会社員と違い、弁護士は「個人で責任を負う職業」

安藤雄起先生

経歴 2005年 宮崎県立西高等学校卒業
   2010年 早稲田大学法学部卒業
   2013年 首都大学法科大学院修了
   2020年 水天宮法律事務所入所
         
  


  
※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。

安藤雄起弁護士インタビュー動画 ~法律家を志す皆さんへ向けて~

 私が司法試験を目指した理由ですが、具体的なエピソードがあるわけではないのですが、法学部に入学し大学の授業を受ける中で、基本書についての勉強など正直なところあまり得意ではなかったのですが、裁判例とか実際の事件についてゼミなどを通じ色々と研究しまして「法律ってこういうふうに使うんだ」とか、実際にOBの先生などもゼミに来られることもあって「こうやって事件を解決した」などといった話を聞いていくうちに、「弁護士って自分の意見を通せる仕事でやりがいがありそうだな!」と魅力を感じ目指したのがきっかけです。
 基本的な法律の勉強は伊藤塾で大学の2年生より学習しました。大学の授業は教授が教えるのでアカデミックな内容になります。理論ではないですが、現場で実際どのように使われているかをイメージしにくいのが実情です。民法とか刑法ならまだしも、特に民事訴訟法とか刑事訴訟法とか裁判をよく知らないのにそういう手続き的な勉強はよく分からなかったのですが、伊藤塾の横山先生は実務家でご自身の経験などを踏まえ民法の講義で分かりやすく説明して頂いたので、そこは大いにモチベーションの高まりに繋がりました。学部試験対策などは伊藤塾の基礎マスターでインプットとアウトプットを繰り返ししていきました。

 私の所属する水天宮法律事務所は企業法務をメインで取り扱っている事務所となっております。どのようなクライアントかというと、いわゆる中小企業で従業員20名から300名、400名くらいの規模で、売上は数億〜数百億の会社さんがメインです。95%が企業で、残りの5%が顧問先である経営者の方からの個人的なご相談です。例えば相続でしたり、ご家庭の離婚などです。あとは従業員の方が刑事事件に発展するような事件に巻き込まれたとか、そういう対応などもしています。軸足は企業法務に置きつつ、そこから派生する一般民事を対応している感じです。企業法務というと会社法はもちろん専門なのですが、それ以外にも債権回収なども多いです。それは民法だと思います。あとは契約書ですね。最近だと裁判が結構多く、今同時に20件以上は1人でやっているのではないかなと思います。解決してはまた新しく来てっていう感じなので件数があまり減っていかない状況です。
 企業法務については取引相手との関係、従業員との関係などです。従業員との関係というと労働法関係とかですね。あと自分の顧問先ではないのですが、知り合いの会社で倒産しそうだという時に、破産のお手伝いをすることもあります。さきほどお伝えしたように刑事事件もやっておりますので、企業法務とはいえ中小企業に起こりうるほぼ全てのことに対応できるようにはしています。正直なところ就職するまで企業法務についてよく分かっていませんでした。なんとなく「かっこいい」「やりたい」というのはあったのですが、別に分野に拘らずなんでもやってみたいなと当時は思っていました。


 弁護士の仕事としてやりがいを感じる瞬間ですが、長引いていた交渉案件とか訴訟案件がこちら側の主張通りに認められたりする時や、うまくお互いに譲りあって和解できた時などにやりがいを感じます。交渉案件の方は長引いたら決裂ということで裁判になることも多いです。また、その裁判が長引くことも多いです。ですが、そのような状況において、自分の意見がなんとか解決に繋がるという時にやりがいを感じます。

 基礎マスターで学ぶこととテキストでいえば論証パターン集などは、知識のベースになるもので、今でも自分の知識の素になっていると思います。あと受験の直前に受けていた答練ですね。それで論文の書き方を毎日受けていて、添削は実務家の先生がされていたと思うのですが、とても鋭い指摘を教えて頂きました。論文の書き方は今でいうと裁判で使う準備書面のまさにそのものです。普段交渉する相手に対して通知文を送る時とかも論文の書き方が素になるので、文章の書き方を教わったというのは非常に役に立っていて、ありがたく感じますね。
 受験生の時は「この問題はこうやって解くんだ」となんとなく覚え、「こういうものだ」と受験生の時は思っていました。実務家になって、例えば裁判官を説得するときに一回読んだだけで分かってもらえる文章というと論文の書き方がそのままになります。
 これは弁護士として働かないと分からないのですが、伊藤塾の答練で学んでいる書き方こそが、働く時ダイレクトに活きるということですね。

 法律家の向いている方については、改めて考えるとシンプルに見え難しい質問だと思います。事務所によっていろいろなカラーがあるため、細かい性格の向き不向きもあると思います。共通するのは弁護士という職業は一般的な企業のサラリーマンと違う点として、書面を出すにしろ対外的には自分の全責任で行動を取らなきゃいけないということです。その責任が非常に重たい仕事で、裏を返すとその分自分に裁量が幅広く認められているということです。それこそ自分の意見をそのまま相手に伝えることができます。そういう責任の重さがありつつも、自分の好きなように導くことにやりがいを感じられる人であれば向いている職業なのではないかなと思います。会社でしたら個人名でハンコを押して書面を出すとかないと思います。会社名で社長の名前で、何かあっても個人が責任を負うことはあまりないですよね。その点、弁護士は個人で責任を負わなきゃいけないっていうことですよね。責任の重さがやはり桁違いだと思います。自分でやらなければいけないことに楽しさを感じられる人は向いているのではないかなと思います。その責任の重さに対し、図太い神経といいますか、あまり感じないといいますか、僕は抜けているところがあるかもしれないのですが、あまり深く考えないようにやるようにしています。その辺は実務経験を積み重ねられて出てきた部分ではあると思うのですが、割り切れるかどうかといった感じです。


 今AIが発展していて、契約書も自動的に機械が判断して修正しますとかありますよね。税理士業界でもAI化が進んでいると思います。弁護士の仕事は、判例のリサーチとかはもしかしたらAIができてしまうかもしれないのですが、その判例を使って事案をどう解決していくかというアプローチの仕方は弁護士それぞれ考え方がありますので、事実を見つけてどのように評価するかというのは人間じゃないと考えられない作業だと思います。したがいまして、そこはAIが抱えられるような仕事じゃないと思っています。そのような意味で、今後もIT化が進むとしても弁護士の仕事のニーズはあると思います。自分の意見を通すのにやりがいを感じられる人にとっては非常に魅力のある仕事じゃないかなと思っています。

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