受験で学んだ知識と思考過程はそのまま弁護士 実務に役立ちます。無駄なことなど一つもありません

石井 英智 先生 (弁護士)

弁護士を目指したきっかけ

大学時代は競技ダンス部に所属してダンス三昧、勉強は全くしていませんでした。しかも、ろくに就職活動もしなかったので、就職もできないまま、卒業を迎えてしまいました。ただ、父と祖父が税理士だった影響もあり、資格を取って仕事をしたいという気持ちが漠然とありました。そこで、「人生の一発逆転には司法試験だ、弁護士になれば、お金が稼げて、女性にモテて、ステイタスもあるだろう。」などという当初は俗物的な考えから、弁護士を目指すことにしました。

友人と励ましあった受験時代

法律の勉強を始めた当初は、「法律って、抽象的で無味乾燥で、何だか退屈だな。」と思っていましたが、たまたま伊藤塾長の講義を聴く機会があり、「わかりやすいし、熱い。法律はエキサイティングだ。」と思い、それ以来、法律がだんだんと面白くなってきました。伊藤塾は、教材も見やすくてセンスがいいと思います。使い慣れた情報シートなどは、実務に就いた今でも、知識をさっと確認するときに、ときどき見返すことがあります。また、このころ学んだ「原理原則から考える」という思考方法は、実務でも大いに役立っています。 
また、伊藤塾では受験仲間もできました。励まし合える友人がいたことは、受験を乗り切るための支えでした。伊藤塾のペースメーカー論文答練で友人とゼミを組んで勉強したころが、もっとも実力をつけた時期でした。お互い切磋琢磨しながら、「これは受かる」と自信をつけ、皆で次々と合格しました。
修習は新61期で、「うどん県」として有名な香川県で修習を受けました。うどんを食べまくったことと瀬戸内海の小さい島が拡がる穏やかな風景は今でも印象に残っています。
就職については、東京で少し修業をしてから地元に戻ることも考えたのですが、最終的には地元の群馬に戻ろうと思っていました。伊藤塾の受験仲間が修習の同期にいて、たまたま群馬で修習していたので就職情報を教えてもらい、現在の事務所に応募しました。縁というものは大事なもので、トントン拍子に話が進み、スムーズに就職することができました。

法律を浸透させていく仕事

入所後しばらくして、沼田市の事務所を一人で任されるようになりました。最初はおっかなびっくりで不安もありましたが、受験で学んだ知識と思考過程が、そのまま実務で役立つことに気づき、割とすぐに業務に慣れました。
現在多く手掛けているのは、一般民事、家事、刑事等、いわゆる典型的な町弁の事件です。私が勤務している沼田市は、人口5万人くらいの都市で弁護士の人数もあまり多くありません。弁護士は敷居が高いと感じていらっしゃる方々も多いと思います。なるべく依頼者が気軽に話せるような相談環境を心がけています。

また、地方に限ったことではないのかもしれませんが、まだまだ法律が浸透していないという印象です。たとえば破産や離婚の事件でも、皆さん世間体を非常に気にされます。そういう方に「気にしなくていいんですよ。」と言ってあげる。いろいろな方向から価値観を提案してあげる。法律を浸透させていく、価値観を変えていくのも私の仕事だと思っています。

依頼者の人生にとって本当にメリットになることは何か

私は、昔から、もめ事に首を突っ込むのが嫌いではなかったので、法律を使って紛争を収めていく、というのは、非常にやりがいがありますし、面白味もあります。弁護士は、決して膨大なお金を稼ぐような仕事ではないのですが、自分自身のやりたい事、興味のある事だけをすることができます。人助けをするもよし、経済的に追求するもよし。自分のキャラクターで仕事ができます。弁護士の仕事は、悪く言えば他人の人生のドブさらいかもしれません。でも、私はドブがきれいになるのが好きなんです。
依頼者は、相談に来る前は、事件の見通しが分からないので、不安で、夜も眠れないほど悩んでいます。弁護士は、事件が最後にどうなるか見通しがつく。開き直り方も知っている。事件を法律の考え方で整理して最終的な見通しを教えてあげると、依頼者はパッと明るい顔になってくれます。
紛争解決の段階では、依頼者にとって本当の意味でメリットのあることは何なのか、それを導き出したいと思っています。金銭の損得だけではなく、依頼者の人生にとって本当に得になることは何なのか。依頼者と一緒に考え、信頼関係を作っていくことが重要です。自分の提案に依頼者が納得してくれて、感謝してもらえて、報酬もいただける。弁護士としてのやりがいを感じる瞬間です。

法教育に携っていきたい

現在最も関心のあることの一つに法教育があります。群馬弁護士会の法教育委員会に志願して、年に数回、県内の中学校に出向いて出張授業をしています。刑事の模擬裁判が中心ですが、その時に憲法の話などもします。憲法の話をするときは「個人の尊厳」など伊藤塾長の講義を十分参考にさせていただいています。模擬裁判では、生徒に自分で考えて結論を出してもらいますが、皆さん本当に素直でこちらが驚くような鋭い発言をされるときもあります。この活動はこれからも続けていきたいと考えています。

仕事は首都圏だけではありません

首都圏以外での弁護士業務も選択肢の一つに入れるといいと思います。地方はおすすめです。就職活動も激戦ということはなく、やりがいのある仕事もたくさんあります。
法律家は、自分の個性で仕事ができる、魅力的な楽しい仕事です。私は法政大学の出身なのですがOBのつながりや教授との繋がりも充実しています。後輩の皆さんもぜひ法曹への道を目指してほしいと思います。応援します。予備試験も始まったと聞きます。予備試験の問題は司法試験にも実務にも直結していますので選択肢を増やす意味でもぜひチャレンジされるといいと思います。
合格への一番の近道は、実力をつけることです。貪欲に勉強してください。今皆さんが学んでいるすべての知識と思考過程、すべての経験が合格にも実務にも役に立ちます。無駄なことなど一つもありません。毎日を充実して頑張ってください。
 
【プロフィール】
1996年 法政大学 卒業
2007年 法政大学法科大学院 修了
2007年 新司法試験 合格
2008年 弁護士登録


■事務所プロフィール
井坂法律事務所
〒370-0073 群馬県高崎市緑町4-5-14
アイオンズビル2F
TEL:027-370-5282 FAX:027-370-5292
■事務所の特長
弁護士は法的にも経済的にも自らの責任で活動する独立事業者であり、他の商工業者と同様、営利活動を行う経営者の一面を持っています。しかし「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする(弁護士法第1条)」職業人です。
「正義に対する信仰」を持たない者は弁護士でないと心に命じています。そして、これこそが他の事業者と決定的に異なる点であると考えています。会社経営者、商店主等の事業者の皆様に対しては、「予防法務」つまり、日常から専門家のアドバイスとチェックを受けて措置をとることで紛争を未然に防止することを勧めています。日頃から、事業者の皆様と「ホームドクター」的な関係を持っていくことで、事業の健全経営の一端を担うことが出来るのではないかと思っています。
■所属弁護士会
群馬弁護士会