作家と弁護士の二刀流!小説で「法律の面白さ」を伝えたくて。

五十嵐優貴先生

経歴  2009年 岩手県立盛岡北高等学校(普通科)卒業     2013年 東北大学法学部(法学科)卒業
    2015年 東北大学法科大学院修了
    2015年 司法試験 合格
    裁判所事務官・裁判所書記官として勤務
    最高裁判所司法研修所(山形地方裁判所配属) 修了
    2020年 ベリーベスト法律事務所入所

※先生の所属事務所等プロフィールは、取材時のものです。

五十嵐優貴弁護士インタビュー動画 ~法律家を志す皆さんへ向けて~

私は、73期の弁護士ですが、司法試験自体に合格したのは69期の代となります。法学部に進学して学んでいく中で、感情に左右されず論理的に結論を導き出せることが魅力的に感じ、法律にのめり込んでいきました。そして、法律をもっと深く勉強するためにロースクールに行きたいと思い、基礎から固め直すために伊藤塾で勉強をすることにしました。ロースクールに進学してみると、やはり法律は面白いと改めて思ったので、この際せっかくだから司法試験も受けようと思いチャレンジ、そして司法試験に合格しました。法律が好きだからロースクールに進学して、司法試験も受験したという流れでしたので、司法試験の合格が自分の中でゴールになってしまっていて、合格したタイミングで「果たして自分は何をやりたいのだろうか」と考えました。その時に今のところ法曹三者の何れかになるというよりは、新しいことに挑戦したいなと思いました。自分は法律が好きで法律が面白いと感じたのですが、法学部に進学したところまでは偶然で、そこで法律にのめりこんだという経緯でしたので、もし別の学部を選んでいたなら、自分はこういう道を選ばなかっただろうと思いました。そして自分が何をしたいのか考えた際、中学生や高校生といった若い世代に向けて「法律ってこんなに面白いんだよ」ということを伝えたいと思い、では、どうすればいいのだろうかと考えたとき、小説だったらエンターテイメントとして法律の面白さを伝えられるのではないかと思いついて、司法試験合格直後のタイミングでは司法修習に行かない選択をし、公務員として裁判所で働きながら、小説を書くことにしました。

本人が直接訴訟をする本人訴訟や、弁護士が代理人としてつく事件などを裁判所の職員として見ていく中で、裁判所というのは公平中立に、どちらにも肩入れせず見守らなければいけないのですが、弁護士は一方の当事者に寄り添い、最後まで力を貸すことができることに気づき、ちょうどそのタイミングで小説のほうも新人賞を受賞することができたので、小説のデビューと同時に弁護士になりたいと思い、遅らせていた司法修習に参加して弁護士になったという流れです。
 
「特別な人になりたい」という思いは昔からあって、中学生の頃は漫画やスポーツなどにも挑戦したのですが、いろいろと才能の無い分野を切り捨てていく中で、文章なら書けるのではないかと考えるようになりました。一方で、当時は書きたいものが特に無く、途中で諦めてしまったのですが、司法試験に合格した時には、ある程度法律に詳しくもなっていたので、自分にしか書けないものが見えてきて小説家を目指し始めたというわけです。
司法試験に合格したときは 25歳ぐらいだったのですが、何となく自分の中での区切りとして 30歳というのがあって、それまでに小説で新人賞をとれなかったらどうしようかなと思いながら、小説と向き合う日々を送っていました。

伊藤塾に通いだしたのは大学3年生の春からです。大学の授業は基本的には教授や准教授が教えてくれるのですが、彼らは一つ一つの法分野に関しては専門家であっても、それぞれの法分野の繋がりを学ぶことは難しく、点としての法律を学べている気はしているものの、線としての繋がりが漠然としているところがありました。そして「法律をもっと学びたい」と思ったときに、基礎から固め直す必要性を感じ、色々と調べた結果、伊藤塾で勉強をすることにしました。実際、伊藤塾の講義を受講して基礎マスターなどで学んでみると、法律同士の繋がりや、どういう順番で学んでいくとより体系的に理解できるかに気づいて、基礎を固められたなという印象があります。

私が今所属しているのはベリーベスト法律事務所で、250名以上の弁護士が所属する事務所になっております。自分が魅力を感じたのが、色々な弁護士がいるというところです。私は今、作家兼弁護士として活動をしているのですが、他にも弁護士ユーチューバーの先生がいたり、ジャーナリストとして活躍している弁護士の先生もいたりなど、様々な弁護士が活躍しております。私自身も小説家という肩書きをもって事務所を訪問したときに、代表から「そのような肩書きがあるからこそ、できる活動があるはず」と言って頂いて、自分はそこに魅力を感じたので、ベリーベストに入所したというところがあります。
一般的には弁護士になってから作家になった人は多いと思いますが、私の場合ですと作家になってから弁護士になったので、事務所を選ぶにあたっても、作家としての活動に理解を示して頂けるところを第一に探していて、ベリーベストはそのような点を理解してもらえたので、小説を書き続けることができています。

弁護士としては、離婚事件やインターネット上の誹謗中傷など、色々な分野の事件に携わっています。ベリーベスト法律事務所は、インターネット上での情報発信も積極的に行っていて、その中でリーガルコンテンツも作っているので、私は作家という肩書きがあることから、それらのシナリオの執筆やリーガルチェックなど、作家であるからこそできる活動にも携わっているところです。
 
自分が弁護士になりたいなと思うきっかけで一番大きかったのが裁判所で働いているときに、本人訴訟に対するもどかしさというものがあって、端から見ていると、弁護士がきちんと力を貸して携わっていたら結論が変わっていたなという事件もありました。
本当に困っている人、袋小路に追い込まれている人に対しても、弁護士は代理人として手を差し伸べられるわけで、弁護士だからこそできることが沢山あります。そういった自分のできる精一杯を一つ一つやっていって、依頼者やクライアントから「あの弁護士に頼んで良かった」と思って頂けたときや、成果を出すことができたときに、弁護士としての仕事のやりがいを感じます。

実務で色々な事件にかかわっていると、司法試験で学んだことが直接生きてくる事件というのは必ずしも多いわけではないのですが、新しい分野の法律を学ばなければならないときに、大切なのは法律や規則ができた趣旨に遡ることだと思っています。伊藤塾の講義は知識を与えるだけでなく、法律の趣旨に遡り、基礎から固めていく講義であると感じていたので、考え方というところで伊藤塾の教えが参考になっております。あとは、今の制度上、司法試験に合格することは実務に出るための最低条件になっているので、伊藤塾で最短距離に近い勉強方法で学べたということは、1年目で無事に合格できた自分にとって本当に良かったと思っています。
 
司法修習を経てから実務に出て、色々な弁護士の活動を見てきましたが、雑多な事件を扱う町弁から、企業法務だけを扱う弁護士、他にもスクールロイヤーなど、色々な分野がどんどん広がってきていて、働き方も多様化しているので、弁護士という仕事に向いていない人はいないのではないかと思っています。つまり、色々なパーソナリティがあるのは、人として当然だと思うので、自分のパーソナリティに合う分野で弁護士として活躍すればいいだけのことではないかと思っています。
これから注目している点として、一つはインターネット上の誹謗中傷などの問題があります。社会的な関心が集まっているというのもありますし、法制度がまだまだ未整備なところでもあるので、柔軟に物事を考えられる若手が活躍できるフィールドだと考えています。
あと、もう一つはスクールロイヤーという分野の仕事です。スクールロイヤーとは学校で起きる法問題に学校側の代理人ではなく、生徒側の代理人でもなく、中立の第三者として、その問題に関っていく仕事です。本格的に始まったのはここ数年なのですが、弁護士の仕事は多様に広がっているところがあるので、今後もそういった動きがあるだろうと注目しています。

法律を学ぶきっかけは人それぞれだと思います。もともと明確に弁護士を目指したいと思って法律を学ぶ人もいるでしょうし、一方で自分のように、ただ法律が好きで勉強をするというのでも良いと思っています。実務の現場に出てみると、色々な働き方、社会の見方というのは広がっていきますし、法律を学べば学ぶほど世界の見え方が広がっていくので面白いと思います。それでも、司法試験を目指して勉強をするとなると、覚えなければならないことが沢山ありますし、成果がでず、辛いこともあるとは思うのですが、楽しみがないとなかなか続かないので、実務に出た後のことでもいいですし、モチベーションを上げるためのコンテンツが今は沢山あると思うので、自分の中でやりたいことをはっきりさせて、ゴールが設定できていれば勉強の道のりも楽しめる気がします。何か自分の中で法律を学ぶ意義のようなものを見つけて、頑張ってもらえればと思います。

ベリーベスト法律事務所

■事務所住所

〒106-0032 東京都港区六本木1-8-7
MFPR六本木麻布台ビル11階
03-6234-1585 090-6257-0878
http://www.vbest.jp