短期間で合格するためには基礎マスターテキストを使うのが合格への一番の近道です。

大学在学中

 Dさん(21歳)

東京大学法学部3年在学中

【受講講座】
司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、論文の基礎ゼミ、論文直前答練、実務基礎科目答練、口述模試 など

※プロフィールは、2011年合格時点のものです。


はじめに

 私は子どもの頃に刑事裁判を傍聴しに行ったときに、被告人を囲んで真剣に向き合う裁判官、検察官、弁護人の姿を見て、法を道具に人権を尊重し正義を実現する法律家に憧れ、法律家を目指すようになりました。そこで、大学に入ると同時に伊藤塾への入塾を決めました。大学の駅の目の前に伊藤塾の看板があり印象深かったこと、先輩が伊藤塾に入っていて、良い評判を聞いていたことから伊藤塾を選びました。

私がとった勉強方法 

基礎的な法知識・法理論の修得について

 私は主に基礎マスターを使って基礎的な知識・考え方を学びました。というのも、基礎マスターは様々な基本書や判例集から試験との関係で重要であり、基本的な事項を適切に抜き出し、まとめたテキストだからです。たしかに、大学などでは先生に教科書を指定されることも多いでしょうし、それを試験対策として使ってももちろん合格することはできると思います。ですが、1年や2年の短期間で合格しようというのであれば、やはり効率というものを重視しなければなりませんから、試験における重要事項をコンパクトにまとめた基礎マスターテキストを使うのが合格への一番の近道だと思います。特に、伊藤塾長や各講師が、Aランク、B+と指定した個所を中心に何度も読み込むことで、自然と基本知識が自分の中で常識になります。一言でいうと、私は基礎マスターを何度も繰り返すことで着実に合格に近付いていったと思います。 
 次に、基礎マスターで修得した知識を実際の問題で実践してみることで、より定着度が高くなります。短答式試験の過去出題された問題や論文マスターの問題を解いたり、基礎マスターで学習した知識を本試験でどう活かすのかを学ぶことで、法的思考力を身につけました。基礎マスターは基本で論文マスターは応用であるということではなく、いずれも基本を身につける重要な講座です。私は論文を解いたら、その問題で問われた分野や論点を基礎マスターに戻って確認しました。また、苦手分野については、基礎マスターを読み込んでから当該分野の論文の問題を解きました。このように、基礎マスターと論文マスターを行ったり来たりすることが大切で、いずれか一方のみを続けても効果は半減してしまいます。よく情報の一元化といいますが、結局は手持ちのテキストを自由自在に使うこなすことにほかならず、私の場合は基礎マスターと論文マスターであったということです。
 以上、私が基礎マスターと論文マスターを中心に学習を進めたことをお話ししましたが、ほかのテキストはどうだったかについて少し触れることにします。まず、論証パターンですが、私はまったく使いませんでした。基礎マスターの知識があれば、現場で10秒程で論証を作ることができるようにトレーニングしていましたし、実際に答練や模試などで困ることはありませんでした。また、他の伊藤塾テキストや伊藤塾以外のテキストも大学の試験等で必要な場合を除き、使いませんでした。結局は基礎マスターと論文マスターがすべてだということです。

短答式試験対策について

 短答式試験対策には、新司法試験の過去問を使いました。伊藤塾の短答模試も受け、実力を確認しました。それ以外は基礎マスターテキストや判例六法を活用しました。自分がそれまで使っていたテキストを復習し、六法の条文を読み込むことで十分です。

論文式試験対策について

 論文式試験の勉強は主に短答式試験が終わってからの2ヶ月間に集中的にやったのですが、ひたすら問題を解き続けました。実際に書いたのは150通、答案構成も含めると400通は解いたと思います。毎日が本番の様でした。ただし、その場合も基礎マスターに戻ることは怠りませんでした。常にこの問題が本試験で出たらどう書くかということを考えながら答案を書いていたことで、未知の問題に動じない精神力が身についたと思います。

法律実務基礎科目について

 この科目は予備試験から導入されたもので、どんな問題が出るかわからず不安でした。しかし、何が出ようとも自分の答案を書くというのは他の科目と同じなので、法律基本科目と全く変わらず、基本事項の修得、基本論点の理解を中心に学習しました。たしかに、法律基本科目に比べると受験生のレベルが低く、求められているものも高度ではありません。ですが、口述試験、司法試験を見据えると、論文段階である程度の水準は確保しておく必要があります。私は、民事・刑事ともに伊藤塾の講座を受講し、その講座のテキストだけを使いました。民事は民法・民事訴訟法とともに、刑事は刑法・刑事訴訟法とともに学習すると効率的でした。法曹倫理は論文式試験・口述試験ともに出題されているので薄い教科書でもいいので、一読しておくべきでしょう。

一般教養科目対策について

 この科目はいかに時間をかけずに知識を修得するかが重要です。法律科目が短答式試験の8割近く、論文式試験の9割を占めるのですから、その合間にやりました。社会科学については伊藤塾のテキストを用い、その他は大学受験のときに使用した教科書を用いて勉強しました。法律の勉強に疲れた時の息抜きにやれば十分でしょう。

口述試験対策について

 法律実務基礎科目の講義で使用したテキストと判例六法のみを使いました。論文式試験に合格した同じ大学の友達とお互い問題を出し合ったり、口述模試を受けたりして実践力を養いました。特定分野を深めるのではなく、どの分野もある程度答えられるようにする訓練をしました。

伊藤塾の学習と大学生活との両立について 

 私は大学1・2年の時は演劇サークルに入っており、公演前にはそもそも全く伊藤塾に時間を割けないこともありました。しかし、在宅講座でのインターネット受講やフォローのおかげで終了後はすぐにペースを取り戻すことができ、ついていくことができました。受験というのは時間の使い方のうまさで勝負が決まることも多いと思うので、忙しいからといってあわてる必要はありません。用事が終わったらじっくりやればいいのです。  

司法試験受験の準備として 

 7月の論文式試験が終わってから、しばらくは休息を取り、8月中旬くらいから勉強を再開しました。司法試験の論文式試験の過去問を解きました。今までの論文式試験と違い、問題文がとても長く、時間が非常に短いので慣れるのに時間がかかりました。逆に、夏の段階で司法試験に慣れておくことで、秋以降の勉強がスムーズに始められました。

合格後を見据えて 

 私は検察官志望です。ご存じのように検察官は被疑者を起訴する権限を与えられた唯一の人間です。被疑者と真剣に向き合い決して無実の人を罰しないよう、常に自分を顧みる法律家になりたいと思います。

最後に 

 私が合格した最大の理由は、常に本試験を意識して学習していたということです。短答式試験も、本番だったらどう考え、どう答えるかを常に意識しました。本番の疑似体験を繰り返すことにつきます。伊藤塾の答練や模試はその絶好の機会ですので、積極的に活用してみてください。