自分のスタイルでベンチャービジネスを支援する楽しさ

我有隆司先生

経歴  2007年 ラ・ サール高等学校卒業
    2013年 東京大学法学部 卒業
    2015年 東京大学法科大学院 修了
    2016年 司法試験合格 司法研修所 入所
    2018年 AZX Professionals Group/AZX総合法律事務所 入所

   


※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。

我有隆司弁護士インタビュー動画 ~法律家を志す皆さんへ向けて~

本当に弁護士を目指すのか

 弁護士になりたいという漠然とした思いは中学生頃からあったのですが、具体的に決意を固めたのは大学3年生の時でした。1年生と2年生は教養学部で、2年生の最後に、法学部に進学する直前の時期に法律科目の試験があるのですが、やってみた感覚として「これはあまり得意ではないな」と自覚しました。
 弁護士を本格的に目指す前に自分で直接色々な弁護士に話を聞いて、弁護士を志すべきかどうか確認をしておきたいと思い、学生の立場で弁護士にインタビューをしにいき、色々な先生から話を聞かせて頂き、インタビュー記事を起こすアルバイトを始めました。まさに今取材を受けている様なことをインタビュアー側でやっていたわけです。それが面白く、それぞれの弁護士が、業務内容は勿論のこと、価値観、ポリシー、思想など、全く異なっていることを知りました。それを踏まえ、弁護士というのは自分の価値観をもって仕事をすることができるということに気づかされ、そこから自分も弁護士になりたいという気持ちが高まっていきました。
 実際に私は30人ほどの弁護士にインタビューをしに行ったのですが、他のメンバー合わせてちょうど100のところで特別企画として、「伊藤塾長にインタビューをしに行こう」ということになり、私が伊藤塾長にインタビューさせて頂きました。そこまでの弁護士の先生方も錚々たる弁護士だったのですが、いざ自分が知っている伊藤塾長に話を聞くとなると、手が震え緊張してしまったのが印象に残っています。そこまで調子よく弁護士へのインタビュー活動等に熱を入れていたのですが、伊藤塾長から「勉強も頑張ってね」と言われて冷静さを取り戻し、本格的に勉強をスタートし弁護士を志すようになりました。
 大学の周囲を見渡すと司法試験に向けロケットスタートを決めるような人もいましたが、そのような方と比べると、私はそこまでの勢いに乗れなかった部分もありましたので、先ほどお伝えしたように弁護士の方に色々な話を聞いたうえで、本当に目指してよいのかということを確認し始めたという感じです。

スタートアップ法務の世界に進もう!

 私自身、弁護士になって自分の価値観で仕事をしていきたいという思いが強かったです。インタビューをしたどんな弁護士の先生からも、これから弁護士の活躍の場は拡がっていくし、開拓していかなければならないと言われていて、では自分は何に興味があるのかということを考え模索していました。ロースクール中に起業家育成のようなプログラムがあり、これが私にとって転機になりました。ベンチャーで新しいものを作っていくとか、こんなビジネスアイディアもありなのではないかとか、このような話をしていくのがとても楽しく、そのタイミングでベンチャー支援とかスタートアップビジネスなどに興味を持ち始めました。
 
 今、私はAZX総合法律事務所に所属しておりまして、スタートアップ法務を専門に弁護士活動をしています。入所のきっかけとしましては、ロースクール時代に友人と一緒にクライアント側の立場で法律相談に来たタイミングで、「サマークラークさせて下さい」と勝手に志願したことがきっかけです。当時はまだ弊所にそのようなシステムなどなかったのですが、「1人くらいなら」ということでサマークラークをさせてもらいました。実際にサマークラークでお世話になりますと、とても働きやすい事務所で、皆がチームワーク良く働いているという印象を抱きました。そして「ここだったら熱意も持って頑張り続けられそうだな」と感じ、AZX総合法律事務所に入所すると決めました。ロースクールの2年目のタイミングではこの事務所で働きたいと思っていましたので、自分で進路を決めるのは早かったと思います。
 


スタートアップ法務の魅力

 スタートアップ法務というとイメージが沸きにくいかもしれませんが、そもそもそのビジネスアイディアは法的に問題ないのかという所から始まり、そこから成長のフェーズに合わせて資金調達であったり、ストックオプションの発行であったり、その後にはM&AとかIPOとか、そういったところを扱います。もちろん途中の過程では労務の問題や契約交渉の問題が出てきたりなどしますので、結局は企業法務に関する事項について全般的にアドバイスさせて頂いております。スタートアップ法務というのがスペシャリストなのかジェネラリストなのか微妙なところでして、ニッチなところで弁護士活動をされていると思われがちなのですが、扱う法分野は多岐に渡りますし、会社法も余すことなく使いますので、そのような意味ではジェネラルに仕事をさせて頂いていると思っています。
 
 スタートアップ法務ですと、日常的にやり取りをする相手が社長であったり、ビジネスの現場ととても距離が近いです。まめに連絡をとりあい、細かくやりとりを進めながらベンチャービジネスが成長していくのに触れられるのは、とても面白いところです。私たちは外部アドバイザーですので、内部でビジネスをやっている方とは立場が違うのですが、それでもベンチャービジネスに伴走して個別の案件をこなしていく中、一つ一つの案件は点なのかもしれませんが、それが結びついていき、ベンチャービジネスのストーリーが生まれていくことになります。その展開を肌で感じられるというのが最大の面白いポイントですね。
 新しいことにチャレンジしていく起業家の姿は、素直に尊敬できますし、応援したいなという気持ちも持てますので、そういった方たちのためなら頑張れるというところが大きいです。
 その次に面白味を感じられるのが、新しいビジネス、新しい技術に触れられるというところです。今でしたら、NFTなどになるのですが、新しいビジネスと分野が広がっていくことを知ることができるのがとても楽しい部分です。例えば新分野において契約書を作らなければならないという時に、新しい概念が契約上の文言ではどう整理されるのであろうかとか、そういったことを検討していくのが、弁護士業務として面白いところかなと思います。

専門性に磨きをかける

 私たちの事務所としても人数が増えてきて、やはり弁護士一人ひとり、あるいは従業員を含めたメンバー一人ひとりだとも思いますけど、きちんと自分の固有の価値を発揮できる状態が良いと思っていて、そういう意味では私も自分の専門性を身につけていきたいと思っています。色々と考えているところもあるのですが、今後、私個人としては法規制と調和を図りながらビジネスを作っていくという部分でのサポートを強化していきたいと考えています。例えば監督官庁と交渉ができるだとか、監督する側はこういう意図で法規制を運用しているから、ここだけ注意しとけば何とかなるとか、そのようなところをきちんとアドバイスできるようになりたいと思っています。
 分野として大きな所では、ヘルスケアやモビリティ、そういったところに注目していますが分野を挙げたら枚挙にいとまがありません。何気ないところでもテクノロジーがビジネスのやり方を変えていっているので、そうなった時に法律はどうなのという部分を考えていくのは、どのような分野であったとしても面白いなと思いますね。

法律実務家に期待される能力

 法律実務家は総合力だと思うので、自分の強みを活かして、自分のやりたいような形で弁護士なり、他の法曹なりになっていけばよいと思っています。したがいまして「このような能力を持っていなければならない」ということはないと思いますが、社会が弁護士に対して期待しているのは、きちんと雑多な事実関係を整理して、その上で法律にきちんと乗せるという基本的なところだと思います。事実を的確に吸い上げるというのはセンスによる部分もあるのかもしれませんが、どうやって人の話を聞くのかというのは弁護士の個性だと思っています。どのくらいの粒度で事実を整理するのかというのも個性の部分があると思っていて、究極的に残っていく期待される専門性は法律のロジックの部分。この部分で手を抜かずに、最後まで詰めきれるかといった所が大事になってくるのかなという感覚でいます。

法曹にならない道を進んだ人にとっても勉強で得たことは必ず活かせる。

 弁護士の業界もまだまだ可能性はあると思っていて、自分でこういったことがやりたいとか、こういったところで社会に対して価値を提示していきたいという部分を、先ずは自分で固め、そのうえで弁護士をはじめると仕事の面白さを益々感じられるのではないかと思います。自分のやりたいと思っている分野はきっと弁護士としてできることでもあると思います。
 受験生に対してということを考えると、やることをやっていけば合格できる試験であると半分は思いつつも、実際問題、色々な事情で司法試験へのチャレンジを諦める方も中にはいると思います。そのような方たちに向けて「勉強をしてきたことが全く無駄にはならない」とお伝えしたいです。例として適切かどうか分からないのですが、私たちの事務所も弁護士だけが活躍している組織というわけでなく、それこそパラリーガルのような立場の人が屋台骨を担っているといっても過言でないほど、重要なメンバーになっています。仮に司法試験という道を選ばなかったにせよ、色々な形で社会において活躍できる場はありますし、必ずその能力は必要とされるので、将来をいたずらに不安がるのではなくて、心の支えとして持ってもらえればと思います。

AZX Professionals Group/AZX総合法律事務所

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