勤務弁護士時代には味わえない「やりがい」を求め独立開業

伊藤敦先生

経歴  1993年 埼玉県立浦和西高等学校卒業
    1998年 早稲田大学第一文学部卒業
    2001年 早稲田大学大学院(文学研究科日本文学専攻)修了
    2001年 都内出版社に勤務
    2007年 行政書士試験合格
    2008年 司法書士試験 合格
    2015年 司法試験予備試験合格
    2016年 司法試験合格
    2017年 弁護士登録
    2020年 いとう法律事務所開設
   
※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。

伊藤敦弁護士インタビュー動画 ~法律家を志す皆さんへ向けて~

 私は元々司法書士として仕事をしておりまして、その司法書士の業務の中でいわゆる登記業務とか裁判業務というのがあるのですが、裁判に携わっているうちに司法書士としてもできる範囲よりも、弁護士として働いた方がより幅広い権限のもとで依頼者に満足感を提供できるのではないかと思うようになりました。それで司法書士として携わっていた裁判実務の延長といいますか拡張という形で、弁護士を目指したという経緯です。

 大学在学中は文学部に在籍していたので法律には全く触れていませんでした。
 大学を卒業したあと大学院で文学の研究をしていたのですが、文学の研究で一生やっていくというのは厳しい世界ということもあり限界を感じました。そして、色々とやっている中で「このままでは自信を持てるところがないな」と30代の頃思いまして、「何か自分の自信になるような資格がないだろうか」ということで、行政書士試験を受けようと思いました。それで伊藤塾 行政書士試験科 志水晋介先生の講義を受講させて頂きました。何の縁もゆかりもなかった法律の世界に真っさらで飛び込み、最初は何がなんだか分からなかったのですが、志水先生に大変分かりやすい講義をして頂いたおかげで行政書士の講座を受け、一回目の受験で合格することができました。行政書士の勉強をさせて頂いたのが最初のきっかけになります。
 よって、行政書士から司法書士、そして司法試験という流れを辿りましたが、私は真っさらな状態から志水先生に法律のことを教えて頂き、そのおかげで行政書士試験に合格し、それがきっかけとなり司法試験も目指したいという気持ちになりました。

 私は板橋区の方で開業しておりまして、ご相談にいらっしゃる方は皆さん地元の方になります。いわゆる地域密着の町弁という形でやらせて頂いています。業務としては相続であったり、その前の遺言作成のお話であったりとか、離婚問題であったり借金の問題だったり、一般の方にとって身近な事件というのを取り扱っています。
 独立開業につきましては、最初にお世話になった法律事務所で色々経験していく中で、自分自身の責任において1人で全ての責任を負いながら自分の裁量でやれる環境の中で仕事をしてみたいという思いが段々と湧き、それで開業に至りました。開業は、正直なところ自分でやってみると思った以上に大変でした。ですが、独立して本当に良かったと思っています。勤務時代にも精一杯仕事はさせて頂いたのですが、それとはまた違った形で、勤務時代には味わえなかったような経験を色々させて貰っていますので、独立開業して良かったなと思います。


 やりがいについてですが、依頼者の方のご希望通りの解決をすることがとき、希望を叶えることができた時に感じます。もちろん全ての事件相手側がありますので、全部が全部100%の満足を依頼者の方に提供できるということは私もできないのですが、その中で精一杯力を尽くしてその結果依頼者の方に満足して頂いたということがあったときに「やって良かったな」というふうに思います。
 請負う内容によっては明らかに負け筋の案件もあったりします。率直に負け筋であると思った時は「負け筋」という言葉を使うかどうかは別にして、「中々難しい事件ですし、今伺った事実とかお手持ちの証拠とか資料からですと恐らく厳しい展開になるとは思われますがいかがなさいますか」というような伝え方でコミュニケーションをとります。
 「それでもお願いしたい」と言われるケースもありますし、「それだったらやめておく」というケースもあります。どうしても事件をお受けした時、私もお金を頂く形になりますし、例えば私どもが頂くお金だけではなくて裁判をやりますとなればその裁判所に納める費用とか、時間がかかってきます。それだけのコストをかけてやるべきなのかどうかというところをご判断頂くためにも「これだけの見込み・これだけのリスクがあります」というようなお話はさせて頂いています。あとは依頼者の方のご判断に委ねるという形になります。

 伊藤塾では司法試験に向けて法曹として身につけるべき最低限の知識というのを教えて頂きますので、当然ですが、どの事件に当たっていく中でも全体として持っていないといけない知識ですのでそれはもう役に立っているというレベルではなくて本当に弁護士として活動していく上の基盤と言えると思います。

 冒頭でお伝えしたとおり、私は行政書士、司法書士を経て、司法試験を目指しましたので、0から法律に挑むということではありませんでした。よって行政書士だったり司法書士での経験がベースにあった上での予備試験チャレンジでしたので、そこは行政書士、司法書士の勉強であったり、実務として携わってきて本当に良かったなというところですね。

 法律家として求められるのは事件解決にあたってどうしても法令でしたり判例の知識が必要になってきます。その法令判例も常に新しく塗り替えられていきますので法律に向いている方というのは新しい知識に貪欲に向かっていける人というのが求められている人物像であると思います。それができる方が法律家に向いていると思います。結局のところ実務に就いた後も勉強をし続けなければなりませんので。
 あとは二点目として申し上げると勉強し続けるというのは自分自身の知識のブラッシュアップということで大事ではあるのですが、それ以上に大切になってくるのが人と関わる仕事であるという点です。それは依頼者でもありますし、相手方でもありますし、或いは裁判官かもしれませんし検察官かもしれませんし、相手型の弁護人かもしれません。人と関わる仕事ですので、事件というのはそもそも何か問題があるのが事件ですので、その中で関係する方のネガティブな感情も受け止めていかなければなりません。したがいまして法律家として求められる資質の二点目としてはメンタルの強さ、ある種のタフさというのはあるかと思います。経験を重ねていくうちにメンタルを持っていかれるとか、巻き込まれて自分が消耗していくということは徐々には減っていくと思うのですが、やはり関係当事者や事件の性質が一つとして同じではありませんので、どうしても未知の事案や関係者と出会う中で気持ちが引き込まれてしまい、消耗してしまうということもあります。そういう時は1人で抱え込まないで欲しいと思います。私の場合ですと伊藤塾でゼミや講義で一緒だった私より先に合格された先輩弁護士でしたり、同期の仲間の弁護士などと交流を持ちながら自分の立ち位置を確かめつつ、前を向いてやっていこうとコントロールしています。仲間の存在というのは本当に大事かなと思っております。当然守秘義務の問題がありますので、事件の中身の核心について話をすることはできないのですが、今自分が苦しんでいるとか悩んでいることを聞いてもらうだけでも楽になりますし、私も仲間から相談を受けることもあります。そういう形で助け合いながらやっていくことが大事なのかなと思います。

 法曹になるために色々な事情があって色々な動機で目指されると思うのですが、途中でどうしても勉強がうまくいかない、色々な日々の生活との兼ね合いで試験への取り組みが途中で頓挫したりなど、皆さんスムーズに行くことばかりではないと思います。その時にどうして自分が法律家を目指したかといった初心を振り返ることと、もし一緒に勉強する仲間がいるのだとしたら、そういう仲間との繋がりを大事にして頂きたいと思います。スムーズにいくことばかりではなく、どこかで躓くこともあるということを前提に、どうにかそれを乗り越え、続けて頂ければと思います。

いとう法律事務所

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