司法システムの枠、地域を超えた活躍がこれからの法律家には期待されています

平林 健吾 先生 (弁護士)

現在の事務所に入った理由

私が就職活動で事務所訪問をしたのは、司法研修所に入る前年の年末から司法修習の前期日程が終わる頃までの期間でした。とにかく色々な事務所をこの目で見てみたいと思い、規模も傾向も様々な事務所を10~20くらい訪問させていただきました。  私がこの事務所に就職を決めた一番の理由は、事務所にとても勢いを感じたからです。お会いしたどの弁護士も個性的でエネルギーに満ちていましたし、皆がなにか面白いことをやってやろうという想いを共有しているのを感じ、自分もその一員となってこの事務所を一緒につくっていきたいと強く思ったのでした。もちろん、想いだけでは生活できないので実際的な部分も考慮しましたが、例えばオフィスは最新鋭で洗練されていましたし、また条件面も申し分のないものでした。

外資系法律事務所の特徴

外資系法律事務所の業務の特徴は、まず、様々な国の弁護士が同じ事務所の仲間として一緒に仕事をしているところにあると思います
。例えば、以前、日本のあるクライアントが外国のある企業と提携して会社を作り、主に日本、北米、欧州で製品を販売していたのですが、どうもその提携先の経営状態が芳しくないため、提携先に万一のことがあった場合この提携のフレームワークがどうなるのか、またそれに備えてどのような手を打つべきかという調査をしたことがありましたが、この案件では、LAオフィスとミラノオフィスからそれぞれ倒産法のスペシャリストがチームに加わり一緒に仕事をしました。また、外資系企業のクライアントが多いのも特徴かもしれません。当所には世界の全オフィスに共通のお得意様リストのようなものがあり、北米、欧州、アジアの世界的に有名な企業が名を連ねています。
もっとも、当所では、日本企業の国内案件も多数取扱っています。これは、東京オフィスが本国アメリカの単なる出張所ではなく、現地に根ざした日本の法律事務所として確固たる地位を築いていることの現れだと思います。私も、地方企業に投資して再建を援助する純国産ファンドのクライアントを担当させていただき、ファンドやその投資先企業が抱える法律問題を日常的に処理していますし、また、日本の金融機関によるファイナンス案件や日本企業のM&Aなどに携わることもあります。

やりがいを感じる瞬間

私が仕事でやりがいを感じる瞬間は、知的好奇心が刺激される瞬間です。未知の法律に触れたり、先例のない法的問題にぶつかったりすると頭の働きが活発になってきて気分も高揚します。
また、精緻な契約書や説得的な準備書面を仕上げたときも、芸術作品を生み出したかのような喜びを感じます。守秘義務がなかったら、額に入れてキャプションを付けてレセプションに展示したいくらいです。
それから、やはりクライアントから感謝されるとやりがいを感じます。たとえ、帰宅しようとしているところに「どうしても明日午前10時までに」とお客様から電話がきて、契約書の束を徹夜で見るはめになったとしても、「おかげで助かりました。本当にありがとうございました。」なんて言われてしまうと、つい乗せられて幸福な気持ちになってしまいます。

必要とされるプロフェッショナリズム

質の高い法的サービスをスピーディーにクライアントに提供するために、正確な法律知識と緻密な論理、豊かな発想をもって、妥協せず、タフに仕事をこなすこと
が求められていると思います。書くのは簡単ですが、実践するのは本当に大変です。常に向上心を持って日々精進しています。
伊藤塾で得たもの
伊藤塾長からすり込まれた個人の尊厳の精神、多様な価値観、世界観を互いに尊重し共存しようという視点は、対立する関係当事者の利益を調整しながら案件を進めていくビジネス法務の実務においても大変有効なスキルになっていると感じます

これから法律家を目指す方へ

私は、法律家というのは不条理な力を排して志あるルールを及ぼす技術を有する人々だと思います。そして、これからの時代、法律家は、司法システムの中だけでなく、立法、行政、経済、文化、地域社会、国際社会とあらゆる場面で、その技術を活かし、活躍することを期待されています。皆さんの合格とその後のご活躍を心より祈念しております。
 

■Profile
2001年 司法試験合格
2004年 弁護士登録
ポールヘイスティングス法律事務所・外国法共同事業入所


■事務所プロフィール
ポールヘイスティングス法律事務所・外国法共同事業
〒107-6034 東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル34階
http://www.paulhastings.com/tokyo/  

■所属弁護士数
弁護士26名、米国弁護士/外国弁護士15人(2007年6月時点)

■主な業務内容
不動産関連取引、証券化、バンキング、コンプライアンスおよびリスクマネジメント、M&A、国際仲裁および紛争解決、労働法等

■現在の「ある一日のスケジュール」
 07:00  起床、朝食
 09:00  出勤、執務開始 電話・メール対応、内部会議
 13:00  昼食
 14:00  電話・メール対応、契約書作成
 20:00  留学する先輩弁護士の送別会に出席
 24:00  帰宅、就寝