ペースメーカー論文答練の問題は現場思考型で本番の問題に近いため、時間配分の練習に良い教材でした。

A.Bさん(29歳)
 

上智大学法科大学院(未修)修了
◆出身大学/京都大学法学部卒業
◆受 講 講 座/ペースメーカー論文答練
 
※プロフィールは、2010年合格時点のものです。  

はじめに

私が弁護士を志したのは、身近な法律紛争において困っている人のために何かできればという素朴な気持ちからでした。それに加えて、女性が一生働き続けるためには、資格を持っていたほうが有利なのではという気持ちもありました。
伊藤塾の講座を利用したのは合格した年が初めてです。1月~2月にペースメーカー論文答練第2クール、2月~3月に第1クールを受講しました。これらの講座を利用したのは、他の受験指導校の論文答練と比較して、伊藤塾の論文答練はより現場思考型で本番の試験に近いと感じたからです。

私がとった勉強方法 

基礎的な法知識・法理論の修得

基本を確実におさえることが重要だと思います。例えば、書店にある中で最も薄い教科書を何度も読んで、確実に記憶するような勉強が重要です。法科大学院では膨大な判例や資料を読みますが、そういった勉強をしても基本的な知識がついていなければ吸収することができません。私がそうだったのですが、覚えることが苦手な方は、早期に短答式試験や法学検定の勉強をしてみると役立つと思います。

短答式試験対策について

私は1回目の受験の際には短答式が弱く、模試では合格推定点に遠く及ばない状態でした。この年は、商事法務のタクティクスを各科目3回解きました。1回目に解く際には、並行して問われた部分について手持ちの短答式六法や判例六法に印をつけていきました。2回目・3回目は、しるしをつけた短答六法や判例六法をテーマごとに読んではタクティクスを解きました。これにより、1回目の受験ではぎりぎり短答式試験を通過することができました。
2回目の受験の際には、タクティクスを2回繰り返し、併行して短答式六法や判例六法を見直しました。この年は費やした時間の割に点が伸びず、全体平均点と合格者平均点の中間くらいの点でした。
3回目の受験の際には短答式対策は3月以降しかやらなかったのですが、インプット中心で勉強しました。具体的には、短答六法と判例六法を読み込みました。タクティクスは1回チェックしましたが、解くというよりは読む程度でした。3回目の受験では短答式にはあまり時間をかけませんでしたが、直前期に集中して短答式対策をしたのがよかったのか合格者平均+15点くらいの点を取ることができました。

論文式試験対策について

1回目の受験の際には、短答式の点が伸びなかったため、年明け以降は論文の勉強をできませんでした。
2回目の受験の際も、短答式に自信がなかったことから、論文式にかける時間がやや不十分でした。また、問題演習はしていたものの時間制限を厳格に守っていなかった点、規範の記憶にとらわれすぎて考える練習をおろそかにしていた点が失敗でした。
3回目の受験では、短答式の勉強は3月までほとんど手をつけず、論文式中心に勉強しました。私は時間配分で失敗することが多いので、ペースメーカー論文答練を通学受講し毎週答案を書きました。ペースメーカーの問題は他の受験指導校の問題に比べて現場思考型で本番の問題に近いため、時間配分の練習をするには非常に良い教材だったと思います。インプットに関しては、基本的には読みなれた教科書・ノート類を読み直しました。それに加え、行政法については事例研究行政法の問題、民法・刑法・民事訴訟法・刑事訴訟法については旧司法試験の問題について、苦手分野のみ模範答案をつくり何度も見直しました。また、商法と行政法については主要な訴訟類型の訴訟要件とそれにまつわる論点を意識しておさえました。さらに、各科目について、六法を速くひけるよう試験用六法にしるしをつけて見直したり、商法に限っては一部条文番号を覚えたりもしました。

直前期の対策について

直前期にはインプットに走りたくなりますが、アウトプットの勉強もしっかりするべきです。本番の試験では時間との戦いになりますが、直前期にアウトプットを重視した勉強をすることにより解くスピードを上げることができるからです。逆に、いくら数か月前にアウトプットの勉強をしっかりやっていても、直前期にやらなければ感覚が鈍り、本番ではスピードが落ちてしまいます。私は短答式については、直前2~3週間内に過去の模試や過去問をいくつか解きなおしました。
論文式については、ペースメーカー論文答練が終わってからも週に1回は4時間の問題を解いて、感覚が鈍らないようにしました。また、各科目の論文の書き方が本番ですっと出てくるように、直前2~3週間内に全科目の答案を少なくとも1回は書きました。さらに試験の前日~当日の朝には、これから受験する科目の自作の答案を1枚見直し、その科目の答案の書き方を思い出しました。

伊藤塾の受講スタイルとフォロー制度について

私はペースメーカー論文答練を通学受講しました。答練は可能であれば通学受講することが望ましいと思います。他の受験生がいる教室で、より本番に近い状態で答案作成の練習ができるからです。
解説についてはインターネットを使い、自宅で視聴しました。時間帯を気にせず解説冊子に目を通してから視聴できる点、調べ物をしたりやメモをとるために一時停止できる点、2倍速で視聴することが可能な点が便利でした。

法科大学院の受験対策、伊藤塾の活用

法科大学院での勉強は、根本的な法的思考能力を身につけたり、長い文章に慣れたりするうえで非常に有意義でした。ただ、凡人が新司法試験に受かるためには、それに加えて試験対策をすることが必要です。短答式であれば、問題集を解いて試験で問われやすいポイントをおさえること、模試を利用して問題演習をすることなどが必要です。論文式であれば、自分なりの論文の書き方を確立すること、初見の問題について時間内に答案を作成する練習をすることなどが必要です。
私は論文を解く練習をするため、伊藤塾のペースメーカー論文答練を利用しました。1度目、2度目の受験で時間配分での失敗を繰り返した私が3度目の受験でそのような失敗をしなかったのは、他の受験指導校の答練に比して本番の問題に近い伊藤塾の答練で場数を踏んでいたためだと思います。

学習スケジュールの管理について

学習スケジュールの管理は、浪人生の場合、なかなか難しいものだと思います。特に私は、最後の1年間、ロースクールから離れた土地でゼミも組まずに勉強していたので、なかなか勉強のペースをつくれず苦労しました。年内には自分のたてた学習計画から大きくはずれた勉強しかできず、危機感を覚えて年明けからペースメーカー論文答練を受講しました。
ペースメーカー論文答練では、各クールで公法系・民事系・刑事系の試験範囲をすべて網羅しています。このため、次の週の答練の科目のインプット作業をしては答練に参加する作業を繰り返すことで、無理なく試験範囲を2回繰り返し復習することができました。

合格後に必要なこと

最近では二回試験の合格率の低下や弁護士の就職難が取りざたされており、合格後も自分の能力を磨き続けることが今まで以上に必要な時代になったのだと感じています。やはり弁護士間の競争が激しくなれば、何か得意分野を持っていると強いのではないかと思います。私はまだ何を専門にするかは決めかねていますが、勉強を続ける中で、自分のやりたい分野、向いている分野を模索していこうと考えています。

最後に

合格のためには、勉強の量だけではなく、勉強の方向性を間違えないことが非常に重要です。勉強法は人により向き不向きがありますが、自分が本試験の過去問を解く際どこでつまずくかをヒントに、自分に合う勉強法を見つけてください。   (2010年11月・記)