司法試験合格から司法修習修了までの流れ

司法試験合格から司法修習修了までのスケジュールと、「分野別実務修習」の内容と修習開始までの過ごし方、先輩合格者の学習法、対策講座(無料・有料)などをご案内します。

考試(二回試験)の概要

日程

11月下旬に5日間、1日7時間30分(10:20-17:50)(昼食1時間を含む)にわたって実施される

科目

民事裁判、刑事裁判、検察、民事弁護、刑事弁護の5科目

試験内容

概ねA4・100ページ強の事件記録をもとに、起案する

起案(答案)の分量

A4・26行の罫紙に1行おきの手書き。
枚数制限はない

成績判定

優・良・可・不可で、一科目でも不可があれば不合格となる

司法修習の大半をなす「分野別実務修習」の内容

分野別実務修習は、「民事裁判」「刑事裁判」「検察」「弁護」の4科目について、2ヶ月を1クールとして行われます。

「民事裁判」「刑事裁判」

裁判所では、地方裁判所の民事部・刑事部に数人ずつ配属になります。
「民事裁判」では、事前に記録を検討したうえで、弁論準備手続や弁論(特に証人尋問)の傍聴を行います。その前後には、担当裁判官との議論・質疑や起案(レポート)を行うことになります。起案は、割り振られた個々の事件について、(1)主張整理を行うもの、(2)主要な争点についての事実認定をまとめるもの(サマリー・ライティング)、(3)和解条項案を考えるもの、(4)法的問題点を調査するもの(リサーチペーパー)などがあり、判決全文の起案は課せられないことが多くなっています。
「刑事裁判」では、基本的には民事裁判と同じですが、起案の内容としては、争点についてのサマリー・ライティングが主となります。 また、家庭裁判所(民事調停や少年審判の傍聴)での修習や、令状修習(逮捕状・勾留状の発行や勾留質問など捜査段階における裁判官の仕事を見る)も行われます。

「検察」

検察庁では、実際に事件を1~2件割り振られ、被疑者の取調べ、供述調書の作成などの必要な捜査を行い、終局処分(起訴・不起訴の判断と、起訴の場合は起訴に必要な書類・証拠の整理)を行うことが目標となります。修習地によっては、指導担当の検事が付き、議論をしたり、検察官が扱う書面の書き方等について指導を受けることになります。

「弁護」

たいていは一弁護士事務所に修習生一人ずつが受け入れられます。指導担当弁護士の事務所に通い、指示に従って起案・傍聴を行います。研修所の科目分けと異なり、民事弁護と刑事弁護とが分かれてはいません。指導担当弁護士が通常扱っている事件の種類によって、修習として経験できる内容がかなり異なることになりますが、基本的な修習内容は、法律相談への同席、訴訟書面の起案のほか、法廷への同行・同席などとなります。また、最低1件は刑事事件を経験することとされています。

修習開始までの過ごし方

司法試験合格後の現行の司法修習(2014年11月開始の68期以降)からは「導入修習」が実施されます。
導入修習は、前年まで実務修習中のカリキュラムに組み込まれていた講義や起案を、まとめて1ヶ月集中的に実施するものです。ハードスケジュールで実施されるため、導入修習中は十分な勉強時間を確保することは難しく、また開始1週間目から「即日起案」が実施されるため、導入修習開始前に各自で事前準備をしておくことが必要となります。
また裁判官・検察官を目指す方は、「即日起案」での評価・点数が任官の可否(教官の心証)に影響します。弁護士になる場合でも、法律事務所によっては留学する際、司法修習における起案の成績が海外のどのロースクールへ入学できるかに影響します。
起案には、民事裁判・刑事裁判・検察・民事弁護・刑事弁護の5科目があります。それぞれ裁判官・検察官・弁護士(原告代理人・被告代理人・弁護士)の立場に立って、判決や準備書面などの法律文書を作成することになります。点数をとるために必要なポイントは科目ごとに異なり、主張整理や事実認定をはじめとして、これまでは十分に学習してこなかった部分を問われることになるため、新たに勉強する必要があります。

合格発表後は修習ガイダンスへの参加や採用出願の手続、配属地によっては転居が必要になります。10月中旬には司法研修所から事前課題が送付されてきますので、この課題にスムーズに取り組むためにも早期の準備開始をおすすめします。
特に、 修習中でも、実体法の正確な理解や知識が求められる場面は多くあります。修習に入るとなかなか実体法の勉強をじっくりとすることができないので、本試験後、合格発表までの時間を無駄にせず、この時期にしっかりと復習しておくべきです。復習については、民事系・刑事系ともに実体法(要件事実を含む)が重要となりますが、民事・刑事の事実認定についてもしっかりとフォローしておいてください。
これまで、もっぱら司法試験に合格するために、いわば司法試験対策として行ってきた法律学習ですが、思い返せば、 司法試験合格は、法曹になるための通過点でしかありません。司法試験に合格後は、司法修習を経て法曹資格を取得し、実務家となるわけですが、司法試験合格後の司法修習は、実務家へのいわば導入部となるものです。この修習期間を意義あるものにして、法曹として活躍するために、 これまでの法律学習をもう一度振り返る必要があります。
実務家として要求される能力の前提となるのはもちろんのこと、 司法修習においても、正確な法的知識や理解が備わっていることが前提になっています。司法試験後合格発表を経て修習までの期間は、修習期間を充実したものにするためにも、これまでの法律学習を省みるよい機会です。実体法の理解を再確認して、苦手分野を克服しておきましょう。特に、要件事実や民事刑事の手続の流れについては、しっかり頭に入れておく必要があります。

先輩弁護士が語る!修習開始前の準備~二回試験受験・合格までの学習法の一例

現在弁護士として活躍中の先輩に、修習準備~二回試験対策など、学習方法を伺いました。

試験後~合格発表まで

● 山本真史さん (立命館大学法科大学院(既修)修了)
司法試験後、合格発表までの間は私も勉強に身が入りませんでした。ただ、夏ごろから伊藤塾の基礎マスターテキストを読むなど、基礎的知識の復習をしました。二回試験では、基本的な法律知識があるかも試されます。そのため、基礎的知識の復習をすることをおすすめします。この基礎的知識は、伊藤塾の基礎マスターレベルで十分だと思います。

合格発表後~発令まで

● H.Iさん ( 駒澤大学法科大学院(既修)修了)
合格発表後採用発令までの間は、要件事実の勉強をしました。これは、友人のアドバイスに従ったものです。具体的には、法科大学院時の資料と「紛争類型別の要件事実」を読みました。

● S.Rさん ( 私立大学法科大学院(既修)修了)
合格発表後は民法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法の司法試験の復習をしました。修習に入ると事実認定がメインになるので、この間は最後にしっかり理論を復習しておきました。

● K.Tさん(明治大学法科大学院(未修)修了)
この期間は、うかれてしまって勉強する気が起きない時期でした。それでも、司法修習で恥をかかないように、最低限の準備だけはしておこうと思い、民法、民事訴訟法、民事保全法、民事執行法、刑法、刑事訴訟法、刑事訴訟規則の条文を精読しました。

集合修習期間

● N.Kさん ( 国公立大学法科大学院(未修)修了)
集合修習に入ると、毎日のように起案と講義を受けることになります。講義は非常に重要なのですが、教官は優秀な方が多いせいか、かなり要約した情報しか教えていただけないため、講義を理解するだけでも労力が要りました。このことを考え合わせても、伊藤塾でしっかり実務の基礎講座を受けておけばよかったと思っています。
また、この時期はいわゆるマニュアルも出回るのですが、内容には疑問のある点も多いようです。それよりも、優秀答案を友人などに見せてもらい参考にするほうがいいと思います。また、民事系と刑事系は司法試験で学んだ基礎が重要になります。私は、伊藤塾のテキストを何度か読みなおしましたがかなり有用でした。起案の書き方だけではなく、法律の基本も一度見直したほうがいいでしょう。

司法修習までに学んでおきたい!おすすめ講座 のご案内

民事執行・保全 集中講義

 
普段学習機会を設けることができず、手薄になりがちな執行・保全手続について、呉講師の講義により、短時間で全体像を押さえることができます。予備試験口述式試験対策、司法修習前の事前学習に最適です。

【時間数】 5時間
【担当講師】 呉明植講師
 

要件事実 集中講義

 
呉講師渾身の9時間集中講義。「要件事実」を短時間で正確に押さえることができます。予備試験口述式試験対策、司法修習前の事前学習に最適です。

【時間数】 9時間
【担当講師】 呉明植講師
 

『要件事実論30講』で学ぶ演習17題

 
弘文堂刊「要件事実論30講」に掲載の演習問題について適宜ポイントとなる部分を指摘しながら解説します!

【時間】 全9時間
【担当】 呉 明植 講師
 

司法修習準備講座

本講座では、法科大学院ではそれほど触れられていないが、実務修習に入る前にはぜひマスターしておきたい事項のエッセンスを確認することで、修習開始前の不安を取り除くとともに、修習開始後のスタートダッシュやアドバンテージに有益な内容を提供していきます。
【時間】 全10時間
【担当】 秋島 成宏 講師