依頼者の悩みに共感し、論理的に解決策を示す

安斎業陽先生

経歴 2013年3月  早稲田大学法学部卒業
   2016年3月  東京大学法科大学院修了
            司法試験合格
   2018年12月   虎門中央法律事務所入所

※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。

安斎業陽弁護士インタビュー動画 ~法律家を志す皆さんへ向けて~

 最初に私が弁護士になろうと(本格的に)思い、司法試験にチャレンジしようと思ったきっかけは、大学入学直後くらいの時期に、市区町村が実施している無料の法律相談に行った際、担当していた弁護士の先生に、当時非常に困っていたことについて色々と相談に乗ってもらったことです。その件では最終的に穏当な解決に至り、「弁護士の先生ってすごいな」と当時思ったのが大きなきっかけでした。
 高校生のころは、司法試験に対して、「難しい試験なんだな」という漠然としたイメージぐらいしかありませんでした。文系の中で一番難しそうだというイメージで、「かっこいいな」とは思っていました。それが法学部を目指した理由の一つでもあります。
 伊藤塾に入塾したのは、大学二年生のときだったので、最初に法律に触れたのは、大学での授業の時でした。法律の言い回しは独特ですし、ひたすら基本書を読んで条文を引いての繰り返しで「地味なことをしているな・・」と思っていました。
 ですが、伊藤塾に入塾して、大学の授業と塾長の基礎マスターのような入門講座は全然違うと感じました。大学は、研究機関としての性格を持っていることもあり、大学の授業では、教授が学説について披露・議論することが多いですが、伊藤塾は司法試験合格にむけた塾であり、教育的性格を持った組織なので、そもそも目的自体が違うことが大きいと思います。
 基礎マスターでは、基本の基本から解きほぐして教えていくということを重視しているので、飲み込みやすいなと思いました。大学二年生の時に伊藤塾の講義を受けていて、「去年受けていたらもっと大学の授業も捗ったのでは・・?」とも思いましたね。
 基礎マスターなどの講義を受けてから大学の授業を聞くと、土台ができているので、早い時期から基礎マスターを受けていれば、大学の授業も分かりやすく聞けるかなと思います。最近では、高校生のうちに伊藤塾で基礎マスターを受講する方もいるという話を聞いたこともあり、そのような早い段階で基礎マスターを一周して、それから大学の授業を聞く、という方法も十分ありだとは思います。


 私が在籍する虎門中央法律事務所は、いわゆる企業法務を広く担当している事務所です。特定の業界の案件ばかり受けているというわけではなく、メーカーや金融機関など、多様な依頼者(お客様)と仕事ができる事務所です。また、日本国内の案件を取り扱っているのみならず、中国の法律事務所と、外国法共同事業という形で、タッグを組んで業務に当たっています。当事務所には、普段から中国の弁護士が常駐していて、よく一緒に仕事をしたりしています。中国の依頼者もたくさんいますし、仕事もよく来ますね。会社のみならず、個人の依頼者もいらっしゃいますが、会社や知人の紹介でいらっしゃるケースが多いです。
 私が担当しているのは、契約書チェックのような一般的な企業法務から、総会指導、労務関係の相談等の業務のほか、訴訟対応といった業務も多いです(当事務所は、他の事務所と比較しても訴訟案件を多く取り扱っているように思います)。中国の依頼者の仕事もよく取扱い、会社(日本法人)の設立のお手伝いをしたこともあります。
 依頼者は皆、基本的に困っているからこそ弁護士に相談に来るので、それを最終的に解きほぐして一定の回答を示したとき、「助かりました」と言ってもらえる瞬間にやりがいを感じます。
 訴訟であれば、最終的に判決が確定したり、または和解が成立した後に、「安心しました」「解決できて良かったです」等と言われたときに、やりがいを感じます。そこに至るまでは(とても)大変なことが多いですが・・・。
 弁護士に相談されるようなことは、依頼者の方で悩みに悩んだ事項でもあります。弁護士は、不用意なことを言えない立場なので、日々の業務においてアドバイス等を行う際には、同時に責任の重さを感じています。そんな中でも、依頼者に対してどこまで踏み込んだアドバイスをして良いのか、「ここまでは言って大丈夫、ここまではダメ」といったような線引きを常に心がけています。
 また、弁護士の業務においては、保守的な回答(「・・・は違法」「・・・してはいけない」など)の方が無難なこともあり、ややもすればそういった保守的な回答をしがちなように感じます。もちろん、依頼者のやろうとしていることが明確に法に抵触するような場合は、事前にストップをかけることが重要です。もっとも、(特に)企業法務においては、可能な限り依頼者の事業運営を妨げないという視点も重要になります。ケースバイケースですが、「リスクがあるからダメ」というよりは、「・・・といったリスクもありますが、この点を踏まえても、~という部分までは現行法の解釈の下でも大丈夫と考えられます。」「本件で懸念すべき点は・・・だと思いますので、代わりに〇〇といった方法はいかがでしょうか。」といったような回答を提示することができないか、常に考えています。
 依頼者に対する回答内容については、常に単一的なものではなく、複数の考え方・手段があり得ることも多いため、たくさんの選択肢から、どれを選ぶべきなのか、依頼者と相談して決めていきます。
 依頼者は全員悩みを持っているといっても過言ではないので、その悩みを共有できる、共感力のある人が法律家には向いていると思います。共感したうえで、弁護士として合法かつ論理的に解決策を提示する必要があります。論理的な思考能力と共感力の双方が大切だと思いますね。

 受験生時代、伊藤塾の入門講座で学んだ内容は、司法試験においても、また弁護士として実務に出た後においても、土台になるものだと思います。入門講座で取り扱う基本的な知識は、いずれも非常に重要ですし、また体系だって教えてもらえるのが入門講座の一番のメリットだと思います。目次を頭に入れて考えて、法律を見るというアプローチは、司法試験で役に立つのはもちろん、実務で民法や刑法以外の法律の条文を見る際にも、必ず役に立ちます。
 受験生時代は、短期間に膨大な量を勉強するので、自分が今どこを勉強しているのか、明確に知ることができる・意識しながら勉強することができるということの持つ意味は大きいです。

 弁護士は、非常にやりがいのある仕事です。また、法的なプロセスの遂行を業務としており、社会的なインフラを担っている職業でもあります。司法試験合格に向けた勉強は大変ですが、ぜひ弁護士を目指していただければうれしいです。将来、皆さんと一緒にお仕事ができたり、弁護士会の活動でご一緒できたりする機会があればと思います。

虎門中央法律事務所

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