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民間企業経験を活かし、大手総合法律事務所からインハウスロイヤーへ

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吉田真実先生

第二東京弁護士会 2004年慶應義塾大学法学部法律学科 卒業 2004年アステラス製薬株式会社入社 2009年東京大学法科大学院 修了 2009年司法試験合格 2010年第二東京弁護士会登録 2011年TMI総合法律事務所勤務 2016年株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン 法務部勤務(インハウスロイヤー) 【受講講座】司法試験入門講座本科生

グローバル企業の日本法人法務部の仕事

株式会社フィリップス エレクトロニクス ジャパン(以下、フィリップス)におきまして、インハウスロイヤー(法曹資格者)として法務部に所属しています。法務部では、契約書のレビュー、トラブル案件やコンプライアンスに関する問題が発生した場合の対応、訴訟に関する対応やサポートがメインとなりますが、その他にコンプライアンス研修や他部門からの相談などにも対応しています。現在、フィリップスの法務部では法曹資格者とパラリーガルを複数名配置し、グローバル企業としてビジネスにも積極的に関わっています。

インハウスロイヤーの魅力は、ビジネスと密接に関係していること。

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インハウスロイヤーは、他の弁護士と異なり、企業戦略の中で、特に新しいビジネスについて積極的にかかわることが特徴だと思います。フィリップスのブランドプロミスとして、「2025年までに、年間30億人の人々の生活を向上させる」というものがあります。このプロミスを実現するための一例として、遠隔医療プログラムに関するプロジェクトがあります。これは、ネットワークを用いて複数の病院の集中治療室をコントロールセンターとつなぎ、患者さんの容態をモニタリングするという画期的なものです。法務部でも、契約書の作成や法的アドバイスなど、プロジェクトのサポートを行いました。法務やマーケティングといった部門間の枠を超え、最先端のプロジェクトの成功に向け議論をしながらやっていくことは、法律事務所では、経験できないことかと思います。現在は、会社のブランドプロミスを自分の誇りと感じて、日々の業務に取り組んでいます。

事業部にあわせ担当制が基本に、他部門と共同して仕事をしています。

フィリップスには、複数の事業部門が存在し、法務部では、複数名で各事業を担当しています。私は、パーソナルヘルスと呼ばれる家庭用電気機器を扱う部門と、ヘルスシステムズと呼ばれる医療機器を扱う部門の案件を主に担当しています。業務においては、マーケティングや営業の方との打合わせを頻繁に行います。例えば、新しいビジネスに関連する法的アドバイスや、広報チームの担当するフィリップスのブランドビデオ制作にあたり、内容に法的問題がないかのチェックをしたりしています。

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広報部の方と

グローバル企業としての特徴

海外の関連会社とは、事業形態・部門ごとに拠点が異なるため、業務内容に応じオランダやアメリカなどの関連会社と打合わせをすることもあります。また、フィリップスの世界中の弁護士が、本社のあるオランダに集まる会議があります。それぞれ自国の「イシュー(課題)」を持ち寄り共有することによって、世界レベルでのコンプライアンスの意識向上などを図っています。

子供の出産をきっかけに大手総合法律事務所から転職

以前は、総合法律事務所に勤めていましたが、出産をきっかけにフィリップスに転職しました。大手総合事務所は皆さん夜遅くまで働く中、出産後は時短制度を使って働いており、17時には帰っていました。そのような中で、事務所への貢献度、担当する業務という点で物足りなさを感じ、他の働き方を考えました。今の会社を選んだのは、医療業界に興味があり、フィリップスが医療機器を扱う企業でもあるからです。ライフサイクルを通じて、健康に寄与していくという会社のビジョンが自分の価値観と一致していることもあり、楽しく働いています。また、以前勤務をしていた総合法律事務所での企業法務の経験も活かすことができていると思います。現在は、会社の定時の9時に出社し、17時半に退社、という形で働いています。

法律家を目指した理由。 社会人を経て法科大学院へ進学

法律を用いて、身の回りにある問題を具体的に解決することに興味を持ち、法学部に進学しました。司法試験の勉強は、大学1年生のときに友人と一緒に伊藤塾に入り、なんとなくスタートしたというのが本音です。結局、大学3年生のときに、企業に就職する方針に転換し、製薬会社に入りました。最初の配属は営業職で、将来は法務部に異動したいと考えていたのですが、どうせなら、法曹資格をもち専門的に仕事をしようと思い至り、法科大学院に進学しました。振り返ってみますと、大学在学時より、むしろ社会人になってからの方が、法曹を目指す動機という点では、しっかりしたものがあったと思います。

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伊藤塾長のお話はいまでもよく覚えています。

伊藤塾での学習は、予習・復習が少し大変だなと思っていましたが、伊藤塾長の講義は、面白いお話も多く、楽しみながら学習できました。ドイツ人と日本人の憲法の重要性の捉え方の差などは、今でも良く覚えています。また、講義にリンクするテストで良い点をとるのが嬉しく、一生懸命学習していました。伊藤塾長の「やればできる、かならずできる」で元気づけられることも多くありました。

スピード展開していく企業法務

医療やITの分野はかなりのスピードでビジネスが展開しています。知識・経験ともに、これから求められる新たな分野だと思います。また、どこで働くにしても、好奇心がある方は、強みになると思います。理由は、法律は頻繁に変わっていきますし、企業法務では、新しいビジネスへの柔軟な対応が必要だからです。好奇心を持って、楽しく取り組めることができる方は、特に企業法務に向くと思います。

今後、インハウスロイヤーとして

現在は、子供の事と仕事でいっぱいですが、インハウスロイヤーとして会社や業界をさらに知り、より充実した法的サービスを提供していきたいと思っています。また、ビジネスサイドからは、法務部は保守的と思われる傾向があるのですが、単にリスクを指摘するだけではなく、どうすればリスクを回避できるのかといった踏み込んだアドバイスを行うことを心がけ、ビジネスサイドから頼られる法務部を目指したいと考えています。

これから弁護士を目指す方へのメッセージ

学生の方には、法曹を目指し始めて、挫折しそうになるタイミングがきっとあると思います。そのような時、私は、法曹を目指したきっかけや、支えてくれている周囲の方のことを考え、モチベーションを維持していました。大きなチャレンジだと思いますが、最後まで頑張ってください。社会人の方には、今までの経験や知識は、大きな強みです。是非、法曹としてその経験を活かして欲しいと思います。社会人から法曹を目指される方にも是非頑張っていただければと思います。

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株式会社フィリップス エレクトロニクス ジャパン

■事務所(会社)プロフィール

オランダに本社をもつグローバル企業。健康な生活、予防、診断、治療、ホームケアという一連のヘルスケアプロセスを通じて、先進的なテクノロジーと、医療従事者や消費者のインサイトを基に、人々の健康を改善し良好な結果をもたらすための包括的なソリューションを提供している。

■事務所(会社)住所

東京本社  
〒108-8507 東京都港区港南2-13-37フィリップスビル