二人の子供を育てながらの合格。どのような環境でも努力すれば、合格も仕事もできます

長谷川 弥生 先生 (弁護士)

法曹への志を胸に、育児と受験勉強を両立

私は出産してから法曹を目指しました。女の子が生まれて、子供の人生を考え始めたとき、社会における女性の地位の低さについて考えるようになったことがきっかけです。
当時、市民講座でDVに取り組む女性弁護士の講演を聞き、弁護士になって少しでも女性の地位を高める活動ができたらいいなと思い始めました。その後、知り合いが紹介してくださった弁護士からお話を聞かせていただき、司法試験に挑戦して弁護士になろう、と決心しました。知人が顔面にあざができるほどのひどいDVに合っているのを目の当たりにしたことや、自分自身も社会に出て学生時代とは異なる女性の地位の低さを実感していたことも、弁護士になろうと決めたきっかけです。
受験勉強は独学では無理そうだと思っていたところ、書店で伊藤塾長の書籍を見つけ、伊藤塾のことを知りました。合格実績もさることながら、自宅で勉強できることや受験生に対する様々なフォロー体制が整っていることにも魅力を感じて、入塾しました。
私の受験は、3歳と0歳の子どもを抱えたところからのスタートで、特に下の子は昼夜の区別もないような状態だったので、勉強時間がなかなか思うようにとれず、毎日3時間ほどしか睡眠時間がとれないような日々もありました。択一試験当日に、午前中の幼稚園の保護者会を途中退席して、受験会場に滑り込むような状態でした。それでも、在宅講座を利用することで何とか受験勉強を続けることができました。伊藤塾への通学が必要であったならば、到底続けることはできなかったと思います。
講義は非常にわかりやすかったです。私は大学を卒業してから時間も経っていたので、講義についていけるか心配だったのですが、気後れすることなく勉強することができました。講師の方々はそれぞれ個性のある講義をされており、そのことがある意味で気分転換にもなってよかったです。しかし講師の違いによる違和感はありませんでした。伊藤塾での基礎マスター講座を受講した後に、大学の授業を受けていたら、もっと興味深く授業を聴くことができたのではないかなとも思っています。

印象に残っている少年事件

現在所属している事務所は、約50年もの長い間続いてきた市民のための法律事務所です。事務所は北区の王子で、東京23区の中では、北部に位置しています。歴史の跡も残り、古くからの住民も比較的多いところです。所長弁護士は、長い間、弁護士として、市民のために活躍され、数々の大きな事件を解決されてきた方です。常に弁護士としてどうあるべきか、教えていただいています。
業務内容は、広く一般的で、私は先輩と一緒に、相続、離婚、交通事故、債務整理、刑事事件などを経験させていただいています。
これまで経験した業務のうちでは、少年事件が印象に残っています。少年を取り巻く環境や少年自身の知的能力など、考えさせられることの多い事件でした。少年を通して、少年に関与する方々と出会えたことも貴重な体験でした。事件後、少年が無事就職したことを聞いて一安心しているところです。

子育てをしながらの弁護士業務

子供がいると、子供が病気になったり、学校の行事があったりなどして、時間の融通が難しいこともあります。そこで、時間を効率的に使うように工夫が必要で、先の予定を念頭に、優先順位を考えて行動しています。伊藤塾で学んだゴールからの発想です。 
弁護士に限らず、子育ての主力を担いながら仕事をするということは、少なくとも時間的にとても大変なことです。まだまだ、女性のみが負担していることも多いですが、「子育てをしながら」ということが、女性や母親に特有の問題ではなく、格別タイトルにもならないような時代になればいいな、と思っています。高齢化社会でもあるので、「子育てをしながら」の次には「介護をしながら」となるのでしょう。女性だけが負担することなく、男性とともに、負担しあいながら、ともに仕事をしてゆける社会を実現させなくてはなりません。

子供が安心して成長できる社会に

子供の貧困や子供の教育問題に取り組みたいと思っています。
弁護士としてできることには限界があるので、様々な分野の方と協力して、すべての子供が穏やかな環境で安心して成長できるような社会にしたいと思います。


働くことの大切さを実感する女性弁護士が増えてほしい

法曹を目指したいけれども、小さい子供を抱えているなど家庭の都合で時間がない、という女性には、学生や男性とは違った様々な制約があるでしょう。しかし、環境のせいにしていても仕方がありません。人は人、自分は自分、やってみたいと思うなら、とにかく行動してみたらいいのではないでしょうか。何とか工夫をして頑張ってほしいと思います。
同じような環境で勉強をしている方は、多くはないかもしれませんが、世の中で自分一人だけでもありません。身近に仲間がいなくても、とにかく頑張ってほしいと思います。
家庭を抱えて働くことの大変さを実感する女性が、もっと法律家の道を目指すことを期待しています。 
 (2012年4月・記)

【プロフィール】
大阪大学人間科学部 卒業
京都大学法学部 卒業
旧日本債券信用銀行入行
2008年 旧司法試験 合格
2010年 弁護士登録

■事務所プロフィール
東京北法律事務所
〒114-0022 
東京都北区王子本町1丁目18番1号 北法ビル4階
TEL:03-3907-2105
FAX:03-3907-2183
■事務所の特長
東京北法律事務所は、「地域に根ざし、市民の権利を守る」法律事務所です。
地域には、多数の生活者、事業者そして中小企業者がおり、私たちはその生活と活動に密着して、発展している社会のなかで守られるべき市民の権利を、相談・交渉(合意書)、そして裁判(判決、和解、協定書)において、発展的に確立していくことを基本としています。
■所属弁護士会
東京弁護士会