伊藤塾で身につけたリーガルマインドは、法科大学院の授業や新司法試験に役立ちました。

M.Mさん(26歳)
 

一橋大学法科大学院(既修)修了
◆出身大学/国立大学工学部卒業
◆受 講 講 座/入門講座本科生
 
※プロフィールは、2010年合格時点のものです。


はじめに

 私は、知的財産分野の弁護士になろうと思い、大学を卒業した2006年の4月から伊藤塾に入塾しました。伊藤塾に決めた理由は、大学の友人にリサーチをして評判がよかったからという安直な理由でしたが、今振り返ってみるとあの時入塾してよかったと本当に思います。
私は学部が工学部だったため、法律の勉強は全くしたことがなく、正直不安で仕方ありませんでしたが、伊藤塾長の基礎マスターの講義は初心者の私にも非常にわかりやすく、毎回授業に行くのが楽しみで仕方なくなり、そのような不安は杞憂に終わりました。
私は大学を卒業して勉強を始めたので、授業がない日は正直ものすごく暇で、基礎マスターの予習復習をしてもかなり時間が余っていました。この暇な時間を有効活用するために、本来なら次の年度に受講する予定だった商訴完全マスターを8月から受講することにしました。このコースを受講したことで時間が余るということはなく、むしろ、基礎マスターの復習と商訴完全マスターの復習で時間に追われるようになりました。ただ、ここで踏ん張ったことで法律のイメージが掴めたような気がします。

 私がとった勉強方法

基礎的な法知識・法理論の修得について

 上述したように、私は基礎的な法知識・法理論については、全部伊藤塾の基礎マスター・商訴完全マスターで修得しました。しっかり基礎を教わったからこそ、伊藤塾に入塾した翌年に中央大学と一橋大学の法科大学院の既修者コースに合格することができました。勉強を始めてから日が浅かったため、Bランク、Cランクの論点を押さえることはなかなかできませんでしたが、それでもA+、A、B+ランクの論点をしっかり押さえることを心掛ければ、現場でB、Cランクの論点が出題されてもしっかりと論述することができました。 
法科大学院に入学してからは、なんとなく受験指導校の教材から離れてしまいましたが、それでも基本書を読み込んだり、法学教室の連載を読んで理解するときの土台は間違いなく伊藤塾の講座によって培われたものだと思います。

 短答式試験対策について

 私は短答式試験が得意ではありませんでした。ただ、周知の通り、去年から論文式と短答式の配点が変更され、短答式で差がついても論文式で十分に逆転可能になりました。以前までなら短答式で300点近く取って、先行逃げ切りを図るのが合格の定石だったように思われますが、これからはそれができなくなるということもあって、短答式は260点位を目標にすればいいと考え、かなりぬるめに短答式対策の計画をたてました。
具体的には、過去問を3回解くこと、判例百選(刑法と会社法は判例集)を読むことで、憲法の統治、民法の家族法、商法総則・商行為については肢別問題集を使って知識の補充をすることにしました。今年の短答式試験は、試験場で解いている時は非常に難しく感じて門前払いされるのではないかと気が気でありませんでしたが、結局短答式は256点だったので、ある程度予定通りの点に落ち着きました。

論文式試験対策について

論文式試験の対策は、以下のような対策をしました。
憲法は、判例百選と「立憲主義と日本国憲法」(高橋和之)を読んで終わらせました。過去の問題を見る限り、憲法の問題は小論文に近いような印象を受けたので、費用対効果を考えると深入りしない方が得策かなと思い、このような対策にしました。
行政法は、原告適格と処分性の論証を準備して、あとは判例百選と最近の重要判例の調査官解説、法学教室の山本隆司先生の連載を読んでいました。本番は住民訴訟が出たので、上記対策はあまり役に立ちませんでした。
民事系は、民法は法科大学院で使用した「民事法」Ⅰ~Ⅲをやり、「民法の基礎」〈1〉〈2〉(佐久間)、「プラクティス債権総論」(潮見)、「民法講義Ⅳ-1契約」(山本敬三)を適宜通読していました。民事訴訟法は、「解析 民事訴訟」(藤田広美)を3回くらい繰り返して読み、百選の著名な人の解説をしっかり読みました。会社法は、法学教室に連載されていた「事例で考える会社法」を何回も読み、また、「会社法100問」を適宜解いていました。
刑事系は、刑法は、受験新報に連載されていた大塚先生の演習を4年分解き、また「事例演習刑法」という教材を一日一題書いていました。刑事訴訟法は、「ロースクール刑事訴訟法」を読み、受験新報の亀井先生の連載を解き、百選と「時の判例」を読み込んでいました。「時の判例」は、最高裁調査官が書いている調査官解説の簡易版なので、直前期に知識の確認をするのに非常に適している教材だと思います。

直前期の対策について

直前は少し息切れしてしまい、なかなかやる気が出なかったので、環境を変えるべく家の近くの図書館へ行き、佐藤博史弁護士の書いた「刑事弁護の心・技・体」なる本をずっと読んでいました。なかなかエッジの利いた本で、勉強する意欲をかきたててくれました。それからは、「ジュリスト」や「判例タイムズ」の最新号を読んで試験に臨みました。友人の中には直前模試を受けている人もいましたが、私は金銭的な問題と時間的な制約を考えて受験しませんでした。家で勉強をしていると、他の人がどれだけ勉強しているかわからないし、受験生の中での自分の位置もわからないので、直前模試はなるべくなら受けた方がいいのかなと今は思っています。

伊藤塾の受講スタイルとフォロー制度について

伊藤塾の受講スタイルで秀逸だと感じたのは、インターネット講義です。伊藤塾に入塾した年の8月に商訴完全マスターを受講しようと決めたとき、すでに民事訴訟法の通学講座は終わっていましたが、インターネットで民事訴訟法の講座を受講することが容易にできました。これによって、8月からの刑事訴訟法の講座をスムーズに受講することができたと思います。

法科大学院での受験対策、伊藤塾の活用

法科大学院では地理的な制約があって(国立は山奥なので、伊藤塾がある渋谷などへは遠いのです)なかなか伊藤塾を利用することはできませんでした。ただ、法科大学院に入るまで伊藤塾で身につけたリーガルマインドは、確実に授業で役に立ったし、択一マスターの民法は新司法試験の現場に持っていくくらい重宝しました。

学習スケジュールの管理について

学習スケジュールについては大まかにしか立てませんでした。基本的に私は自堕落な性格なので、細かく計画を立てても実践できるかどうか不透明だと思ったからです。

合格後に必要なこと

合格してから必要なことは、どのような法律家になりたいのか明確な将来像だと思います。これがしっかりしている人は就職もおそらくすぐに決まるはずです。そして将来像がしっかりしていれば、辛く長い勉強生活も耐えられるはずです。

最後に

合格してから色々な人からおめでとうメールをもらって初めて自分が色々な人に支えられていたことに気づかされました。これから少しでも恩返しできたらと思っています。
(2010年11月・記)