働きながら勉強していた私にとって、手軽に受講できるインターネットはとても便利でした。

S.K さん
 

国立大学法科大学院(既修)修了
◆出 身 大 学/国公立大学文系学部卒業
◆受 講 講 座/入門講座本科生、本試験シミュレーション
 
※プロフィールは、2010年合格時点のものです。  

はじめに

私が法律家を目指したきっかけは、仕事でコンプライアンス関係の業務をしており、法学部出身でない私は基礎から法律を学びたかったこと、今後、女性として出産・育児に関わるにあたり、会社員と異なり仕事の時間・量を調整することができる弁護士という職業が魅力的に感じられたことです。伊藤塾に入塾したのは29歳のときでした。数ある司法試験の受験指導校の中で伊藤塾に決めた理由は、伊藤塾しか知らなかったからです。インターネットで検索し、他の受験指導校と比較検討することもできましたが、伊藤塾のホームページにて塾長の憲法に対する想い・受験指導に対する熱意を知り、即座に入塾を決めましたので、他の受験指導校のホームページを見ようという気はおきませんでした。

私がとった勉強方法 

基礎的な法知識・法理論の修得

基礎マスターのテキストの読み込み・講義の録音の聴き直しを何度も行いました。とにかく、習うより慣れろだと思い、体に染み付くまで基礎マスターのテキストを読みました。基礎的知識の修得は、法科大学院の入試・新司法試験に必須です。私が卒業した法科大学院の入試は、例えば刑事訴訟法の問題では、基本事項を説明させた後に、それがどのように手続に反映されているかという問題でしたので、そもそも正確な基礎的知識が書けなければ点数がつかないようになっていました。また、ヒアリングにある通り、新司法試験で差がつくのは基本知識の正確さですし、応用問題は、当該問題と類似の基本判例・典型事例と比べて私はこう考えるという書き方になるはずですから、やはり基本を押さえることは重要だと思います。

短答式試験対策について

全ての科目につき、過去問を数度解き、全ての問題を理由付けも含めて完璧に答えられるようにしていました。そして、気になることは択一マスターのテキストに書き込み、過去問を解くたびに択一マスターの該当箇所を読みました。 
さらに、全ての科目につき、百選及び重要判例集の読み込みもしました(これは論文対策も兼ねていました)。

論文式試験対策について

公法系については、憲法は基礎マスターのテキストに小山剛先生・芦部先生・長谷部先生の基本書の内容を付け足してオリジナルテキストを作り、それを読み込みました。もっとも、憲法は覚えることは少なく、試験現場において各々の当事者の立場から主張を考えつくことができるか、これらの主張を利益衡量することができるかが重要です。そこで、塾長がいつもおっしゃっているように、新聞などを読んでどのような憲法上の問題があるか、どう主張するかを考える訓練をしていました。行政法については、伊藤塾がすすめていた桜井先生・橋本先生のテキストに塩野先生・宇賀先生の基本書の内容を付け足してオリジナルテキストを作り、それを読み込みました。また、問題演習については「事例研究行政法」を2度解きました。
民事系については、民法は基礎マスターのテキスト、要件事実は法科大学院の授業のノートを使ってインプットしていました。会社法は、神田先生のテキスト、ゼミで行った「事例演習教材会社法」のゼミノート、法学教室の「事例で考える会社法」、判例百選、重要判例集を使ってインプットをしました。民事訴訟法は、ロースクール民事訴訟法の授業ノート及び「試験対策講座」でインプットをしました。 
刑事系については、刑法は基礎マスターテキスト、判例百選、重要判例集を使ってインプットをしました。刑事訴訟法は、「試験対策講座」、判例百選、重要判例集を使ってインプットしました。判例と類似問題が出た場合に判例との比較を書けるようにするため、判例を読む際は事案を覚えるようにし、判例が事案のどの事実に着目してどのような判決をしたのか、判例の規範の当てはめにはどのような事実が使われているかを意識して読みました。どの科目もアウトプットはあまりしておらず、優秀答案をひたすら読み込み、優秀答案の共通点を見つけるようにしていました。

直前期の対策について

忘却対策のため、1日1~2科目勉強するという方法をとりました。直前期も殆どの時間をインプットに割いていましたが、1時間で書ける問題(旧司法試験の過去問・法学教室の演習など)を毎日1問書いていました。

伊藤塾の受講スタイルとフォロー制度について

伊藤塾はインターネット講義があったことが、とてもよかったと思います。私が入塾した当時は伊藤塾だけがインターネット講義を行っており、当時働きながら勉強していました私にとっては、いつでもどこでも手軽に受講できる環境は必須でした。DVDによる受講ではDVDとプレーヤーを常に携帯しなければ受講できませんが、インターネットであれば、実家に帰った時・会社の昼休み・新幹線の中などでパソコンとテキストさえあれば受講することができ、とても便利でした。 
また、私は基本的に1人で勉強していたため、クラスマネージャーに気軽に質問できるようになっていたこともよかったと思います。

法科大学院の受験対策、伊藤塾の活用

私が卒業した法科大学院では受験対策を全くしてもらえず、先生の前で新司法試験対策について言及することすら許されないような雰囲気でした。そのため、自分で市販の問題集や受験指導校を利用するなどしなければ受験対策はできませんでした。
法科大学院の2年生以降の授業は全て応用問題であり、コンスタントに自分で網羅的に基礎知識を確認しなければいけない状況でした。また、法科大学院での課題・予習は特定の論点を深く研究するものや、判例全文(反対意見なども含め)を読み込むものなど相当時間がかかるものが多く、科目によっては毎回6時間近く予習をしていく必要がありました。そのため、多くの学生は授業の予習・復習を受験勉強の延長と位置づけるのではなく、受験勉強とは別物と考え、授業の予習・復習はある程度やって切り上げ、受験勉強の時間を別途設けるというやり方をしていました。

学習スケジュールの管理について

私は、エクセル表を用いて、月単位の目標設定、週単位の目標設定、日単位の目標設定、これら目標を達成するために今やるべきことを時間単位で設定し(何を何ページまで読むかなど)、細かく管理していました。そして、あとは何も考えずにひたすらスケジュールに書かれていることをこなすというようにしていました。スケジュール通りにいかず遅れてしまった場合は、どこかで徹夜をしたり授業を休むなど無理をして帳尻を合わせるのではなく、すぐにスケジュールを修正するようにしていました。一番大事にしていたことは、毎日同じ時間に勉強を開始し、同じ時間に勉強を終え、ペースを乱さないことでした。
このように、スケジュールを細かく管理し、ペースも乱さないようにすると、感情に流されず勉強できるようになり、スランプに陥ることも殆どありませんでした。
 

合格後に必要なこと

法律家に必要とされることは、体力と折れない心だと思います。法律家になって最初の5~10年は将来どのような法律家になるかを決定付けるために非常に重要だと思います。この間にどのような人・仕事に出会い、どれだけ吸収できるかで将来が決まると思います。そこで、この間に十分に働けるような体力があればあるほど有利なのではないかと思います。また、司法試験の合格はスタート地点にたったということです。そこからどれだけ素晴らしい法律家になれるかは今後の努力次第です。全く未知の難題にぶつかっても、負けて叩かれても諦めず切磋琢磨して向上し続けることができるような折れない心が必要だと思います。弁護士の就職難が取りざたされてはいますが、就職難は弁護士に限ったものではありません。他の職業同様、自分を磨いて競争していくただそれだけのことだと思っています。

最後に

私は、旧司法試験の勉強を始めてから、退職・結婚、法科大学院入学、出産・育児、法科大学院卒業、司法試験合格という道をたどりました。途中、諦めようと思ったこともありましたが、諦めず勉強し続けたおかげで、やっとスタート地点に立つことができました。受験生活を支えてくれた夫・紆余曲折にも呆れずに交流を続けてくれた友人にはとても感謝しています。
 
(2010年11月・記)