自分の考える正義を実現出来るのが弁護士の大きな魅力

岩坂 康佑先生

経歴  
1988年3月  三重県津市で生まれる
2010年3月  上智大学法学部地球環境法学科卒業
2012年3月  上智大学法科大学院修了
2014年12月 弁護士登録 横浜弁護士会所属

※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。

様々な問題の出発点はやはり憲法

私が弁護士になろうと思った理由は二つあるのですが、一つ目は元々環境問題に関心を持っていまして、大学で環境法という科目を学ぶ機会がありました。それを勉強していくうちに法というものが環境問題の解決や前進に重要な役割を果たすのではないかと考えるようになりました。そして、法律を使ってそのような環境問題にアプローチ出来る仕事がいいなと思い弁護士を志したというのが一つの理由です。
 あともう一つは、大学の健康診断の時、たまたま私の問診をしてくださった看護師さんから、ご自身の体験に基づいた医療過誤についてのお話を伺う機会がありました。その方がお勤めの病院で、目の手術をしたところ患者さんは失明をしてしまい明らかなる医療過誤だったそうです。ご自身の職場であることから長い間言い出せなかったようで、どうしたらいいのか分からないと悩み続けたとのことでした。ですが、時間が大分経過してから弁護士のもとに相談に行ってみたところ「早く来ないから時効になってしまっている。今更何も請求することはできない」と冷たく突き返されてしまったそうです。その話を私にして下さった際、涙をされており職場との関係でも散々思い悩み、その悩んだ挙句ついに弁護士に相談に行ったにも関わらず、そのような冷たい対応をされてしまい本当に悔しくて辛いとのことでした。「もし法律家を目指すのでしたら、そのような弁護士にはならないで」とその場で看護師の方に言われました。「言いたくても言えずに苦しんでいる人も数多くいるのだろうな」と思ったものですから、そのような人たちの力になりたいと思ったのが二つ目の理由です。今申し上げた二つの理由で弁護士を目指そうという思いに至りました。
 川崎北合同法律事務所に入所を決めた理由ですが三つあります。
 一つ目は先程申し上げたような環境問題をやりたいという思いを伝えながら就職活動をしていたのですが、なかなかいい顔をしてくれないところが殆どでした。そんな中「やりなよ、やりなよ」「へー、環境問題やりたいんだ!」という様に理解を示しつつ言ってくれたのが当事務所でして、とても嬉しかったのが理由の一つ目です。
 二つ目はロースクール在学中に、憲法改正の動きが出始めてきたことでした。当時は民主党政権でして、その折に自民党の憲法改正草案というものがインターネットに出ていて、「こんなのがあったぞ」と友人が見せてきました。そしたら「あれ?これはヤバいぞ」というのが率直な思いでして、やはり伊藤塾長から憲法を教わってきましたし、そのことを踏まえつつロースクールの憲法を勉強したのですが、これは自分が知っている憲法ではない、それは右も左もなく憲法ってこういうものだという自分の理解そのものを後退させるといいますか、憲法が憲法たるべき理由とか、その意義みたいなものを後退させるような改正内容になっていると随所に感じました。憲法は国家の基礎法ですし、このように憲法を変えられてしまったら怖いと思っていたところ、川崎北合同法律事務所は所長を始め、先輩方がみんな同じ危機感を抱いている事務所でした。面接などでお話させて頂いている中で、共感することができたという点も当事務所を選んだ一つの理由です。
 最後三点目は事務所皆様の人柄です。自分にとって働きやすい方々かどうかというところで決めました。
 川崎北合同法律事務所の特徴ですが、まず全ての弁護士が各自関心を持っている社会問題に対して取り組んでいます。事務所の所長は教育の問題です。教科書の問題ですとか、教科、科目の問題について憲法的な視点から「これはどうだ」という疑問をもち、必要に応じて訴訟を起こしたりしています。あと先輩弁護士は女性の権利問題とか家事事件に取り組まれています。特に女性の権利、女性の差別問題ですとか、待遇の問題ですとか、そういった問題に関心を持ってやっています。私の一期上の弁護士は労働問題に取り組んでおります。そのように、それぞれが自分の強みというか関心分野というのを持って積極的に取り組んでいるというのが一つの特徴ではないかと思っています。
 当事務所に所属している各弁護士は、様々な分野に取り組んでいますが、どれも出発点は憲法だと思います。人権や民主主義などというところから全て始まっていると思います。ですので、憲法と民主主義、そして自由を守るというのが川崎北合同法律事務所の理念ですので、そこから全て始まっていると思います。

少年事件で心の底から「変わりたい」という言葉をもらえた瞬間

私の担当している分野としましては、いわゆる街弁としてのものであれば、ほぼ全てです。通常の街弁が取り組んでいる家事事件、離婚、相続問題、そして、建物の明け渡し請求問題や土地の境界の問題とか交通事故の問題、あとは債務整理系です。自己破産、任意整理、個人再生とかもあります。あとは刑事も普通の成人の事件もやりますし、少年事件もやりますし、裁判員裁判も昨年初めて経験をしました。
 その中で少年事件については、やはり10代の方と信頼関係を築いて、気持ちを通わせていく過程が難しかったりするのですが、そこを何とか乗り越えて、少年審判の日を迎えた時、少年自身が心の底から「自分は変わりたい」と言ってくれた瞬間は涙が出そうになり、心の底から「良かった」と感じます。非行や犯罪に走らずに大人になっていってくれるだろうと心の底から思えたその瞬間は、弁護士をやっていて良かったなと思います。一つの役割を果たすことが出来たのかなという満足感に繋がります。少年と信頼関係を築いていく難しさはやはりあります。頭ごなしに叱るように言っても、おそらく反発を買うだけだと思います。したがいまして、少年の弱い部分も強い部分も全部こちらが受け止めてあげないといけないなと。話を聞いてその中で少年がどこまでフランクに話が出来るかどうかという点が重要になってくると思っています。ただ難しいと感じるのはフランクになりすぎて、「この人の前ではだらしない態度を取っても大丈夫」だとか、「適当なことを言っても大丈夫だ」と思われてもいけないので、その線引きが難しいです。

弁護士の仕事は「対人職」であることを痛感

弁護士の仕事は受験生時代に描いていたものより想像以上に泥臭いというか、人間臭い仕事だなと思います。仕事のやり方とか扱う分野によって違うのかもしれないのですが、もちろん法律のことをよく理解して、知っていて、適切に使いこなせる力とか、あとは書面を綺麗に作成する力ですとか、そういう実務能力は大切だというのは想像通りなのですが、我々は対人職だということを痛感することが多いです。正直なところ弁護士に依頼に来られる方はハッピーな方は一人もおりません。みなさんアンハッピーでさらにご自身の力ではどうにも出来ないから相談に来られるという方がすごく多いものですから、日々私たちが触れる感情というのは、案件を受けてから終わるまでの間、依頼者の方の不安とか怒りとか悲しみとか辛さとか、負の感情を伺うことになるわけです。そういう方に対して何か説明する時に、どういう言い方をしたらいいのか悩みます。これは弁護士の業務なのかなと思うことであっても、何かお手伝い出来ることがあればして差し上げた方がいいこともあるのではないかとか考えます。もっと華麗にズバズバとこなしているイメージがあったのですが、負の感情に向き合ったりとか、細かな色々な出来事に向き合ったりすることが思ったより大事な仕事なのかなという気がします。先程お話した少年事件などが全てを物語っています。制度の上では少年法はこういった制度だよとか、このような手続きだよというのは学ぶのですが、実際にある少年を担当することになったときには、その少年の人間性そのものに向かっていかなければならないと思います。一つ一つの結末も流れも違いますし。だから例えば同じ離婚であっても、それぞれ全く異なる案件です。当事者が変われば、中身も何もかもが違ってくるという人間臭さの漂う仕事だと思います。その人間臭い部分の仕事と向き合うには、やはり相手の気持ちを理解する力は必要です。依頼者の方のお立場や感情などをきちんと認識、把握することが、とても重要なことだと思います。ただ距離感といいますか、あまり気持ちを入れ込みすぎると跳ね返ってくる分も大きいというのがありまして、心は冷静でいなければいけないところも一方ではあって、そこのバランスがとても難しいと感じています。冷たい印象を持たれてしまうとお気の毒ですし、入り込みすぎて自分も引きずられていくと落ち着いた対応が出来ない。感情的にもやもやしてダメになるという。そこのせめぎ合いといいますかバランスがとても難しいです。距離感やバランスの取り方は弁護士になった当初よりは、少しだけコントロール出来るようになってきたかなといった程度です。まだまだ甘いというか、綺麗に自分の中で割り切ったなどというのは全然出来てないですね。入り込みがちなので。

興味ある分野を自分のやりたいようにやれる瞬間を手に入れられる喜び

私が考える弁護士の仕事の魅力は自由なことではないかと思います。法曹三者がいますけれども、唯一組織のしがらみなどに縛られず、自分の考える正義を実現出来るのが弁護士の大きな魅力なのではと思っています。改憲問題でどうこう動いたり出来るのも、それは私が自由な立場だからであって、おそらく組織にいたら、簡単にそのようなことが出来るかというと、しかも法律家の立場として簡単にそういうことが出来るかというと、それは不可能だと思います。それが出来るのが弁護士の一つ大きな魅力です。通常の事件に関しても、どのようにこの事件を解決していこうかというのも、自分の裁量が大きく及ぶところです。その分、責任はとても大きく重たいのですが、そこも自分が考えるように自由にコーディネートしていけるという点が大きな魅力ではないでしょうか。
 これからの弁護士のあり方ですが、分野の見通しまで立てられるほど私は勉強していないのですが、より敷居は下がって、先程例として出されていた街のお医者さんのように、ちょっと相談してみようかなという時に、法律家の力を活かすことが出来る場面は増えてくるのではないかなと思います。これは川崎の弁護士がやっていることですけど、各川崎の区役所の相談に弁護士会の川崎支部の弁護士は配転をされて、私も定期的に各区の区役所に行っています。そこで区民の皆様のご相談を色々と伺うのですが、本当に色々なところで法律の知識が役に立つ場面が、小さなところからたくさんあるなと思っています。これは極端な例なのですが、ある区役所相談で受けたご相談では、「私は小説を書いています。小説のキャラクターにこういう動きをさせたいのだが、これは何罪に当たりますかね?」「そこの罪名が何罪になるかということを知りたいので相談に来ました」と相談にこられた方がいました。小説のストーリー上、こういう動きを登場人物にさせるという点は既に決まっていたのですが、「お前、そんな動きをしたら、○○罪に問われてしまうぞ」というセリフを入れたいようでした。その時の○○罪が分からないという相談でした。そこを正確にしたいと仰っていました。そういう相談は滅多にないことだと思いますし、こんな場面でも法律家の役割を果たせるのだなと思いました。
 あと私の妻の知り合いの人が映画監督をやっていて、今度中国を舞台にした離婚調停の話を映画に撮りたいということで相談を受けました。「脚本を書いているのだが、中国の家事手続きについて何か知らないか」と聞かれたこともありました。事案解決というわけではないのですが、法的知識を何か提供出来るものがあれば、それが他の分野で全く違った形で活きてくるというか、そういうこともあるのだなというのを感じた例です。そういう意味でも色々な人から様々な内容のご相談を頂戴出来る弁護士が街に誰かいると、そのエリアの皆様にとっては安心でしょうし、そういうサービスを届けられればいいなと思っています。
 私はこれから環境問題にもっと法律家としてコミットしていきたいというのは強く思っています。色々な形があると思うのですが、何か環境事件として訴訟活動をやっていくというのもそうですし、あとは法政策の分野に携わっていくというのもそうだとは思うのですが、もっと法律家として環境問題に関われる可能性があるとは思うので、それは追求しつつ、そういう時間を増やしていきたいと私は考えています。
 弁護士の良いところは、先程申し上げた通り、自由なところです。自分の考える正義を自分らしく追求していけるというのが、とても大きな魅力だと思います。何か自分はこういう分野に取り組みたいという強い思いがある人にとっては、興味のある分野に関して自分のやりたいように出来るという瞬間を手に入れるために、ぜひ挑戦してほしいと思います。

川崎北合同法律事務所

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