弁護士になる原点は沖縄。やりがいは前例無き事件の解決!

田中健太郎先生

経歴  2008年 茅ヶ崎北稜 高等学校卒業     2012年 上智大学法学部法律学科卒業
    2014年 慶應義塾大学法科大学院修了
    2015年 最高裁判所司法研修所修了(68期)
    2015年 第二東京弁護士会登録
    2016年 弁護士法人まちだ・さがみ総合法律事務所入所


※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。

田中健太郎弁護士インタビュー動画 ~法律家を志す皆さんへ向けて~

まず私が一番初めに弁護士のことを考え始めたのは高校生の時です。修学旅行で沖縄に行ったのですが、その時にひめゆり学徒隊の方のお話や南部戦跡の話、米軍基地などを実際に目の当たりにして戦前の歴史を知っていくにつれ、戦争を直接体験していない世代としても過去の過ちを繰り返してはいけないと強く感じました。そういう問題に携わっている仕事というのはやはり弁護士なのかなというところで高校受験の時に法学部を目指すきっかけとしてそういうことを考えるようになったというところです。
京都などへの修学旅行も非常に楽しいとは思うのですが、沖縄というのは非常に私にとっては考え方自体を変えるようなものでした。それ以降、弁護士になってからも何度か沖縄に行き基地の現状を見たりなどもしたのですが、沖縄は私の弁護士になる原点なのかなと思います。
伊藤塾でも沖縄スタディツアーを実施していると思うのですが、とても良い企画だと思いますね。たまたま自分の場合は修学旅行先が沖縄ということで偶然ではあるのですが、その偶然のおかげで今があるのかなという感じがしています。実際に亡くなった方の写真を見たり、あとは「がま」という洞窟に実際に入り、人骨の一部とかも見ましたし、生々しく実際の戦争の爪痕を見たというのは大きかったかなと思います。
今はもう行ってないらしいのですが、私の時はおそらく校長先生の問題意識があって沖縄を選んだのだと思います。

それから大学では法学部に入学をし、伊藤塾にも通わせて頂いたのですが、最初の講義で「憲法は国家権力を縛る」という話を聞いて、弁護士は国家に対する統制といいますか、監視するような役割ができる仕事だと強く感じました。私の一番の関心分野というのは法学部に入ってからの憲法で、大学でも芦部先生の論文について研究するゼミに入りました。大学4年間を通じ、ずっと憲法の問題には取り組んでいました。それからロースクールに入ってからも青年法律家協会にも入って活動したりなど、弁護士になる前からある程度、護憲活動に携わるようなことはやっていました。ロースクールに入ってからもやはり自分の選んだ道は間違いでなかったというところは確信を持てました。やはり私にとっては戦争とか憲法などが弁護士を目指した中心なのかなという気がしています。

弁護士によるネットいじめ対応マニュアル
https://www.eidell.co.jp/books/?p=11103

私の在籍している、まちだ・さがみ総合法律事務所は各弁護士がそれぞれ違った分野について専門性を持ってやっています。例えば自死の問題とか学校問題とか過労死とか環境問題などです。各弁護士がそれぞれ違った分野をやっており当然憲法というのは第一に据えてはいるのですが、個別の事件でもかなり専門性を持った弁護士が対応しています。私の取り扱い分野はインターネット問題が中心です。例えば最近よく話題になっていますが、インターネットでの誹謗中傷などの問題に私は専門的に取り組んでいます。さまざまな弁護士がそれぞれ異なった分野を専門にしながらも、その弁護士が協力しながら各弁護士の専門分野だけでは解決できないような問題を取り組んでいくというところが非常に弊所の面白いところなのかなと思っています。例えば私と弊所の和泉弁護士の場合ですと、和泉は学校のいじめ問題とかを専門にしていて、私はインターネット問題というところで、 2人で学校のインターネット上のいじめ問題をテーマに本を書かせていただいたりしています。そういう形でそれぞれの専門分野を組み合わせながらある意味新しい分野を開拓していくというようなことをやっています。あとは各弁護士が全員、定期的に憲法の学習会とかを地域で実施したりしています。その学習会は一般の方が参加されるのですが、若い方ですとたまに大学生の方とかも来てくれますが、高齢の方が多いような印象は受けます。定期的に憲法問題ですとか選挙問題とか、一票の格差についてもやったことがあります。地域の中で護憲活動をやるというのがうちの事務所ができた元々の経緯ではあるので、それは全員が担当しているところです。
伊藤塾に入らせていただいて「弁護士とはそういうことをするものだ」というのが染み付いていたので、弊所に入所したのも自然な流れかなという感じですね。間違いなく伊藤先生に感化されたというのはあると思います。

弊所は他の事務所が引き受けなかったような事件も結構やっています。そういう問題についてうまく解決できた時というのは本当に弁護士冥利に尽きるといったところです。あまりお金にならない事件ですとか、勝てる可能性が低そうな事件とか、前例がなさそうな事件というのも積極的に取り組むようにはしているので、そういう問題に取り組めた時というのは他の弁護士ができないような仕事ができたのだと感じ、非常にやりがいがありますね。
 
深刻な悩みであることが多いのですが、そういう方はお金がないということが結構あったりもします。しかも今かなり弁護士業界は競争が激しくなってきているので断わる事務所というのも多いと思います。他の事務所からも「あそこの事務所ならやってくれますよ」みたいな形で紹介を受けたりすることもあるので、そういう事件を解決できた時というのは私も嬉しいですし、依頼者にも喜んで頂けます。
 
前例のある事件というのはある程度マニュアル化していて、最近はマニュアル本とかも出ているのでそれを丸写しすればある程度解決できるような事件も多く、そういう事件ばかりやるというのもある意味効率的なのかもしれないですが、開拓していくという意味での面白さは少し欠けるのかなと思います。そういう意味ではやりがいある事件というのは前例のない事件なのかなと思っています。弊所の弁護士はそういう事件が好きですね。やはり自分のやった成果というのをきちんと残せるような事件を好んで受任していると思います。
 
弊所の弁護士はとても勉強熱心です。定期的に事務所が学習会をやっていますし、各弁護士のノウハウを共有して他の弁護士もある程度応用できるような形でやっています。弁護士向けの法律書籍も最近よく出版されていますけれども、私はほぼ片端から全て買い、目を通すようにはしているので全員勉強は好きだと思います。
また、事務所内の風通しも良く、弁護士が自由にやっていて一切縛りがないです。憲法を中心に据え、物事を考えるのは当然なのですが、それ以外は全員こういう問題をやってはいけないなどは無いのかなと思います。全員自由にやっています。例えば和泉弁護士などですと、スーツを着ずにパーカーで仕事をしたりなど、服装を含め、皆自由に自分のスタイルで仕事をしています。
事務所によっては規律の厳しいところもあるとは思うのですが、各自自由に好きな分野を探求できないと伸びないというのが事務所の方針ではあるので、好きな分野を探求して最初はお金にならないようなものでも初期投資という形でお金を出して開拓していき、いつか芽が出ればいいのかなという感じでやっています。


 

私が扱う分野ですと特に民法は今でもよく使っておりますが、伊藤塾できちんと勉強したということもあり、今でも民法の事件は自信をもって取り組めています。あとは伊藤塾のテキストである情報シートは今でも机に置いて使っています。改正前の民法の事件は今でも多いのでこれを見ながら知識を確認したりしています。ボロボロになるまで使い込んでいますし、今でもよく見ている感じですね。勉強のやり方というのも含めて教えてもらえたので、先程もお伝えしましたが、新しい弁護士用の書籍が出版されても全て読むようにしているのですが、伊藤塾で培った勉強方法というのがいまだに活きているのかなという感じはします。私だけではないのですが、弊所の和泉弁護士や篠原弁護士も伊藤塾出身で、今でも2人とも伊藤塾の本を机に置いていたと思います。シケタイとかを置いてたまに見たりとかもしているので、役に立つなあと思います、いつまでも置いているとまだ受験生かと思われかねないのですが、実際のところ役に立つので、そういう意味ではまさに伊藤塾での学習内容というのは実務家の業務に直結しているというのはこの点からも明らかなのではないでしょうか。
実際に勉強している内容があくまで受験対策で、全然実務に役に立ちませんとなると勉強しがいもないですけれど、全くそんなことはないです。勉強したことがそのまま今でも書面に書いたりしているので、そういう意味では直結です。あれがないと仕事にならないなと思います。

法律家はやはり勉強が好きであることが大事かなと思っています。いつまでも勉強なのかなと思いますので、昔の知識だけでやっていこうとなるとうまくいかないのかなと思います。あとはやはり新しい分野とかを開拓していくような向上心のある人が非常にこの業界では楽しく仕事をすることができるのではないのかなと思います。逆に今まで先人が築いたものだけに乗ってやっていこうとすると全然面白くないですし、そのような仕事ばかりやっていると競合も多くいるので苦しくなるのではないかなと思います。「一生勉強していく!」というような心構えのある人は法律家にとても向いているのかなというような気がします。
 
受験時代は私も楽しかったと言いつつも苦しいことも多かったです。点数が伸びなかったりした時は特にそうでした。ですが、合格した後は毎日が楽しいです。帰る時間が10時くらいになったり、土日に出ないといけないとかそういうこともありますけれど、やはり自分の勉強していた内容がそのまま社会の役に立っている実感を持てる瞬間がとても多い仕事なので、苦労しただけの価値は十分にあるのかなという感じがします。就職が難しいとか色々な話がありますが、きちんと勉強内容を活かせるのであれば今でも弁護士には十分に仕事がたくさんありますし、本当に毎日楽しくやっていますし、苦労して目指す甲斐のある仕事だと思います。

弁護士法人 まちだ・さがみ総合法律事務所

■事務所住所

〒194-0022 東京都町田市森野1-8-17
042-720-2626
http://www.machisaga-lo.jp