しっかりした基礎と自分で考える力があれば、法科大学院入試には対応できます。

前池 裕美子さん(22歳)
 

立命館大学法学部4年
【合格校】
・中央大学法科大学院(既修、未修)
・早稲田大学法科大学院(既修、未修)
・立命館大学法科大学院(未修・半額免除学生)
【受講講座】
入門講座本科生+リーガルトレーニング、小論文対策講座実践編 など
  
※プロフィールは、2010年合格時点のものです。


はじめに

 私は、親の仕事の関係で企業における法律家の必要性を感じ、小さいころから法律家を目指し、大学も法学部に入学しました。念願の法学部に入学し、法律科目の勉強に励むつもりでしたが、アルバイトをしたり友人と遊んだりすることに一生懸命になってしまい、学部の法律科目の試験も落とす始末でした。目の前の楽しいことに夢中になってしまい当初の目標を思いだすことも少なくなったなか、このままでは大学に入った意味も無くなる、夢を夢で終わらせたくないと思い、1回生の冬に伊藤塾へ本科生として入塾しました。

私がとった勉強方法 

適性試験対策について

 適性試験については特に伊藤塾の講座は利用しませんでした。しかし、周りの友人たちは毎週のように適性試験模試を受けていたのに対し、自分は演習が足りていないと感じていたので受けられるのならば適性試験対策講座や模試は受けておいた方がいいと思います。
 私は過去問と1部の体系別問題集だけで勉強しました。最初から適性試験は得意で平均+15点くらいはとれていたのですが、試験まで1ヵ月を切ったころでスランプに陥り、平均点もとれないことが続きました。焦りもあり勉強すればするほど点数が下がる事態に自分ではどうしようもなくなり、伊藤塾のロースクールコンサルタントによるカウンセリングを受けました。このとき、的確なアドバイスをいただき、また落ち込んでいた私を励ましてくださったおかげで、当日は良い結果を残せたと思います。

小論文対策について

 既修者コースの合格を目指していましたが法律科目に自信がなかったため、未修者コースも併願しました。小論文対策は伊藤塾の小論文対策講座実践編で行いました。実際に試験までに答案を書き、添削指導を受ける機会を得ることで、自分の悪い癖や書かなければいけないポイントがわかってよかったです。

法律科目試験対策について

(1) 基礎的な法知識・法理論の修得について
 基礎的な知識の修得は専ら伊藤塾の基礎マスターで行いました。学部の授業にも満足についていけていない私でしたが、伊藤塾の講義は最初に全体像を示したり、具体例を交えて説明したりするので理解しやすかったです。
 講義中は講師の話す具体例やポイント、関連項目など少しでも気がついたところはどんどん基礎マスターのテキストに書き込むようにしました。そうすることで、講義中の理解も深まりますし、後でテキストを見直すときに内容を思い出しやすくなると思います。
 
 本来であれば、この後に講義内容の復習の話になるのですが残念ながら私は基礎マスターの段階での復習はあまりしておりませんでした。後述するように、このせいで論文マスターの時期は大変苦労したので、これから受講される方々はしっかり復習されることをおすすめします。どうしても復習の時間が十分にとれない方についても、講義中にしっかり内容を理解し積極的にメモをとることは最低限行ってほしいです。

(2) 実践段階の学習について
 実践段階の学習としては伊藤塾で論文マスターを受講しました。基礎マスターの知識の定着が不十分であった私にとって論文マスターの講義は大変難しく、最初はついていくのが必死でした。基礎が不十分なままこの講義を受けていても効率が悪いのではないかと思うこともありました。しかし、今思うと、ここでわからないなりにも必死に論文マスターについていくことが非常に重要であったと感じます。論文マスターの予習復習の際に、わからない部分は基礎マスターのテキストで調べるようにしていたので、論文マスターを受講しながら強制的に基礎マスターの復習の機会を作ることができました。また、実際にどのような形で論点を使うかを論文マスターで学ぶことで、基礎マスターではまだ漠然としていた知識が具体的にイメージできるようになり、より定着しやすくなったと感じます。 
 また、基礎マスターと論文マスターに共通して言えることなのですが、講師が論点や問題、定義などをA+、A、Bなどとランクづけしてくださるので、勉強していくうえでの大きな指針になりました。法律の勉強は範囲が膨大ですべてを理解するのは試験までの限られた時間においてはほぼ不可能に近いです。また、実際の法科大学院入試でも基礎がしっかりしており、現場で自分なりに考える力があれば細部の知識が多少不十分でも対応していける問題が多いです。なので、全体をじっくり勉強するよりは、重要ランクのものに優先的に目を通し、何度もそれを繰り返すことが有益であると思います。
 

パーソナル・ステートメント対策について

 ステートメント対策の講座は受講していませんでしたが、ロースクールカウンセリングで個別にアドバイスをいただけたことは非常に有益でした。
 パーソナル・ステートメントについては普段から自分のなりたい法曹像を具体的に持つこと、またそのために興味のある分野については積極的に情報収集をすることが良いのではないかと思います。
 

学部成績について

 前述の通り私は、学部成績は良くないほうなので、あまりアドバイスはできません。ただ、それでも合格することができたので、法律科目試験で挽回することができるものだと思います。なので、学部成績が悪くても、行きたい法科大学院に挑戦してほしいと思います。 
 もっとも、国立法科大学院ではやはり学部成績を重視する大学が多いということもありますので、まだ学部成績を上げる機会のある人はなるべく良い成績を修めておくようにがんばってください。

志望校の選択について

 私は入学後ビジネスローを学びたいと思い、まずその体制が整っている法科大学院に絞りました。しかし、程度の差はあれ私立法科大学院の難関校はほとんどがビジネスローヤーの育成を掲げカリキュラムを用意しているため、学びたいことだけでは絞りきれませんでした。そこで、新司法試験の実績や学習環境の充実なども含め受験校を決定しました。
 これから受験される方も、法科大学院に求めるものや入学してから勉強したいことも異なるでしょうから、志望校選択について「こうしたらいい」ということは非常に難しいと思います。ただ、私が思うのは「自分には到底無理だろう」と思うようなチャレンジ校も日程が許す限り積極的に受けてほしいということです。私も無理だろうと思っていた法科大学院に合格することができました。落ちるかもしれないけれど、そもそも受験しなければチャンスはゼロです。頑張って挑戦してください。

直前期と試験当日

 直前期はとにかく論文マスターのAランクの問題の答案構成と基礎マスターのA、B+ランクの論点の見直しを何度も繰り返しました。やることを広げすぎると中途半端になったり焦ったりすることになり、よくないと思ったからです。 
 また過去問は入手できるものはすべて解いて、当日の時間配分を考えたり、イメージを掴んだりしました。
 試験当日は、未知の問題が出たときこそ、「問題提起→規範→あてはめ」という当たり前の流れが崩れないように注意し、条文の趣旨からの説明を心がけるようにしました。

伊藤塾の学習と大学生活との両立、学習フォローについて

 私はインターネット受講で初めにだらけてしまいスケジュールが大幅に遅れたため、伊藤塾の受講日程どおりの受講はできませんでした。その分、時間のとれるときに一気に講義を聴きました。
 インターネット受講は自己管理が難しいですが、やる気さえあれば自由に受講スケジュールを組めるため、比較的容易に大学生活との両立ができると思います。こつこつやるタイプの人、時間があるときに一気にやるタイプの人、それぞれにあったスタイルで受講することがいいと思います。

入学前準備として

 中央大学法科大学院では10月に入学予定者を対象とした入学前説明会が行われます。そこで入学前に読んでおくべき基本書や判例、入学後使うテキストなどについての指示があるのでそれに沿って学習を進めていこうと思います。
 受験が終わって開放的な気分になり、遊びたい時期でもありますが、先生方や先輩方からも入学前の学習の大切さのお話をよく聞きますので、身を引き締めて勉強したいと思います。
 

合格後に必要なこと

 今日、弁護士の就職難や質の低下が問題視されています。しかし、まだまだ弁護士という職業は多くの可能性を秘めた魅力的なものであると感じています。就職難については、伝え聞いた話ではありますが、新司法試験の結果や法科大学院の成績などが考慮されるそうです。試験に合格するだけではなく一層勉学に励み、またそれだけではなく、法科大学院において自分がどのような法律家になりたいのかという具体的なビジョンを形成し、就職に備えることが大事なのではないかと考えています。

最後に

 私は、4回生になった時点ではかなり学習は遅れているほうでした。それでも志望した法科大学院に合格することができたのは、やることを絞りメリハリをつけたことにあると思います。具体的には4回生になってからは伊藤塾の基礎マスターテキストと論文マスターテキスト、試験の過去問のみを繰り返し、ほかの市販の参考書などは一切使用しませんでした。あまり手を広げず自分がこれと決めたものを繰り返すほうが効率がよいと思います。周りが色々なテキストを使って勉強していたりすると焦ったりもしますが、自分が決めたことを最後まで淡々とこなし合格を勝ち取ってください。
(2010年11月・記)