知識の整理・暗記の部分に、基礎マスターの講義とテキストは大きな効果を発揮すると実感しました。

村上 遼さん(21歳)
 

合格者イラスト
東京大学法学部4年
【合格校】
・東京大学法科大学院(既修)
・中央大学法科大学院(既修・全額免除学生)

【受講講座】
入門講座本科生

※プロフィールは、2010年合格時点のものです。


はじめに

私には、法律家になろうとした唯一の明確なきっかけがあるわけではありません。高校時代から漠然と弁護士になりたいという思いはあったのですが、大学に入学し、いろいろな法の授業を受けるうちに興味を高め、2年、3年と学年が上がるにつれて、「弁護士になって、社会をよりよくしたい」という思いが強くなっていきました。
伊藤塾に入塾したのは、法律に対する興味が高まりつつあった2年生の冬です。もちろん学校の授業は興味を持って聞いていたのですが、厳しい法科大学院入試を突破するにはきちんとした試験対策が必要だと考えたこと、将来の司法試験まで見据えた伊藤塾のカリキュラムに共感したことから、入塾を決めました。

私がとった勉強方法 

適性試験対策について

法科大学院入試の1つ目のステップは、適性試験です。適性試験前には、それまでの法律科目中心の勉強から適性試験対策中心に切り替えて勉強をしました。勉強の内容は、問題をたくさん解いて考え方をしっかりチェックすることに尽きます。私は市販の過去問集と伊藤塾の適性試験模試を併用して、十分な問題量を確保しました。適性試験模試の後は解説講義と解答冊子をチェックしたうえで、解く順番は良かったか、時間を短縮できるところはあったかなど、自分の中で反省点を挙げ、次の模試や過去問演習に活かすように努めました。

法律科目試験対策について

(1) 基礎的な法知識・理論の修得について
勉強の中心となるのが、法律科目対策です。インプット中心の講座として基礎マスター、アウトプット中心の講座としてリーガルライティングを受講しました。
私の場合、入塾したのが2年生冬ということもあり、大学の授業の方が先行している科目が多くありました。そこで、基礎マスターは一度学んだ基礎的な法知識の再確認が中心になりました。講義後には時間をおいてテキストを何回か読み返して、知識のチェックと忘れてしまったところのインプットを繰り返しました。法律科目において、暗記という作業は非常に重要です。本番はその場で考えればわかる、などと考えて暗記をしないでいると、結局何も書けずに終わってしまいます。その知識の整理・暗記の部分に、基礎マスターの講義とテキストは大きな効果を発揮すると実感しました。テキストは、よく整理された形で書かれていて復習がしやすく、講義も、基本的な考え方の説明が充実しているだけでなく、どこをどのように覚えればいいかが明確になるように進んでいきます。
私の場合、大学で使った教科書もインプット段階で用いました。基礎マスターで整理した知識をベースに、必要に応じて教科書を参照し、受動的に暗記するだけでなくいろいろな考え方を比べ、わからないなりにも自分で考えてみることで、問題点に対する理解も深まりました。

(2) 実践段階の学習について
基礎マスターがある程度進むと、リーガルライティングを受講しました。これは問題を使ったアウトプット中心の講座ですが、ここで私は「わかったつもりでいても答案は書けない」ということを強く実感しました。自分の知識の足りないところも見えてきます。今まで気にしたこともなかった疑問点も浮かんできます。問題を解くという観点からすると、それに相応しい知識の整理の仕方が必要である、ということにも気づかされました。非常に学ぶところの多い講座でした。 
疑問点がわいてきたときには、それを徹底的に調べて、モヤモヤを残さないように心がけました。問題1問勉強するだけでも、基礎マスターのテキストのいろいろなところを参照し、判例集・大学の教科書も参照し、それでもわからないときは法学教室など学生向けの連載も参照しました。この過程で、根本的な問題点がどこにあるのか、どのような考え方があるのかなど、たくさんのことを学べたと思っています。

パーソナル・ステートメント、面接対策について

入試前になると、パーソナル・ステートメントを準備しなければなりません。私の場合は、パーソナル・ステートメント対策講座である程度考えがまとまったおかげで、あまり苦労せずに仕上げることができました。講座のテキストに挙がっている具体例も非常に参考になりました。また、勉強に疲れた時などに「明日の法律家講座」を受けて触発された部分もありました。「明日の法律家講座」は第一線で活躍する実務家の話を聴ける貴重な機会なので、早い段階から時間を見つけて受講することをおすすめします。
入試直前期には、なるべく科目の全体を見渡す機会を持つようにしたことの他は、直前だからという理由で特にやったことはありません。変に張り切ったりはせず、これまでの積み重ねを信じて、知識の抜けがちなところをチェックしていくことを心がけました。本番も、自信を持って試験に臨むことができました。
もちろん入試当日まで、受験勉強だけをしていたわけではありません。大学の授業もあり、試験もあり、音楽系のサークル活動も続けていましたし、週1回ですが1年生の時からやっているアルバイトもやめずに続けました。

伊藤塾の学習と大学生活との両立、学習フォローについて

大学の授業に関しては、受験勉強を想定してなるべく単位を早めに取っておくようにしたおかげで、時間には比較的余裕がありました。サークル活動やアルバイトは、勉強が続いてモチベーションが下がったときの良いリフレッシュになりました。もちろん法律科目には積み重ねが重要ですから、ある程度の勉強時間を確保することは必要です。しかし、それ以上に大切なのは、目いっぱい集中して勉強し、気が向かなくなったり疲れたりしたら休む、という切り替えだと思います。
また、法科大学院入試までには複数の試験を受けます。そこで、1つの試験が終わった後には、例えば趣味に使う時間を少し増やし、次の試験が近づいたらまたそれに向けて気持ちを高めていく。こうして上手く気持ちを前へ向けていくことで、最後まで嫌にならずに、気持ちに少し余裕を持ちながら勉強を続けることができたと思っています。

合格後に必要なこと

合格後に関しては、もちろん不安もあります。最近では、制度目的の1つであったはずの未修者枠の削減が続き、科目を増やして学生の暗記量を増やし、新司法試験合格率はトップの法科大学院でも当初公言された数値に遠く及ばないなど、理論と実務の架橋を謳った法科大学院と新司法試験制度そのものが揺らいでいるようにも見え、私自身も疑問を感じることが多くあります。しかし、制度のせいで法律家になれないということほど悲しいことはないとも思います。たとえ欠陥の多い制度であろうともそれを乗り越えるのだと自分に言い聞かせながら、これからも勉強を続けていくつもりです。

最後に

最後になりますが、これから勉強を始める方へ私が感じたことを伝えたいと思います。勉強の過程で常に完璧を求めようとすると、無理がきてしまいます。量の多さに呆然としてしまうこともあるでしょう。スポーツと同じように、勉強は本番に向けてコンディションを整えていく過程だと考えることが必要です。とりあえず講義を聴いてみる、とりあえずテキストを開いてみる、まずはできることから始めていってください。

(2010年10月・記)