仕事と両立して合格できたのは、質問制度の多用と暗記カードの作成が要因です。

K . A さん(26歳)
 

東京大学文学部卒業
【合格校】
・東京大学法科大学院(既修)
・慶應義塾大学法科大学院(既修)
・中央大学法科大学院(既修)
・早稲田大学法科大学院(既修)
・明治大学法科大学院(既修・全額免除学生)

【受講講座】
入門講座本科生、論文の基礎ゼミ、パーソナル・ステートメント対策講座、慶應・中央ロースクール突破小教室 など ※プロフィールは、2010年合格時点のものです。


はじめに

私は大学卒業後、民間企業に就職をしてから法曹を志すことを決意しました。仕事の面白さを感じることもありましたが、営利性を追求する生き方よりも、公益性を持ちながら社会に貢献していきたいと思うに至ったためです。大学卒業後から勉強を始めることとなり、短期間で効率的に勉強できる環境が不可欠でした。そこで、いくつかの受験指導校のガイダンスに出席し、ガイダンスでの法律の概要の解説がとてもわかりやすかったことを理由に、伊藤塾への入塾を決めました。本文を通じて、社会人の方で未修者コースでの入学を考えていらっしゃる方に、既修者コースでの合格の可能性も十分ありうることをお伝えできればと思っています。

私がとった勉強方法 

適性試験対策について

適性試験対策において私がとった方法は、適性試験模試の受講と過去問演習です。適性試験模試を受講したことで、試験中の時間配分、特に、時間が不足した場合の対処方法を学ぶことができました。適性試験を対策するうえで特に大切なことは、早い段階で一度過去問を解き自分のレベルを知ること、そして適性試験対策講座などで解法を学ぶこと、と考えています。

法律科目試験対策について

(1) 基礎的な法知識・法理論の修得について
法律の基本は、基礎マスター講義で身につけました。基本的にはライブ講義に出席しましたが、仕事の都合で欠席したときはWebで受講でき大変重宝しました。社会人の方には、ライブ講義に参加することをおすすめします。なぜなら法科大学院入試は情報戦の側面があり、ライブ講義に参加することで勉強仲間ができ、情報が入手しやすくなるからです(もちろん、モチベーションも高まったり、他の受講生とアドバイスし合えたりなど他の利点も多数あります)。
 (2) 実践段階の学習について 基礎マスターで基本的な知識を覚えたものの、論文マスターや答練において実際に答案を書くこととの間には、大きなハードルがありました。それは、知識を幅広く問うてくる問題が多いため理解が追いついていないこと、そして、それらを理路整然とした文章へと紡いでいく技術が不足していたことが原因だったと思います。そのハードルを越えるために大変役に立ったのが、論文指導のゼミの受講です。ゼミにおいて、論文の型、流れを学ぶことができ、知識を論文の形でアウトプットする方法を身につけることができました。
ゼミに加えて、私の実力を大きく高めてくれたのはベーシック論文答練の受講です。ベーシック論文答練では出題範囲が予め決まっているのですが、私は、範囲内の問題の解き方・論証を全て覚え、それを再現する場としてこの答練を活用しました。解くのではなく、覚えていることを再現する場としたことで、準備の段階において法律の基礎を固められたと思います。法科大学院入試特有の対策については、旧司法試験の論文試験の過去問演習ばかりをやっていて、法科大学院入試の過去問演習はあまりやっていません。もっとも、法学既修者試験などにおいては、憲法の判例の知識が不可欠となりますので、旧司法試験の択一試験の過去問や、別途判例についての講義を受講することを強くおすすめします。

パーソナル・ステートメント、面接対策について

パーソナル・ステートメントにおいて最も気を使うべきことは、見知らぬ読み手が一読して内容が読み取れる文章となっているかどうか、ということです。パーソナル・ステートメントにおいては、自分の過去の経験や育ってきた環境など、ともすると複雑な内容を説明することになりますので、前提知識のない人には内容が読み取れないことになりかねません。そこで、友人によるチェックやパーソナル・ステートメント対策講座での添削を活用して人に読んでもらう機会を作るといいでしょう。

学部成績について

学部成績は、社会人にとってはつらいところで、もはや変更ができません。そのため、向上できるところに目を向けるしかなく、TOEICや適性試験で点を取りに行くのが得策です。TOEICは対策方法が巷に溢れており、英語の実力ではなくテクニックを知ることで50~100点スコアを上げることも可能です。なお、TOEICは思いのほか締切りが早くまたスコアが郵送されるまでに時間がかかりますので、早めに着手しておくといいと思います。

志望校の選択について

志望校の選択については、賛否あるかと思いますが、私は合格率を一番の指標としました。なぜなら、もちろん自分の新司法試験合格が確率論として高まることもありますが、なにより優秀な学生が集まりやすく、彼・彼女らと切磋琢磨することでより実力を高められると思ったからです。また、合格率が高い大学院は、世間一般としての学歴の評価も高いところが多いです。自らの最終学歴となるであろう法科大学院の選択において、合格率、そして学歴というのは無視できない要素です。

直前期について

試験直前はこれまで作ってきた「定義カード」「論証カード」を全て確認し、知識の再確認をしました。しかしながら、残念なことに試験の直前になっても出題範囲の学習がすべて終わらず、直前期も、試験前日深夜も、試験当日早朝も新しい論証の暗記を同時に続けていました。「試験の日には体調を万全にして…」というのが、適切な試験当日までの過ごし方かと思いますが、全く逆行した過ごし方をしていました。とはいえ、最終的に希望していた私立法科大学院に合格することができ、最後まで諦めないことの重要さを改めて感じております。

伊藤塾の学習と仕事との両立、学習フォローについて

平日は仕事があると、どうしても勉強時間は限られてしまいます。私が仕事と両立しつつも、合格できたことには、以下2つの要因があると考えています。
まず、質問制度を多用したことです。校舎において質問に答えてくれるクラスマネージャーに疑問点をたびたび伺いました。人に話すことで自分の疑問点がより明確になり、またクラスマネージャーが懇切丁寧に回答してくださり、勉強において不可欠の存在でした。
そして、移動時間を活用すべく「暗記用のカード」を作成したことです。定義や論証を記載しこれを移動時間などに音読をしながら覚えるようにしました。

入学前準備として

短答マスターを受講し、各法律の条文についての知識を深めたいと思っています。また、書く力を高められるよう論文作成も定期的に行なっていくつもりです。新司法試験受験まで約2年半であり、また、入学前に自由に使える貴重な半年ですので、これまでのペースを変えず勉強を続けていこうと思っています。

合格後に必要なこと

私は、一般市民のために法律サービスを提供できる弁護士となりたいと考えています。突然の解雇にあったなど、日常生活で急に訪れる危機的状況において力を発揮できる存在になりたいです。そのために、法科大学院においては、消費者法や労働法を学ぼうと考えています。また生活に切り離せない法律を、多くの人が無知無関心である現状を奇妙な状況と感じており、法律の知識を社会に広げていくような活動にも興味があります。就職難など不安要素も報道されることもありますが、来年がどのような状況になっているのかは誰にもわかりません。今日という一日が24時間であることは変わらないことなので、まずは今日できることをコツコツと続けていこうと思います。

最後に

私が、私立法科大学院に合格できた勝因を一つあげるとすれば、「音読」です。多い日は、「暗記用のカード」を用いて、5時間以上定義や論証を声に出して唱えていました。法科大学院の試験は、論文が書けるかというアウトプットの力が試されていますが、声に出すことも同じくアウトプットの一種であり、書くことに比べて何倍も速いスピードでアウトプットすることができます。そう、声に出すことで、何倍速ものスピードでアウトプットする力を高められるのです。私が仕事をしつつ、2年間の学習で合格することができたのは、音読のおかげだと思っています。
もちろん、伊藤塾講師、スタッフ、たくさんの勉強仲間のみんなにも大変助けられました。本当にありがとうございました。とはいえ、単なる一つの通過点ですので、また引き続き勉強していく所存です。今後ともよろしくお願いいたします。

(2010年9月・記)

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