福武 功蔵 先生 (弁護士)

法テラス福島法律事務所に入った理由

法テラスをご存知でない方のために説明致しますと、法テラスとは、法務省の管轄下にある独立行政法人です。法テラスの主な仕事は、弁護士を頼みたいのに弁護士費用を支払うことのできない人に対し弁護士費用を立替えて分割払いにすることと、刑事事件で国選弁護人が就く場合に、名簿に従って弁護士へ受任を打診することです。その他、法律問題に対する情報提供なども行っています。法テラスは、司法過疎解消も目標としており、また、担当する業務を円滑に行う必要があります。そのため、全国の過疎地や都市部に、法テラス常勤弁護士が勤務する法律事務所があります。私が勤務するのもそのような法律事務所の一つです。法テラス常勤弁護士に応募したきっかけは、私が前にお世話になった事務所を退所したとき、たまたま法テラスが立ち上がり法テラス常勤弁護士を募集していたからでした。法人ではなく個人の事件に熱心に取り組んでみたいという私の希望と、経済的困窮者の事件を取り扱う法テラス常勤弁護士の仕事の特徴もぴったり合い、就職を決めました。

現在の主な業務

私が勤務する法テラス福島法律事務所は、過疎地ではなく、県庁所在地に所在するタイプの法律事務所です。業務内容の特徴は、債務整理事件が多いことです。その他、離婚や損害賠償等の事件も、依頼者は経済的に困窮している人が多いです。法テラスの法律事務所の多くは、刑事事件を相当数抱えていますが、私のところでは刑事事件はそれほど多くありません。

やりがいを感じる瞬間

小さくとも確かなやりがいを感じるのは、初回相談の時です。法テラスにお越しになる相談者は、それまで弁護士と話をしたことのない人ばかりで、不安でいっぱいの顔をして相談に来られます。大都会はいざ知らず、地方では弁護士への敷居はまだまだ高いのが現実です。大多数の相談者は弁護士に１回相談しただけで、自分の抱えている問題がどのくらいのもので、どのような解決策があるかということが分かり、ひと安心して表情も柔和になります。中には解決しようのない問題もありますが、その場合も解決しようのないことを丁寧に説明すれば、相談者が笑顔を見せてくれることがあります。他にやりがいを感じるのは、事件終了の時や、急な対応を要する事件で自分の打った手が奏功したときです。いずれも、依頼者の喜びがやりがいにつながります。特に、法テラスがなければ弁護士を依頼することができなかった依頼者の喜びは大きく、お役に立てたという私の感慨もひとしおです。特殊なのは、法テラス常勤弁護士が給与制であることです。着手金も報酬も自分の懐へ入るわけではありません。ただ、だからこそお金基準で仕事をするのではなく、お金にならないややこしい事件でも丁寧にじっくりとできるというメリットがあります。

必要とされるプロフェッショナリズム

弁護士のプロフェッショナリズムは、第一には、法律の適用場面において正しい解釈を示すことだと思います。もっとも、弁護士の数が増えているので、今後は弁護士も多様化していくでしょう。今後を見据えて考えると、弁護士には、法律の正しい適用・解釈だけではなく、地域の活性化であったり、時代に対する問題提起であったり、何かとプラスアルファの部分が求められていくように思います。そこでは、他人の人生の代理人としてではなく、いかに自分の人生を真摯に生きているかが問われてくるかもしれません。

伊藤塾で得たもの

伊藤塾は、伊藤塾長自らが憲法の素晴らしさを塾生に説くという特長があります。何度も伊藤塾長の話を聴いているうちに、憲法の素晴らしさが少しずつ分かってきたように思います。明日の法律家講座も多く出席して、吸収できるものを吸収するよう心掛けました。伊藤塾では、一緒に勉強する仲間もいました。同じ目標に向かって切磋琢磨した受験時代は、私にとって、かけがえのない財産です。

これから法律家を目指す方へ

私は後１年半で、法テラス常勤弁護士の任期満了となりますので、その後は開業独立しようと考えています。個人の事件や刑事事件を主にすることになると思います。弁護士の仕事をこなしつつ、地域福祉的な活動をしたいと考えています。弁護士は、50歳から65歳くらいが一番良いと言われる仕事です。失敗も回り道も全部活かすことのできる仕事です。あせらずこつこつと努力して、合格を目指してください。

（2008年5月・記）


■Profile
2003年司法試験合格
2004年司法研修所入所
2005年弁護士登録
2006年法テラス福島法律事務所入所
 
■事務所プロフィール
法テラス福島法律事務所
〒960-8131　福島市北五老内町7-5 イズム37ビル4Ｆ
 
■当事務所の主な業務内容
一般相談（離婚、相続、損害賠償、金銭トラブル、不動産など民事全般）、クレジット・サラ金相談等
 
■現在の「ある一日のスケジュール」
　08:00　起床
　09:00　出勤、執務開始
　11:00　家裁で裁判
　12:00　昼食
　13:00　依頼者と打合せ
　15:00　依頼者と打合せ
　16:00　警察署にて被告人と接見
　19:00　帰宅、夕食、入浴
　01:00　就寝