理系から文転し経済学部に進学。そして人に寄り添える弁護士の道へ。

鈴木悠太先生

経歴  2007年 東京都立調布北高校卒業
    2012年 一橋大学経済学部卒業
    2015年 一橋大学大学院(法学研究科)修了
    2015年 司法修習(第69期 水戸修習)
    2016年 弁護士登録(第二東京弁護士会所属)
    2017年 旬報法律事務所入所
   


          ※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。

鈴木悠太弁護士インタビュー動画 ~法律家を志す皆さんへ向けて~

 弁護士になりたいと意識したのは、高校生の時だと思うのですが、実は高校生の時は理系でして、生物学などに興味がありました。自分の将来について研究職に就くことを考えていたのですが、大学の研究室を覗かせて頂く機会があり、遺伝子の研究をしている所を実際に見てみると、毎日ハエと一緒に過ごし、黙々と一人で研究するような環境でした。話をするのは研究室の人ぐらいで、その中で研究を続けていき、何か発見できるのは一握りの方なので、とても厳しい世界であることが分かり、文系に進路を変更しました。
 その時、「将来自分は何になりたいか」ということを考えた時、自分は人と関わる仕事がしたいという思いが最初にあり、そうすると弁護士というのは人と最も密接に関わりを持てる仕事なのではないかと思いました。また、弁護士というのは困っていて一人ではどうしようもないような人生の一大事に、法律を使って手助けすることができる、人と一番密に繋がれるサービス業なのではないかと思い、弁護士なりたいという思いを抱きました。
 在籍する学部は経済学部でしたが、大学に進学する時から、職業としては弁護士になりたいと思っていて、それでも経済学部に進学したのは、もともと理系だったということもあって、数学が得意であったことから、それを使って経済学部に入りやすかったということがあります。あとは弁護士になりたいとは思っていたのですが、将来的には伊藤塾に通って勉強すれば、法曹の道に進めると思っていたので、大学では別のことをやってもよいのではないかと思い、経済学部に進みました。
 いざ大学生になると経済学部もそうですけど、サークルとかアルバイトなどに時間をとられ、在学中はまとまった時間がとれなかったのですが、その後1年浪人をし、伊藤塾の講座や書籍を使い、集中して勉強をして既修でロースクールに入ることができました。

 私が所属している旬報法律事務所は、扱っている事件の過半数が労働事件となり、しかも労働者側を専門に扱っております。使用者側では受けず、労働者側専門で労働事件に取り組む事務所となります。私自身もほとんど扱っているのは労働事件で、弁護士1年目から業務の8割以上9割近く労働事件をやっております。一般的に労働事件といって思い浮かぶのは、残業代請求とか、解雇されてしまった方の解雇無効を争う裁判だとか、賃金未払いなどをイメージされると思うのですが、その他にも労働組合と関係した事件などもあります。労働組合は労働者が労働組合を組織して会社と交渉することができ、労働者が使用者と対等な立場に立つために必要なものとなります。その労働組合に対して会社が、不当労働行為といって、やってはいけないことがあるのですが、それをやってしまった際、労働組合が労働委員会という個人でいうところの裁判所のようなところに訴えをすることで、不当労働行為の認定を受け、会社に対してそれを辞めさせることができます。そういう一般ではあまり扱わない労働委員会事件などもやっています。
 弁護士になることを決めた段階で、労働事件にしぼっていたわけではなく、企業法務ではなく個人に寄り添う弁護士になりたい気持ちが最初からありました。就職活動をする中で、私が先ほど話をしたような「思い」をもっている先生が当所にはたくさんいらっしゃって、就活で担当された先生が「旬報法律事務所が在ることが、日本の労働者にとって、大事なことだから、事務所を守っていく仲間になって欲しい」との話を頂きました。「思いを持って仕事をしている事務所だな」と感じ、自分なりのやりがいを感じられるところで仕事がしたいと思ったので、この事務所で労働事件をやりたいなと思いました。

 私自身は先ほどお伝えしたように、人と関わる仕事がしたい、人と密接に関わりたいということで弁護士になりました。この労働事件を扱う中で、労働者の人生の一大事、例えば解雇されてしまったとか、会社から不当な扱いを受けてしまったという時に、その人に寄り添って、一緒に戦うことに仕事の魅力を感じます。労働組合の場合ですと、組合は色々な労働者で構成されているので多くの人と一緒に仕事をすることになります。納得いく解決ができた際、組合の方々と打ち上げに行ったり、一緒に喜びを分かち合えたりした際、弁護士になって良かったなと思います。普通の事件をやっている限りでは、個々の事件との関わりになってしまうので、打ち上げなど無いと思うのですが、顧問をやらせて頂いている組合もありますし、一緒によく事件をやる組合の方もいるので、そのような方とはよく飲みに行ったりしています。労働組合の中には働きながら組合に加入している人もいれば、組合を組織するために専従としている方もいます。そのような方は他の労働者の労働事件をサポートする、組合としてサポートする、そういった専従の方がいるので、我々のような労働者側で事件を担当する弁護士は、お互いよく知っている仲です。組合の中で解決できない事は弁護士に相談しますし、弁護士だけでは解決できない、法律だけでは何ともならない条件の交渉は、組合で交渉すべきことなので、組合を紹介したりなどして協力しています。相互に行き来できるというのも、労働者側の事件をたくさんやっている事務所の強みかなと思います。

 普段の仕事において、不意に民法の問題が出てきた時に思い浮かぶのは伊藤塾の講座で、伊藤塾長が話をしていた内容が思い浮かびますし、受験の際に使っていた伊藤塾のテキストを今でも引っ張り出すことが多いことから、自分の中で土台になっていると思います。受験の時の本は実務に就いたらテキストなど見ないのではないかと思うかもしれないですが、テキストに書かれた当時のメモを見たりすると記憶が蘇りますので、最初に自分が学んだものというのは、この先も使うことになるのかなと思います。
 弁護士の仕事というのは、司法試験で学んだことを実務の現場でそのまま使うことになるので、一つ一つをきちんと理解しておいたほうがいいかなと思います。


 今は弁護士の働き方として色々あります。企業法務を専門にしている方もいれば、企業の中に入って活動している方もいます。どのようなタイプの弁護士になりたいかで変わってくるとは思うのですが、私のように労働事件などを扱う弁護士になりたい方であれば、初心を大事に、やりたいことをやる、といった思いを貫ける方に向いている職業だと思います。
 これから法律家を目指す皆さんは、色々な可能性があると思うので、今から搾る必要性はないと思います。私も最初から方向性を搾っていたわけではありません。漠然と個人に寄り添う仕事がしたいと思っていただけなので、色々と見ていく中で、本当に自分が何をしたいのかを考えながら、事務所でしたり、弁護士の話を聞く機会をたくさん持っていきました。そうしていくうちに、自分に本当にあった道を見つけることができましたので、もちろんまずは合格することが大事なのですが、その先のことも考え、どういう仕事がしたくて法律家になるかを考え、将来についても考えていってもらえればと思います。
 今勉強していることというのは将来の仕事に直接役立ちますので、大学受験等よりも将来の投資的な意味合いがすごく大きいと思います。今勉強されている方には、将来の仕事のためにやっているんだという気持ちでモチベーションを保って、頑張って頂きたいと思います。弁護士はすごくやりがいのある仕事なので、頑張って目指す価値はあると思います。

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