実務のベースとなる塾で学んだ「思考法」、そして今でも繋がる「塾生仲間」

多田将規先生

経歴  2012年 同志社高等学校卒業
    2016年 同志社大学法学部卒業
    2017年 西村あさひ法律事務所入所
   


          ※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。

多田将規弁護士インタビュー動画 ~法律家を志す皆さんへ向けて~

私は中高大とエスカレーターで受験せずに進学しており、中学高校と真剣に勉強をしてこなかったため、大学に入ってから「このまま10年間も遊んで過ごすのは親に申し訳ない」と焦り始めました。父親が法学部であったこともあり、軽い気持ちで法学部を選択したのですが、上記のような焦りから、真剣に打ち込めるものとして、難関試験である司法試験を目指すことにしました。このように当初は司法試験の受験自体を目的としていたため、具体的に弁護士を目指していたわけではありませんでした。その後、伊藤塾に通うようになり、京都校でお世話になっていた弁護士の山本悠揮先生がすごく楽しそうにお仕事をされているのを見て、「あのような楽しい感じで仕事ができるのであれば弁護士がいいかな」と漠然と思い始めました。そして、就活・修習を通じて弁護士に対する楽しそうなイメージが変わらなかったため、そのまま弁護士になりました。

同志社高校に通っていた頃は、大学受験をしなくてよいことから何も考えていない学生でしたので、法曹になりたいとは思っておらず、なれるとも思っていなかったです。テレビでよく出てくる弁護士さんを見て「すごいなあ」と思う程度でした。「大変な仕事」というイメージはありました。

大学一年の夏に伊藤塾に入塾したのですが、具体的に法律に触れたのは大学の授業が初めてです。法律の言い回しは特殊で、最初は難しいなと感じました。伊藤塾の講義は大学の授業とは違って、合格するための知識を教えるという感じでした。評価されるポイントがわかるので、試験に合格するという観点からは、大学の授業よりも効率がよいと思いました。大学の授業はアカデミックな勉強という感じで、試験においてどのように知識を使うのか、特にどこが論点として問題になりやすいのか等が少し分かりづらいので、試験合格のための知識については基本的に伊藤塾で学んだところが大きいと思います。
 司法試験の勉強については、元々文章を書くのは好きなほうでしたが、毎日一定の時間継続して勉強するのは小学生の頃以来でしたので、最初は大変でした。継続していくうちに成果が少しずつ出てきて、成果が出ると楽しくなっていき、2・3年目になるとあまり苦にならなくなりました。


 高校・大学受験を経験していないことから、司法試験に挑戦する不安は人一倍あったと思います。同志社大学から予備試験を目指す学生が当時は少なかったので、関東の東大・慶應・早稲田などの学生の意識の高さや、どれくらい勉強しているのか、どれくらいできるのかといったことが分からず不安でした。京大ですら当時は予備試験の認知度が低く、ロースクールに進学する学生が殆どで、予備試験ルートをメインに据えている学生は少数派だったと思います。伊藤塾で論文のテストがたまにあったのですが、継続していくうちに成果が出てきて、そこで何とかいけるかなと思い始めました。

 私は大学四年生のときに予備試験に合格して、その後司法試験に合格し、司法修習に行きました。現在所属している西村あさひ法律事務所は、弁護士が700人超所属している企業法務系の事務所です。チームとしてはM&Aコーポレートと言われるチームに所属しており、企業の多種多様な相談に対応しています。M&Aとは、企業が事業を円滑に進めるために行う統合・再編ですが、その様々な手続のサポートをするイメージです。M&A以外ですと、株主総会準備、企業が当事者となった訴訟の対応、いわゆる危機管理といわれるような対応、M&Aに関係のない一般的な事業関係の契約のレビュー等、本当に色々な業務を行っています。 一般的な法律相談の対応においては、その企業が属している業界というよりは、その企業がどのようなことに特に関心を持っているかが重要なように思います。労務に関心がある会社からはリストラの相談が多く来たり、ガバナンス関係に敏感な企業からは役員の構成が現在の実務上問題ないかといった相談が来たりします。M&Aにおいては、業界によっては特殊な規制がある場合があるので業法の調査を行います。M&Aの際は、いわゆるデュー・ディリジェンスといわれる買収の相手方の調査を行うことが多いですが、その際は、事業関係のみならずコンプライアンス上の問題点なども幅広く調べます。

弁護士としての仕事のやりがいを感じる瞬間については、まだ4年目なので大層なことは言えないのですが、西村あさひ法律事務所では3年目・4年目はクライアント窓口を担当することが多く、そのような窓口対応においてクライアントからの信頼を感じ取れた時でしょうか。このような大きい事務所に依頼されるときは、質的・量的に厳しい仕事であることが多いので、クライアントも不安に思っていらっしゃいます。そういった不安を払拭して安心させられた時、信頼してもらえた時というのが幸せを感じる瞬間です。

受験生時代に伊藤塾で学習した、要件・効果、法的三段論法というような法律に関する基本的な考え方は、伊藤塾で学習する法律以外にもあらゆる法分野で共通しているので、これらの考え方は現在の仕事においてもベースになっています。また、会社法、労働法、民法など、今の仕事で直接使っているものに関しては、学習した知識が直接的に役立っています。


 受験生時代の塾生の仲間とは今でも繋がりがあって、山本先生とは今でも交流があり、今コロナ禍で難しいのですが、大阪に帰省した際は一緒に勉強していた友人と遊ぶこともあります。もちろん東京で働いている友人もいます。当時一緒に勉強していた友人は、時期の遅い早いはありますが、みんな合格しています。

法律家への向き不向きについては、私はまだ若輩者なので、事務所の優秀な先輩を見ている限りということになりますが、何か問題が起きた時にクライアントを不安にさせないというのが一番重要な能力だと思います。問題が起きても淡々とやり遂げるというか、その時にできることを可能最大限でやろうという発想になれる人が一般的には向いているのかなと思います。ただ、こういう個性を持っていないと法律家は向いていない、というようなことは全くないと思っており、当事務所のパートナーの先生方にも色々なタイプの方がいて、それぞれのやり方で活躍されていると感じています。特に西村あさひのような大きな事務所は、そのような様々な個性を持った先生の相互作用で発展しているのだと思います。

 今勉強していることというのは将来の仕事に直接役立ちますので、大学受験等よりも将来の投資的な意味合いがすごく大きいと思います。今勉強されている方には、将来の仕事のためにやっているんだという気持ちでモチベーションを保って、頑張って頂きたいと思います。弁護士はすごくやりがいのある仕事なので、頑張って目指す価値はあると思います。

西村あさひ法律事務所

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