本格的な学習開始は遅くなりましたが、復習の繰り返しと、知識を丸暗記でなく理解することを重視して在学中合格を勝ち取りました。

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F.Jさん:東京大学法学部4年
◆法科大学院合格校/東京大学法科大学院(既修)、慶應義塾大学法科大学院(既修)全額免除

◆ 受 講 講 座 / 司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、予備試験全国公開短答模試、予備試験論文直前答練+全国公開論文模試など

※プロフィールは、2020年度合格時点のものです。

はじめに

私は,大学1年の9月頃に伊藤塾に入塾した。夏休みで時間があったことと,将来,漠然とではあったが,法律家になりたいと思っていたことが入塾動機だった。12月に入るくらいまでは,民法の基礎マスターを半分くらいまでweb受講し,刑法の基礎マスターを教室受講することができていたが,12月中旬になると,大学のレポート課題や試験勉強が忙しくなり,カリキュラムに追いつけなくなった。結局,大学の期末試験が終わってから,春休みを利用して,刑事訴訟法の基礎マスターは受け終わったが,このペースでは到底カリキュラムに追いつけないと感じ,怠惰な性分も相まって,かえってやる気をなくしてしまった。その結果,大学2年になってからは,アルバイトや学園祭の出し物の準備などで忙しかったこともあって,伊藤塾の講義を受講することは一切なくなってしまった。

私の勉強法

〈基礎学習について〉

このような経緯から,私が基礎マスターをもう一度本気で受け始めたのは,大学2年末の期末試験が終わった後,春休みになってからであった。同じく伊藤塾で勉強していた先輩から,とにかく基礎マスターは早く受けて一周した方がいいというアドバイスをいただき,春休み(2月,3月)を利用して,民法の残り半分,憲法,会社法の基礎マスターを受講した。この時点では,恥ずかしい話であるが,溜まった基礎マスターを消化することが目的となっており,能動的に勉強している感覚はなく,また,最低限の復習すらできていなかった。このままでは今年の短答に合格することなど不可能なのではないかと焦った私は,伊藤塾のアドバイザーの方に相談をしたところ,4月からはとりあえず,すでに学習した科目の短答過去問を解いて,学習した科目ではどれくらい戦えるのかを確かめた方が来年につながるとの有益なアドバイスを頂いた。私は,言われたとおり,4月から,憲民刑及び会社法の速習短答過去問を解き始めた(ただし,Essential Noteはやっていない。)。刑訴も過去問をやるべきであったが,大学のゼミに熱中してしまい,時間の都合上,できなかった。民事訴訟法,行政法及び手形小切手の基礎マスターは,短答後に聴いた。この年の短答には,本当に運に恵まれ,ギリギリで合格できたのだが,せいぜい基礎マスターをようやく聴き終えた程度の私には,論文式試験など,到底太刀打ちできなかった。

〈論文学習について〉

論文マスターに取り組んだのは,論文式試験後,大学3年の夏休みからだった。2日で9コマ消化するようなペースで進めていった。伊関講師から指示されたとおり,一応は予習と復習をしていた。もっとも,なんとか早く消化することを重視して基礎マスターを受けてきた私には,予習の段階で,十分な答案構成などできるはずもなかった。そのため,問題文を読んで,どの論点が問われているのかぐらいは把握して,多少は自分の頭で考えて答案構成をしてみるくらいのものであった。結局,論文マスターを聴き終えたのは11月末であった。このようなペースであったので,伊藤塾に入っている大学の友人のうち少なからぬ人たちが同時期にコンプリート論文答練を受講しているのを横目で見て,内心,焦りを感じていた。12月上旬を実務基礎科目の勉強にあてたのち,12月下旬から論文マスターの復習を始めたが,1周目の復習ではほとんど全く解けなかった。先輩からは,何度も繰り返し復習するようにアドバイスをもらっていたので,ひたすら毎日答案構成をし続けた。結局,論文式試験までに5,6周復習した。今思えば,基礎マスターをきちんと受講した人ならともかく,私のような後発組は,論文マスターもインプットと割り切って,とにかく早く受講し終えたうえで,何回も繰り返し復習した方が効率的だったのではないかと思っている。

〈短答式試験対策について〉

短答の勉強法としては,速習短答過去問を繰り返し解き,正答率の高い問題を確実に得点するという学習法が,最も短期間で合格に近づくことができる方法であると思われる。伊藤塾長もおっしゃっているとおり,短答で得点するうえで重要なのは,知識の量ではなく質である。悩まずに瞬発的に正誤を判定できる知識でなければ,時間制限の厳しい短答では,得点につながらないからである。この観点からすれば,一定の正答率の問題しか掲載されていない速習短答過去問を繰り返し解き,そこに収録されている問題及びその周辺知識を確実に定着させることが,必要かつ十分であろう。

〈論文式試験対策について〉

すでに書いたように,論文合格に必要な能力に大半は,問題研究の答案構成の繰り返しで身についた。復習の際,問題研究で学んだ知識は,論文ナビゲートテキストに一元化していた。復習1周目や2周目ではほとんどの問題が満足に解けなかったが,3周目,4周目になると,もう復習の必要はないかなと思える問題が出てくるようになると同時に,論証もある程度理解できるようになっていた。5周ほどしてもわからない問題については,基本書や演習書の関連箇所も読んで,理解の補助としていた。このように,基本書や演習書は,一番最初から通読していくのではなく,問題研究の復習がある程度進んだ段階で,専ら問題研究等を解いた際に生じた疑問を解消するために使っていた。また,コロナにより短答の延期が決まった後,6月下旬から,毎日,友人と2人で論文ナビゲートテキストの論証を出し合うようにした。これは,短答1ヶ月前から短答まで行わなかったのを除けば,東京大学法科大学院入試直前まで続けていた。これにより,論証が確実に定着した。その際,理解できていない論証については,丸暗記しようとせず,基本書や演習書等を読んで理解してから(時には自分好みに書き換えてから)記憶するようにしていた。さらに,短答後,論文直前期には,論文直前答練や予備試験の過去問を起案し,アウトプットに努め,時間内に書き切る練習を重ねた。

〈口述試験対策について〉

論文受験後,ロー入試もひと段落してから,友人らとともに,後述の過去問5年分を出し合った。同時並行で,大島本(入門編)を用いて要件事実をまとめたレジュメを作成したり,『基本刑法Ⅱ各論』や『基本刑事訴訟法Ⅰ手続理解編』を通読したりした。合格発表後は,まず,引き続き友人と残りの過去問を出し合った。そのうえで,口述の過去問の復習は2周ほど行った。また,上記の基本書を繰り返し通読したり,基本書で民事執行・保全の知識を確認したり,頻出条文の素読を行ったりした。いずれの勉強においても過去問で出た分野を中心に行ったので,その意味で,口述対策は過去問を中心に行ったといえる。 

学生生活との両立について

私は,前述のとおり,大学3年になって正式に法学部に進むまで伊藤塾の講座をため込んでしまっていたので,およそ学生生活と予備試験の勉強を両立できたとはいい難い。そのため,試験勉強と学生生活を両立させながらコツコツ勉強しようとするうえでは,私の合格体験記はあまり役立たないだろう。もっとも,私のように,大学1,2年でサボってしまっていたとしても,大学3年から切り替えて勉強すれば,在学中合格も間に合い得るのだということを知っていただければ幸いである。

法科大学院との併願について

法科大学院入試は,予備試験論文式試験の対策ができていれば,すなわち,問題研究の復習を何周も繰り返し行っていれば,別途特別に対策すべきことはないと思われる。特に,慶應法科大学院入試に関していえば,問題の癖が少なく,予備論文と大きな傾向の違いはないため,別途対策すべきことはないといえる。他方,東京大学法科大学院入試については,解答用紙にマス目があるという特徴があり,時間制限も特に厳しい上,とりわけ公法では(少なくとも去年までは)予備論文と比べて出題傾向に若干の相違があることから,本番同様の解答用紙を用い,時間を計測して,過去問を起案する必要くらいはあると思われる。

 
おわりに 

受験生の中には,私のように,一度入塾したはいいものの,様々な事情でカリキュラムから遅れてしまった人や,そもそも入塾した時期が遅く,周りと比べて遅いスタートとなってしまった人もいるだろう。私もそうであったが,そういった人は,周囲の学習進度の早い友人を見て,焦りを感じることもあるはずである。しかし,予備試験合格のためにすべきことは意外と単純であることを知ってもらいたい。とにかく着実に繰り返すことと,丸暗記ではなく理解を重視することである。応援しています。