージする国家公務員を採用する試験のひとつ。10月に行われることから秋試験と呼ばれます。これまでは主に大学3年生を対象とした試験でしたが、2023年度からは受験可能年齢が20歳から19歳に引き下げられ、大学2年生からチャレンジできるようになります。
 
実施時期・受験資格のほか、試験内容にも大学4年生が受験する春試験とは大きな違いがあります。試験制度と対策をチェックしていきましょう。

国家総合職<教養区分>19歳から受けられる試験

 

教養区分の受験資格

公務員試験の受験資格は、多くの場合、年齢と国籍です。教養区分試験の大きな特徴は、年齢要件が大学2年生(19歳)から受験できる*ように設定されていること。
民間企業とも併願しやすい秋に試験を実施することで、多様な人材を確保する狙いがあるといえるでしょう。受験生にとっても、国家総合職合格のチャンスが、2年・3年秋と4年春の3回に増えることになります。

 
■<参考>2023年試験 受験資格
1. 1993(平成5)年4月2日~2004(平成16)年4月1日生まれの者
2. 2004(平成16)年4月2日以降生まれの者で次に掲げるもの
  (1) 大学(短期大学を除く。以下同じ。)を卒業した者及び2024(令和6)年3月までに大学を卒業する見込みの者
  (2) 人事院が(1)に掲げる者と同等の資格があると認める者
 
■教養区分の試験日程(2023年実施試験)
●受付期間
2023年7月28日(金)~8月21日(月)
●第1次試験日
10月1日(日)
●第1次試験合格発表 10月18日(水)
●第2次試験日 [企画提案試験]
11月25日(土)
[政策課題討議試験]・[人物試験]
11月26日(日)
●最終合格発表 12月13日(水)

国家総合職<教養区分>の試験は春試験とはだいぶ違う

 

教養区分の試験・採用スケジュール(試験概要)

教養区分は大学の夏休み期間中に出願受付がはじまり、10月最初の日曜日に1次試験が実施されます。1次試験合格者を対象とした2次試験が11月中旬に行われ、これに合格すると教養区分試験合格です。
ただし、試験合格で終わらないのが国家総合職のつらいところ。翌年6月に行われる官庁訪問で、志望する省庁から「内々定」を獲得できれば、10月の「内定」を経て、翌年4月に晴れて入省、霞が関の一員となります。

国家総合職[教養区分]採用スケジュール

最新年度の日程は、 人事院HPを参照してください。

教養区分の1次試験とは

教養区分1次試験の種目は2つ。基礎能力試験総合論文試験です。合格率は2022年試験で22.1%です(対受験者、以下同様)。

■基礎能力試験(Ⅰ部:知能分野 Ⅱ部:知識分野)
配点比率
Ⅰ部 3/28
Ⅱ部 2/28
形式
多肢選択式
解答題数 Ⅰ部 24題出題 全問必須解答
Ⅱ部 30題出題 全問必須解答
解答時間 Ⅰ部 2時間
Ⅱ部 1時間30分
内容
○は出題数
Ⅰ部 文章理解⑧、判断・数的推理(資料解釈を含む)⑯
Ⅱ部 自然⑩、人文⑩、社会⑩ ※時事を含む
 

1次試験ではまず基礎能力試験が採点されます。合格ラインをクリアしていなければ、この時点で不合格決定です。どんなに総合論文が良く書けていても、2次試験には進めません。春試験よりも難易度の高い問題が出題されているため、しっかり準備する必要があります。

■総合論文試験
配点比率
8/28
形式
記述式
解答題数 2題
解答時間 4時間
内容 幅広い教養や専門的知識を土台とした総合的な判断力、思考力についての筆記試験
Ⅰ 政策の企画立案の基礎となる教養・哲学的な考え方に関するもの 1題
Ⅱ 具体的な政策課題に関するもの 1題
 

教養区分合格のために、最も力を入れるべきなのが総合論文試験の対策です。2題出題されますが、Ⅰ問とⅡ問では全く書くべき内容が異なります。試験までの事前準備がとても大切で、「本番勝負」でなんとかなる試験ではありません。

教養区分の2次試験とは

教養区分2次試験の種目は3つ。企画提案試験政策課題討議試験、および人物試験です。他の公務員試験にはあまり見られない特殊な試験ですが、合格率は2022年試験で65.2%と、比較的高いのが特徴です。

■企画提案試験
配点比率
5/28
形式
Ⅰ部 政策概要説明紙(プレゼンテーションシート)作成
Ⅱ部 プレゼンテーション及び質疑応答
解答題数 Ⅰ部 1題
解答時間 Ⅰ部 1時間30分
Ⅱ部 おおむね1時間程度
内容 企画力、建設的な思考力及び説明力などについての試験
Ⅰ部 課題と資料を与え、解決策を提案させる
Ⅱ部 政策概要説明紙(プレゼンテーションシート)の内容について試験官に説明、その後質疑応答を受ける
 
 
■政策課題討議試験
配点比率
4/28
形式
課題に対するグループ討議
解答題数 -
解答時間 おおむね1時間30分
内容 課題に対するグループ討議による
プレゼンテーション能力やコミュニケーション力などについての試験
 
■人物試験(人事院面接)
配点比率
6/28
形式
個別面接
解答題数 -
解答時間 -
内容 人柄、対人的能力などについての個別面接
 

教養区分の試験対策ポイントまとめ

教養区分合格のカギを握るのは、1次試験です。2次試験については、内容面は1次試験対策でカバーできるので、グループ討議の場面でどうアピールするか、その準備をしておくことが大切です。
 
  基礎能力試験で「何度やっても合格ラインをクリアできる力をつける
 
  総合論文対策を徹底して、やる
 
  グループ討議で「評価される」立ち振る舞いを身につける
 
中でも重要なのがポイントの②です。伊藤塾では、総合論文対策として、今後も出題が予想される分野の政策課題をおさえるほか、答案の「土台」とすべき専門的知識として、行政系科目の基本を学びます。

出題科目じゃないのに教養区分合格には「専門」知識が必要!?

 

教養区分試験対策のリアル

「国家総合職試験の中でも教養区分は専門科目がないから対策がラクだ」。そう考えている方も多いかもしれませんね?残念ながら、これは間違いです。
たしかに、国家総合職教養区分試験では、「専門試験」は課されないため、細かな知識を暗記するタイプの学習負担は軽めです。しかし、専門科目の学習が不要というわけではありません。実際、受験案内に「専門知識も聞きますよ~、勉強しておいてね~」ということが明記されています。どのように書かれているか見てみましょう。
 

■2023年試験 受験案内
(前略) このため、専門試験は課しません、幅広い教養や専門的知識を土台とした総合的な判断力、思考力を判定するための「総合論文試験」、企画力、建設的な思考力及び説明力などを判定するための「企画提案試験」を課すこととしており、(後略)

 
 
いかがでしょう?これはすなわち、「専門的知識を土台にして答案を書かないと、総合論文試験では合格点はつきませんよ」ということ。出題科目として学習対象が明示されていない分、試験対策としてはむしろやっかいです。何をどこまで学習すべきか、受験生自身が判断する必要があります。これは独学を考えている皆さんにとっては、つらいポイントかもしれません。

あの省庁に行きたいなら、絶対に「教養区分合格」を目指す

 

教養区分の試験結果

過去3年間の教養区分試験結果は下表のとおりです。2022年でいえば、1次試験が22.1%、2次試験が65.2%という対受験者合格率となっています。

 
2022年
2021年
2020年
申込者数 2,952 3,084 3,172
1次受験者数 1,884 1,973 (未公表)
1次合格者数 416 329 300
2次受験者数 391 315 (未公表)
最終合格者数 255 214 163

教養区分の採用状況

前述のとおり、 教養区分は対策が難しく、合格率も低い難関試験といえます。しかし、教養区分合格者を優先して採用していると思われる省庁がいくつかあります。特に、外務省を志望する場合には、 教養区分合格を本気で狙うべきといえるでしょう。
 
試験区分別の採用状況

 
国家総合職<教養区分>について、次のいずれかのイメージを持つ方が多いようです。
 
・「専門知識が問われない易しい試験だから、事前準備はそこまでしなくてよい
・「地頭勝負の超難関試験だから、事前準備はしてもしょうがない
 
両極端のイメージですが、どちらも「事前準備はあまりしない」という結論になります。しかし、教養区分はいちかばちかのギャンブル的な試験ではありません。 きっちり事前準備をして、確実の合格を狙いにいく、そんな試験です。
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