法律の全体像から社会貢献を見据えて、視野の広い講義が、私のベトナム勤務のルーツです
北野 広樹 氏
幼少のころの海外体験に関係する仕事がしたい
大学では国際関係論、国際政治経済学、国際法などを学んでいましたが、将来は父の仕事の関係での海外生活体験から、商社マンか外交官を考えていました。そのころ伊藤塾は開塾されていませんでしたが先輩から、伊藤塾長の講義は、受験対策だけでなく合格後のなすべき法律家の話も素晴らしいと聞き、そして明確かつやる気に満ちた言動に心を揺さぶられ、伊藤塾長の講義で勉強しました。講義は大変わかりやすく、特に「法律の全体像の把握」という法学教育方針で、毎日講義を聴くことが大変な楽しみでした。講義以外での伊藤塾長との交流では難関の司法試験に通じる「厳しさ」・「真剣勝負」の大切さということを実感し、これは今の人生でも大変有意義なものとなっています。わかりやすい講義で理解も深まり、司法試験の受験も視野に入れていましたが、家庭の事情や若干の心身的症状から、理想を追うよりも現実的対応を優先し、商社や銀行などの民間就職と、国家公務員試験法律職に進路を絞りました。しかし受験した国家公務員試験は手ごたえもあったのですが残念な結果になりました。「人生、至るところ、青山在り」「人間万事塞翁が馬」と考え、やることはやったので、落ち込んでいてもしょうがないと自分を慰めました。一方民間企業への就職活動では、数社から内定をいただきましたが、その中でも面接で不法行為について質問され、条文を含めての回答に面接官からとても感心され、ほめていただいた会社がありました。その縁もあり、損害保険会社トップの東京海上火災保険に就職しました。ここでも伊藤塾長の講義が役に立ちました。
ベトナムの地において真剣勝負の日系企業のお手伝い
父が国際協力の仕事に従事していたこともあり、海外、特に東南アジアでの生活を継続したいと考えていました。その中でも学生時代に訪問したベトナムに興味がありました。紆余曲折がありましたが、希望をかなえたいと会社を辞めて単身ベトナム・ハノイに旅立ちました。ハノイでは、大学と研究所で合計4、5年、ベトナム語、歴史文化、政治経済、外交などを学び研究しました。その後ベトナム人の女性と結婚しベトナムで就職しました。最初の勤務先は、日系企業とベトナム企業の合弁企業、そして通訳・翻訳での自営業を経て、シンガポール投資の日系企業の駐在員事務所の長としても、大変貴重な経験をさせていただきました。現在は、DFKベトナム監査法人(コンサルティングファーム)の役員として、主にベトナムで事業経営を営む日系企業様に対し、会計監査サービス、法務サービス、通訳・翻訳サービス、M&A事業サポートなどの業務コンサルティングと営業・顧客サービスを主に担当しています。業務でのやりがいは、毎日真剣勝負の日系企業様にベトナム語や自らのコンサルティングノウハウを生かしたサポートを通じて業務のお手伝いができているということです。一方苦労していることは、文化や発想の違い、そして個人間の考え方や取り組みなどの相違などから毎日さまざまな障害に遭遇していることです。これは予見しきれるものではなく、苦労が続きます。幸いにもお客様のご支援と、能力とやる気のあるスタッフに恵まれ、毎日まさに「真剣勝負」、しかし、精神的なゆとりを持つことを心がけ、充実した仕事をさせていただいています。充実した毎日の業務には、伊藤塾長に教えていただいたことが大きく影響していると思います。一見とっつきにくいと思われる法律科目に対しても、その全体像を常に意識しながら学ぶ方法論や、法律の知識、リーガルマインドを持ち合わせていることは、仕事のみならず人生を生きていくうえでも不可欠なものだと実感しています。
夢を持ち続けて~アジアの平和構築を目指す
私は、人生を生きるうえで夢や目標、そして理想は欠かせない大切なものだと理解しています。日々自らを叱咤激励するためにも、小さい夢や大きな夢をたくさんもっています。当面の夢・目標は1996年から生活の大部分をすごしているベトナムにおいて、日系企業の皆様のため日本とベトナム、ひいては、世界の恒久平和のためにまい進したいと考えています。また伊藤塾長への恩返しの意味でも、崇高な理念・理想・精神を保持しながら、伊藤塾長が提唱する「アジアでの平和構築=我々の生活基盤の安全確保、平和的共存」と「リーガルマインド=未知の問題に対して、自分の価値観に基づいて、自分の頭で考えて決断する。そして、その決断した結果を事実と論理と言葉で説得する」ということの普及活動をしていきたいと考えています。伊藤塾では海外での社会貢献としてベトナムも重視されています。様々な場面から協同し合いながら、ベトナムとの橋渡しをお手伝いしていきたいです。これはベトナムに縁のあったものとしては、望外の喜びです。
日本人に対する世界の期待は高い
伊藤塾で勉強される方は志の高い優秀な方、そしてご自身が明確な目標・目的を見据え、創意工夫をされ、日々研鑽を積まれている方が多いのではないかと思います。私は弁護士や検察官、裁判官ではありませんが、日々思い悩みながらも、支えていただける皆様の励ましもあり一個の人間として、謙虚かつ自信と矜持を持ち自分の役割を果たすべく精進・成長していきたいと願っています。日本人は自身の評価を低く考えている人が多いのですが、私は「日本人に対する世界の期待は高い」と考えています。何事も前向きにプラス思考で考えて、それぞれの立場で困難にめげず社会貢献を目指してください。他者や他国への思いやりを大切に、恒久平和という共通の夢と希望のためにも、リーガルマインド(Legal mind)と平和な心(Peaceful mind)をもって、日々ともに切磋琢磨してまいりましょう。
(2012年4月・記)
■Profile 1995年 青山学院大学国際政治学部国際政治学科 卒業
東京海上火災保険入社
退社後、ベトナムに渡越(私費留学)
ハノイ国家大学言語研究・文化交流センターベトナム語 修了
ベトナム社会科学院経済学研究所政治経済博士課程途中退学
日本・ベトナムの合弁企業勤務を経て
現在はDFKベトナム監査法人
取締役営業部長兼アジア・日系企業担当取締役
■勤務先プロフィール
DFKベトナム監査法人
Lever 25, M3M4 Building,
91 Nguyen Chi Thanh Str.,Dong Da Dist., Hanoi
TEL:844 6266 3006
FAX:844 6266 066
0084-(0)16969-34313(日本語直通)
■勤務先の特長
会計・監査サービス/税務コンサルティング
法務・労務サービス/経営・投資コンサルティング
M&A事業サポート/翻訳・通訳(視察同行)