社会構造や法律の仕組みを変え、新たな歴史を作る、
それも弁護士の仕事

弁護士法人・響 代表弁護士 西川研一先生

立命館大学法学部卒業
2007年弁護士登録
普天間飛行場爆音差止訴訟弁護団、嘉手納基地爆音差止訴訟弁護団所属。
また、弁護団長を務めた「SAVE THE NOON訴訟」では、無罪判決を勝ち取り、最高裁で確定。風営法改正にも尽力。現在、東京・大阪・福岡・神戸に拠点を持ち、「人権型ロー・ファーム」を経営コンセプトに据える。

※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。

一所懸命に働いている人が「死」に向かう、過労死を生む構造に疑問を持つ

私が高校生の頃に、今で言う「過労死問題」が社会をにぎわせ始めました。高校生ながらに、人の幸せのために、家族や身の回りの人のために、一所懸命働いている人達がその対極である「死」というものに向かわざるを得ない、その構造に疑問を感じたというのが、最初のきっかけでした。
そこから何の力もない自分が、どうやってそこに貢献できるだろうと考えて行き着いたのが、「法律を使う仕事」。しかも、弱い人の立場にたって仕事をできる弁護士というものがあるのではないかと思って決意したのがはじまりでした。

司法の力を実感した「SAVE THE NOON訴訟」

私が今まで扱ったなかでも印象的なのは、「SAVE THE NOON訴訟」というクラブの裁判です。踊らせるには許可が必要という風営法の規定があり、それを理由に本当に音楽を愛する人達が集うクラブのオーナーが逮捕されて起訴されるということがありました。これはやはり憲法上の権利の問題ではないのかと考え、弁護団長として弁護団を組織させていただきました。結果、弁護団員の超人的な頑張りのおかげで、無罪判決を獲得し、また、最高裁までそれを維持することができたものです。
ここで司法の力を再認識したのは、地裁での無罪判決が出た途端、それまでいくら改正を働きかけても首を縦に振らなかった警察庁が、その規定の廃止へと舵を切ってくれ、その結果不十分ながらも法改正が実現できたということがあったからです。司法はまだまだ大きな力を持っている、「世界を変えて歴史を作っていく」上で、それは大きな役割を果たしうると実感できる事件でした。

弁護士が働くことの意義

その事件の中で、自分自身でも弁護士バッジの力とは偉大なものだと発見をしたことがあります。法改正運動の中で、国会議員の超党派の議員連盟を作っていただけたのですが、その方々に陳情に行くに際しても、一般市民の方が行くのと、弁護士が法的観点から話をするのでは先方の受け止め方というものに大きな違いを感じました。ですから、我々が一緒についてご説明に回るということには非常に大きな意味があったと思います。また、法改正の最終局面おいて委員会での質疑というものがありますが、例えばある議員の質問について私が起案するという形で、そこに間接的に携わることができました。それも弁護士だからできたことだと思います。
弁護士資格がある、弁護士である、ということは、様々な分野に入っていくことができるパスポートのようなものです。当然、それをするにあたっては、我々もしっかり学ぶ必要がありますが、もし私が弁護士でなければ到底行けないような場所、到底会えないような人に、行けたりお会いしたりすることができる。それはやはり大きな力なのだろうなと思います。

個別案件の背後にある仕組みを変え、二度と同じことを繰り返させない

個別の事件において、辛い思いをされている被害者の方に対して金銭的な賠償ですけれどもそれをして差し上げられるなど、目の前のお一人の問題を解決し、感謝していただける瞬間は、日々のモチベーションの糧であり、無上の喜びです。
ただ、我々が弁護士である以上はそれに留まることなく、その大変な思いをされているお一人の背景にあるもの、例えば社会構造や法律の仕組み、そこにアプローチをして変えていくことに取り組まなければなりません。それをすることで弁護士は新たな歴史を作ることができる。ここがやはり一番大きなやりがいだと思っています。

世界を変え、歴史を作る「人権型ロー・ファーム」

そのやりがいを実現するべく、弁護士法人・響は明確なコンセプトを掲げています。「人権型ロー・ファーム」というコンセプトです。この業界、社会構造の変化に伴い、弁護士の経済的基盤というものを本格的に確保していく必要があり、積極的にそこに取り組んでいます。同時に、社会的活動、つまり「世界を変えて、歴史を作っていく」活動、これは弁護士が今までずっとやってきたところではあります。その活動が個々人の努力とか、いわゆる手弁当でやるとか、そういう形だけでは成り立ちにくくなってきている中で、経済的基盤から生まれたリソースを社会的活動に振り分けていく、その両輪で世界を良くしていこうというコンセプトの下に運営されている事務所です。

伊藤塾長の、憲法に対する愚直なまでの真摯さ

やはり伊藤塾長の憲法に対する愚直なまでの真摯さというものは、自分の中でDNAとして受け継がせていただいている点かと思っています。講義の中で、憲法価値を実現することがいかに大切なことかというお話を随所でしてくださっていたので、それが自分の血肉になっていると感じています。
その思いをもってライフワークとして取り組みたいと思っていることのひとつは、沖縄の米軍基地問題です。沖縄という小さな地域に多数の米軍基地が集中して、そのなかで住民の命や健康が脅かされ続けています。それに対して新基地建設を差し止める動きなどいろいろとあるわけですけれども、そのなかで私が関わらせていただいている「爆音差止訴訟」、そこでさらに貢献していければと考えています。

「少数者の人権を擁護し、実現する」活動を支えるフィールド作り

まず先に申し上げたいのは、インハウスローヤーを否定するつもりは毛頭ないということです。弁護士の職域をインハウス、政策秘書、自治体職員などに拡げていく必要はあるのだろうと思います。ただやはり、皆が皆インハウスになってしまうと、憲法的価値を実現するために戦う弁護士がいなくなってしまうのではないかと、そう懸念してしまうことはあります。ですから、職域拡大と同時に弁護士の本来的な「少数者の人権を擁護し、実現する」ための活動、それがしっかりできる枠組み、フィールド作りというものが必要なのだろうと思うのです。 やはり在野で経済的にも自立しているからこそ、いろんなところに物も言えるし、行動することができる。それは弁護士としてのあり方に、大きく関係するところだと思います。だからこそ、我々の事務所も経済的基盤の確立いうことを目的の一つとして掲げているのです。

弁護士を志す人にもって欲しい、「絶対に諦めない」というマインド

正直法律家としての実務能力というのは、努力次第で何とでもなると思っています。ただ、これだけはないとダメだなと思うのは、「最後まで絶対に諦めない」というマインドです。特に先ほど憲法的価値の実現というお話をさせていただきましたが、それをするための訴訟、例えば国や大企業を相手にするのですけれども、そのなかで困難なことは常にある、困難なことだらけなわけです。そこでいちいちめげていたら、「世界を変える」とか「歴史を作る」とか到底できないわけであって、やはりそのなかにあって最後までやりきる、頑張りきる、ということができるかどうか。やりきった結果、目標が未達成であったとしても、やりきることで過程に意味が生まれてくるので、その姿勢、マインドがあるかどうか、それが最も重要だと思います。

人権型ロー・ファーム、日本から世界へ

大きなビジョンとしては、冒頭で申し上げたように、経済基盤を確立し、憲法的価値を実現する社会活動を行うという、人権型ロー・ファームのコンセプトをさらに具現化することです。それをするために、憲法的価値を実現する活動のスペシャリストを我々の事務所の中で育てていきたいと考えています。彼ら・彼女達が、日本の各支店を通じて地方でも活躍している、そういった形を国内では作っていきたい。特に東京は内閣、国会のあるところですから、そこに影響を与えられるような活動をしていけないかと考えています。
これからの海外展開ということを申し上げますと、現地の日系企業や、日本進出企業のサポートということが主な業務になるとは思います。ただ特にアジアにおいては日系企業に関係のある国際人権問題なども存在しますので、そこで活躍する弁護士をアシストする、そういった機能も海外支店には付加していきたいと考えています。 「新外交イニシアティブ」は我々の事務所も法人会員として一緒にやらせていただいているのですが、あのシンクタンクの活動の場合、アメリカ・ワシントンが非常に重要なポイントになるので、将来的にはワシントンにも拠点を作りたいなとも考えているところです。

これから法律家を目指す方へ

法科大学院志望者の激減など、あまり魅力のない業界のように言われてしまうことが最近は多いのですが、実際に活動している我々から言うと、ここまで面白い仕事はないと思っています。もちろん日々の仕事には大変なこともあります。しかし、実際に世界を変えて歴史を作っていく、そんなことができる仕事、それは弁護士しかないのではないかと思います。やはりそれは非常にエキサイティングですし、面白い、わくわくします。ですから、これから弁護士を目指すかどうかは、そういった仕事なのだと知った上で決めて欲しいですね。
メディアから断片的に流れてくる弁護士って大変そう、という抽象的なイメージに振り回されず、自分の仕事を活き活きと語る実際の弁護士の話を聞いていただきたいと思います。伊藤塾の「明日の法律家講座」でもそれは聞くことができますし、私も所属している「青年法律家協会」という団体で、学生向けの学習会などを開催している地方もありますので、そういうところに参加してみるというのも良いと思います。

弁護士法人・響

■事務所(会社)プロフィール

西川先生が代表を務める、弁護士・税理士・社労士・行政書士・調査会社からなる組織、響グループの一翼を担う法人。グループ内で各士業・専門家が連携し、ワンストップのリーガルサービスを提供している。世界を変え、歴史をつくることを経営目的として掲げ、そのための社会活動を事業として進める日本で唯一のビジネスモデル「人権型ローファーム」実践している。
弁護士法人・響ホームページ http://hibiki-law.or.jp/

■各オフィス所在地(2018年4月現在)

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