はじめに

 私が法律家を目指したきっかけは、大学時代に所属していたサークルの先輩との出会いでした。その先輩は絶え間ない努力で司法試験に合格され、弁護士として働いていました。先輩は日々忙しい生活を送られているのに、疲れを感じさせず、熱意をもってやりがいを熱く語っていました。その先輩の姿に憧れ、法律家を目指すことにしました。
受験指導校を伊藤塾に決めたのは、通学受講を選んでもインターネット講義がついていたことが理由でした。インターネット講義は自分が都合の良い時間に繰り返し聴けます。また、せっかく電車で通学しても講義中に講師が教えてくださることを全部メモすることはできないと思い、何度もその場で聴き直してメモができるこの体制が私にはあっていると思ったのです。
 

私がとった勉強方法

基礎的な法知識・法理論の修得について

 私は法科大学院を受験する際に基礎マスターと論文マスターを受講しており、この講座で基本的な知識・法理論を修得しました。伊藤塾長と呉講師が基本的知識や難しい法理論を非常にわかりやすく説明してくださりました。本格的な法律の勉強が初めての私でも、この講座を受講するだけで基礎について大部分修得できたと思います。ちょっとした雑談・体験談以外は全て、講師が言うことはテキストに書き込み、後から何度も読み返しました。この書き込んだメモ書きがあるとテキストの行間がつながるし、しばらく時間が経過した後に見返しても講義の流れを思い出す格好の材料にもなり、知識定着に非常に貢献したと思います。 
また、私は法科大学院受験だけでなく、新司法試験対策にも「論証パターン集」を知識・法理論の定着の為に使いました。膨大な量の知識・論点を完璧におさえることはよほどの天才でない限り無理です。そして、人は忘れる生き物ですので、勉強した傍からどんどん忘れていきます。そこで、繰り返しの学習が必要になっていきます。基本書やテキストを読むと時間がかかりますが、「論証パターン集」ならば慣れてくると短時間で大事な定義・論点を確認することができます。私はやる気が出ない時や食事の前、ちょっとした空き時間に「論証パターン集」を使って全体を確認していました。 

短答式試験対策について

 ・公法系：判例百選（判旨と解説で必要と思われる箇所）と、基礎マスターのテキスト（憲法）を使用しました。憲法では判例の知識が非常に深く問われます。基礎マスターでは判例百選の判例を整理したり重要なポイントを述べてくれたりしますので、その部分と照らし合わせながら判例百選を読みました。また、模試の短答問題で問われた知識なども、テキストにメモするなどして、情報を一元化しました。
・民事系：民法は基礎マスターの民法のテキスト＋内田先生の基本書を使用し、会社法と民訴は「試験対策講座」（弘文堂）と判例百選を使用しました。伊藤塾のテキストは、基本書にはないまとめの表が記載されており、短答用知識のインプットに大変役に立ちました。必要な表があるところには付箋を貼ったりコピーをしたりして、空いた時間に何度も確認しました。
・刑事系：刑法は基礎マスターのテキストと前田先生の判例集、刑訴は「試験対策講座」（弘文堂）と判例百選を使用しました。利用法は民事系と同じです。

論文式試験対策について

私は10月からペースメーカー論文答練を受講しました。伊藤塾の答練を受講してよかったと思うのは、まず、問題の質が良いという点です。見たこともない問題を自分はどう考え、どう処理をするのか、新司法試験と同じ思考状態を求められます。これは、試験における思考のシミュレーションになりました。 
次に、答案構成や自分の書くスピードなどを考慮した時間配分を決めることに役立ちました。10月から何度も答練で練習するうちに、試験までには自分の時間配分を感覚的に認識できるようになりました。
最後に、問題文の読み方、使い方の訓練になりました。詳しくいうと、マーカーやペンの使い方です。例えば、私は誘導がある問題では、書くべき論点や事項をトピックとしてわかるように青マーカーで、特に使えそうな事情は黄色で、考慮すべき反対利益・事実は黄緑でという感じで、項目によってそれぞれ使い方をわけていました。これは一度ではなかなか決められず、何度も答練で練習するたびに身に付きました。

直前期の対策について

４月に行われる伊藤塾の模試を受け、私は合格圏外という成績をとりました。これを受け、私は俄然やる気を出さなければと思い、その後の勉強に励みがでました。また、模試があることで、その直前にそれまでの答練や勉強を見直したことで、知識だけでなく自分の答案構成の仕方や時間配分などの定着にも役に立ちました。
５月以降は午前を短答、午後を論文と大まかに分けて勉強しました。両者を分けるといっても、短答と論文の勉強は不可分一体で論文で短答用知識のような問題も出てくるので、私は両者ともに力を入れて勉強しました。
 

伊藤塾の受講スタイルとフォロー制度について

私は、ペースメーカー論文答練を通学受講しました。１回の受講につき公法系・刑事系は計６時間、民事系は計９時間かかります。これを自分で時間を計り、解説も集中して聴くことは無理だと考え、自分を長時間拘束することを強制できるよう、通学にしました。結果として良かったと思います。
 

法科大学院での受験対策、伊藤塾の活用について

法科大学院での授業の予習として、伊藤塾の基礎マスターのテキストや「試験対策講座」（弘文堂）を使用していました。授業の該当箇所を読むというものです。法科大学院受験の際使用していたテキストだったので、使用しやすいですし、知識定着もしやすかったです。これらテキストに載っていない場合に、他の文献にあたるというスタイルでした。
私が反省した点は、授業の復習が足りてなかったという点です。法科大学院では一単元・論点について深く学習します。それを受けて記憶が新しいうちにテキストを読むと、「ここはこういう意味なんだ」とより深く理解できるのです。これをもっとしっかりしていれば、新司法試験直前の勉強量は変わったと思うので、後悔しています。
 

学習スケジュールの管理について

私は特に生活スタイルに気をつけました。私は法科大学院受験時代、基本的に夜型で、勉強が不安になると眠れず、どうせ寝ないのならばと再び起きて机に向かってしまいます。この為翌朝起きるのが遅くなり、また夜眠れないという悪循環に陥っていました。これでは結局、午前中勉強できず総合勉強量が落ち、試験当日も朝から自分の力を発揮できません。
そこで、新司法試験では朝何時に学校に来るという約束を友達とし、学校に夜までいて何時には寝る、と決めていました。このおかげで試験当日体がだるいこともなく、普段の勉強も寝坊した自己嫌悪にとらわれることなく、午前・午後の予定を立てて集中して勉強できました。
 

「合格後」に必要なこと

受験勉強時代、勉強に追われて合格後の自分を想像することがあまりありませんでした。しかし、合格した今、自分が何をしたいのか、どの分野に特化したいのかを考える日々です。将来の自分を考える際、学校の先生や各種講演会、伊藤塾の「明日の法律家講座」などでお話を聴くことは大変役に立ちます。在学中も好奇心を持ち、様々な人の話を聴くことをおすすめします。
 

最後に